読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

指名有力候補とされる社会人ドラフト候補は、なぜ指名漏れするのか

 

 社会人ドラフトは高卒・大卒と違い指名解禁を受ければそれ以降毎年指名の対象となります。高卒は3年目、大卒は2年目で解禁となり、それ以降に注目選手となり指名される選手も少なくありません。

 

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 16年指名選手でいえで西武に5位で指名された平井克典(Honda鈴鹿)は大卒社会人3年目となり、15年でいえば楽天4位指名の足立選手(パナソニック)は大卒4年目、中日4位指名の福選手(JR九州)は高卒5年目となっています。

 傾向でいえば大卒選手は4年目まで、高卒は5年目を超えると指名は厳しいものとなっています。野手はそれより+1年は指名があるようですが、投手となると厳しいようです。

 ただ気になるのは「解禁済の有望株ならなんで指名漏れしたんだよ?」ということだと思います。その理由は4種類あります。

 ①所属チームからの引き止め

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 社会人野球所属選手は高卒、大卒選手のようにプロ志望届を出す必要がないため、解禁済となればすべての選手が毎年指名候補になります。しかし所属チームにとって優勝して結果を残せなければ規模縮小、最悪廃部もありえます。今年も三菱重工長崎と三菱日立PS横浜野球部が統廃合をしています。

 そのためプロから興味をもたれるほどの結果を出している選手はチームにとっても優勝のために不可欠な存在。できれば引き止めて貢献して欲しい、と思うのは当然といえます。一方で引きとめだらけになってしまうとチームからプロ指名を受ける選手が減り、結果的に社会人野球を経てプロを志望する有望選手が入団しなくなってしまうというジレンマもあるのです。

 

 ②自らの意思による球団残留

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 これはプロから調査届は出ているが指名されるかどうか微妙、またされても下位指名の可能性が高いと考えた選手が自ら残留を表明するものです。今年でいえば、ヘルニアからの調整で本調子に戻っていないトヨタの七原選手は、自ら球団残留を表明しています。指名を希望するということはチームから去ること意味しており、転職を表明しておきながらどこからも採用通知がこなかったのでやっぱり戻ってきました、というのもなかなかつらいものです。そのためあえて残留する人もおります。

 ③需要のある年ではなかった

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 有望株だから確実に指名されるというのは、早くから上位指名と挙げられるクラスの選手であり、いくら注目選手といってもその年の各球団の補強ポイントと合致しなければ指名は見送られます。高卒・大卒選手であれば指名を見送ると次回指名まで最低2年~3年は年をとってしまうため、それだけ若い選手を取れなくなるというデメリットがありますが、社会人候補は毎年指名候補になるからこそのジレンマかもしれません

 このことを踏まえると、不作年に指名されなかった解禁済選手については、よほどの結果を残せなければ今後の指名も厳しいということになります。

 ④希望指名順位と指名予定順位の差異

 

 上記でも述べましたが、何位で指名されるかは本人だけでなく所属チームにとって大事になります。それは有望選手が入団するかどうかの指標として「所属したどれだけの選手が何位で指名されているか」ということが大きく影響するからです。上位指名が多いチームと下位指名が多いチームとでは、やはり上位指名が多いチームに行きたいと思うのが常であり、社会人チームにとっても貴重な選手を引き抜かれた上に下位指名だった、ではメリットが少ないのです。チームによっては「○位以下の指名は受け付けない」というところもあるほどです。

 ただ獲得するプロ球団にとっても実力以上の上位指名がリスクがあり、それが大きく影響するのがトレード・FAでのプロテクトリストです。所属していた社会人チームからすれば「上位指名したのに何で簡単にトレードしてるの?なんでプロテクトリストに入ってないの?」となってしまい、今後の指名にも影響を及ぼしてしまいます。そのためできれば上位とはいえない選手についてはできれば下位で指名したいのが球団側の思惑です。この差異が結果的に指名見送りということになります。