第12回U18アジア選手権(9月3日開幕、宮崎)に出場する高校日本代表の壮行試合が28日に神宮球場で行われ、高校日本代表は3―7で大学日本代表に敗れた。
先発の明徳義塾・市川悠太投手(3年)は、選出メンバーの中で唯一甲子園に出場できなかった選手。この試合、永田裕治監督から「一人だけ県で敗れている子で、どうしても使いたかった。昨日27日の状態は悪かったけど、本大会も見据えて」と先発に起用された。
市川は初回、亜大の頓宮裕真内野手(4年)の2ランなどで3点失うも、キレのあるシュートを武器に2回、3回は無失点に抑え3回3安打3失点。「先発を任された時は嬉しかった。打たれたけど、一番自信のあるシュートを投げられて良かった」と話した。
市川は、これからの進路についてプロ1本に絞る予定だ。ドラフトにかかるためには、なんとしても代表で結果を残す必要がある。「なんとかここで結果を残したい。注目されるように頑張りたい」と大会を見据えた。
高校代表先発の市川 3回3失点も「一番自信のあるシュートを投げられて良かった」― スポニチ Sponichi Annex 野球
【市川選手の紹介】
184センチ75キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・シュート・シンカー・カーブ・チェンジアップ・スプリット・ツーシーム
ノーワインドアップから体を捻り、勢いをつけたサイドスローで最速149キロ、常時140前半のストレートを投げ込む速球派サイドスロー。2年生のころに制球改善のためにサイドスローに転向しており、監督が明徳歴代でNo.1と評価するほどの選手であり、2年生のころよりエース先発として期待されてきました。
その大きな武器はサイドスローながら140台のストレートと緩い変化のスライダーのコンビネーション・コントロールも大きく逸れずコーナーを攻められ、そこに右打者ならば外に逃げるシュートでアウトコースストレートを狙った打者から空振りを取り、左打者ならインコースにツーシームを投げ込み凡打とします。
春までは公式戦ではストレートとスライダーをメインとしていましたが、スライダーに頼りすぎる投球を反省し、新たにカーブとシンカーを2年冬に習得。しかし完成には至らず3年春の選抜ではシンカーを2球投げたのみとなっています。
3年になってから公式戦を一人で投げぬいたものの、最後の夏は地方決勝の高知商業戦でまさかの8回10失点で地方予選敗退となりました。
【侍ジャパン壮行試合】明徳の市川が1番法政の向山 基生から三振
【指名への課題】
左右どちらの打者にも武器となるストレートと変化球があり、3年の公式戦では一人で投げぬくなど当初の課題とされていたスタミナ面も改善しています。ただ左打者についてはインコース中心、右打者にはアウトコース中心となっており、攻めるコースが偏っているため踏み込まれ長打にされることがあります。大学日本代表戦での亜細亜大・頓宮選手にはアウトコースに落ちる球を踏み込まれ本塁打にされました。
またアウトは空振り・見逃しが多く、芯をはずして野手正面のゴロや内野フライに打ち取る当たりが少なくなっています。これはストレート・スライダー中心の攻めで空振りを取る球が多いのが原因であり、どうしても球数が増えたり追い込んでからファールで粘られているため、2ボール2ストライクになることが多くなっています。
この2種以外で決め球として空振りを奪う変化球が必要とスカウトからも指摘されており、3年生になって習得したシンカー・カーブがこの落ちる球となりますが、この2種は公式試合では使う機会がなくアピール不足となっています。
【指名順位予想】
指名順位は4位~5位の下位指名となります。スピードはあるものの突然崩れる課題やスライダー以外の変化球の精度が問題となるため、先発よりも連投できるセットアッパー向きにも思えます。先発として計算するにはスライダー以外に落差のある変化球を安定して使えるようになる必要があります。