巨人の育成ドラフト3位・山川和大(ともひろ)投手(21)=BFL・神戸=が15日、兵庫・芦屋市内のホテルで仮契約を結んだ。支度金300万円、年俸240万円で、背番号は「003」。2つ上の兄・雄大さん(23)はボートレーサーとして先にプロの世界に入った。その背中を見ていた最速152キロ右腕は「目の前で近い人がプロになってうらやましかった。でも自分は野球では負けたくない」と兄に負けない勝負師を目指していく。
芦屋大2年時にもプロ志望届を提出したが、野球協約の「ドラフト翌年3月卒業見込みのものに限る」という規定に抵触し、対象外となった。公式プロフィルでは170センチだが、実際は167センチ。日本シリーズで胴上げ投手に輝いた日本ハム・谷元とは同じ身長だけに、抜け球がない投球術を参考にしてきた。そして巨人のスカウトの目に留まり、道が開けた。「まずは支配下登録。そして1軍入りしたい。今はワクワクしている。どんな状況も楽しんでやりたい」と胸を躍らせた。
【山川選手の紹介】
167センチと小柄ながらも最速152キロ、常時140キロ台のストレートとスライダーをメインにカーブ・チェンジ・ツーシームを武器とする。独立リーグで通算奪三振率12.09、死四球率3点台防御率1.09と高い成績を残しており、軟式野球で投手こそ経験していたが、投手として本格的に始動したのは大学からでまだ3年と伸びしろも感じさせる要素も持ち合わせています。
独立リーグでは中継ぎメインで結果を残していますが、スカウトはあくまでも「投手の中心となってもらいたい」と起用に関しては明言しておらず、先発・中継ぎどちらで起用するかでかかる年数が大きく異なる選手となります
【支配下への課題】
上記に挙げただけのプラス要素があるにもかかわらずなぜ育成まで残ったのか。低身長というのは大きな理由の一つです。やはり身長が高いほうが角度のある球を投げることが出来ます。低身長であるならば球に力を込めるにはそれだけ体力を使わなければなりません。そのため起用法が限定されてしまいます。同年阪神に6位指名された徳島ISの福永選手は成績だけみれば山川選手に劣りますが、185センチ90キロという恵体であることから支配下指名となっています。
また所属したリーグも関係しています。独立リーグは主に以下の4種類になります
①香川OGや徳島ISなど4球団が所属する四国IL
②武蔵HBや群馬DP、石川MSなど8球団が所属するBCL
③兵庫BLや和歌山FBなど3球団が所属するBFL(元関西独立)
別記事で「所属リーグの強さが指名順位にも影響する」ということを述べたとおり、強豪チームが集まるリーグで結果を残した選手はそれだけ高い能力を持っていると評価されます。一方で強豪が少ないところで結果を残しても「その成績がプロでも残せるのか?」と疑問に持たれてしまい、指名順位もおのずと下がってしまいます。これは独立リーグにも言えることです。
ただ独立リーグの強さがいまいちわからない、という方は多いと思います。そこで参考にするのが「指名選手の数」です。最も多いのが①の四国IL。中日の又吉選手やロッテ角中選手も所属したリーグで、育成だけでなく支配下契約を勝ち取る選手もおり、独立リーグの中ではレベルが高いことが示されています。
次が②のBCL、こちらは育成指名が大半ですが、球団数の多さもありそれなりの指名数があります。最も少ないのが③のBFLになるわけです。
つまりBFLに所属していた山川選手は、結果に対する疑問符をもたれており「果たしてプロでもこの成績を残せるのか?」と疑うスカウトの声もあり、それが育成まで残った理由の一つなのです。ただ2軍との練習試合でも結果を残せていたのが指名に繋がっていると思われます。
そのため支配下への課題は「2軍で結果を残す」そして横の変化球を持つことです。スライダーもカーブも縦の変化球となっており、ツーシームとチェンジも縦の変化球のため、横に曲がる変化球も欲しい所です。