第12回U18(18歳以下)アジア野球選手権(9月3~9日、宮崎)に参加する侍ジャパンU18日本代表が21日に発表され、今夏の甲子園で16強入りした常葉大菊川(静岡)の奈良間大己内野手(3年)と根来龍真捕手(3年)の2人が選ばれた。ともに6月発表の1次候補選手には入っていなかったが、静岡大会と甲子園での活躍が評価された。静岡県から2人以上の選出は、08年に常葉大菊川が甲子園準優勝して以来10年ぶりの快挙となった。
「静岡のジーター」が日の丸を背負う。常葉大菊川の奈良間はこの日、同校の練習場で午前8時過ぎから自主練習に励み、吉報を待った。午後に日本代表入りの連絡を受けると、喜びと驚きの表情を浮かべた。
奈良間 最初は半信半疑でした。正直ビックリしています。でも、自分がやってきた野球が認められて本当にうれしいです。
静岡大会では打率8割1分8厘の成績を残し、2年ぶり6度目の甲子園出場に貢献。甲子園では出場全選手で最高打率をマークして大会に臨んだ。1回戦の益田東(島根)戦では会場の度肝を抜く1発を放ち、さらに注目を浴びた。4回裏の第3打席で低めのボール球をフルスイングし、バックスクリーンに特大の2ラン。知名度は一躍全国区になった。
奈良間 甲子園では自分らしいプレーが出し切れたと思います。そこを評価してもらえて光栄です。
選ばれたからにはトップを目指す。同じ遊撃手には今秋ドラフト1位候補の報徳学園・小園海斗(3年)や大阪桐蔭・根尾昂(3年)らが名を連ねる。先発の座を懸けた激しいポジション争いも覚悟した上で決意を示した。
奈良間 守備と走塁で見せ場を作りたい。やるからには結果にこだわりたいと思います。
大会前まで無名選手だったが、甲子園で評価を上げ、自身初の日本代表入り。日本一のショートを目指す奈良間のサクセスストーリーは始まったばかりだ。【神谷亮磨】
【奈良間選手の紹介】
172センチ66キロ 右投げ右打ち
ポジション:ショート
甲子園にて一気に注目株となった小柄な内野手。高い身体能力が特徴であり、打撃については静岡大会での打率.818を記録。高校通算20本塁打ですが、甲子園では1回戦の益田東戦で低めの球をすくい上げてバックスクリーンにホームランの打撃技術を披露しています。甲子園での本塁打は何れも低めをすくい上げてホームランにしたものであり、レフトぎりぎりの当たりも低めを振りぬいた当たりでした。
目を見張るものは守備であり、50m5秒8の俊足からの守備範囲で深い当たりにも追いつき、元投手としての遠投100mの強肩でノーバウンド送球を行います。しかしそれ以上に奈良間選手の守備で目を見張るものが捕球から投げるまでの短さであり、捕球後すぐに送球できるためボテボテのゴロでも併殺を奪うことが出来ており、難しい体制やランニングスローでも安定した送球が出来ており、高い守備センスを評価されています。
2018年8月14日 常葉大菊川高校 奈良間大己選手 全打席
【指名への課題】
センスはあるものの、細かいところには粗も見える選手。打撃についてはインコース低めやアウトコース高めなどレフト方向に引っ張れるコースについては安打できていますが、アウトコース真ん中~低めのコースについては引っ掛けてしまうことが多く、ライト・センター方向に打ち返すことが出来ていません。このため攻めをアウトコース中心にされ、外に落ちる変化球に空振りを連発しています。
また守備については打撃ほど大きな課題はない一方、スローイングが早いがゆえの腕の振りの雑さによる送球の乱れなど改善すべき点は見受けられます。
【指名順位予想】
伸び代を期待される選手であるため理想でいえばもう少し身長が欲しいところですが、66キロとショートとしても細めの選手となるためがっしりすればさらなる長打が期待できます。このため奈良間選手にとって指名順位が変わるかどうかは打撃面の評価の変動であり、木製バットが使われるU-18での結果が指名順位に大きく左右します。
指名順位については木製でも長打が打てることが証明できれば3~4位、単打止まりとなれば4~5位となります。同じ高卒内野手の上位候補である天理・太田選手や報徳・小園選手は2年生のころから結果を残し続け研究されながらも3年で成績を残しているというアドバンテージがありますが、その点奈良間選手は3年生で一気に注目候補として上がったため、研究された後の対応能力については未知数な部分があり、近江戦ではアウトコース中心に攻められ苦戦していました。その点からも少し順位を落としています。