読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

橋本到選手がまさかの楽天への金銭トレード。なぜ薄い外野層にもかかわらずトレードしたのか

 

 巨人は2日、橋本到外野手(28)が金銭トレードで楽天に移籍すると発表した。「みちのくのイチロー」の異名で呼ばれた橋本は、08年ドラフト4位で仙台育英から入団。巨人ではプロ10年間で393試合に出場し、通算打率・243、9本塁打だった。

 橋本は球団を通じ「10年間お世話になりました。指導者、選手、スタッフに恵まれ、成長することができました。一軍で結果を出すことができず悔しい思いもありますが、学生時代を過ごした仙台でプレーするチャンスを与えてくれた巨人と楽天の両球団には感謝しています。新天地では、自分の持ち味を発揮し、チームに貢献できるよう頑張ります」とコメント。

 50メートル6秒0の俊足、遠投120メートルの強肩に巧打と三拍子が揃った外野手として、13年に自身初の開幕一軍入り。14年は103試合に出場するなど、レギュラー争いに加わったこともあるが、近年は下半身のコンディション不良など度重なる故障に苦しんだ。17年は前年の約半分の139打席にとどまり、今季は1軍出場なし。仙台市で育った28歳が、思い出の地でリスタートを切る。

巨人・橋本到、楽天に金銭トレード 「みちのくのイチロー」地元でリスタート(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

 

 

 【橋本選手が楽天へ金銭トレード】

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引用:読売巨人軍公式サイト

 11月2日、巨人の橋本選手が楽天へ金銭トレードされたことを発表。楽天は1位で辰巳選手を獲得したものの、まだまだ薄い外野層を補強し、地元仙台出身ということで補強対象となったようです。実は橋本選手は実戦復帰していたにもかかわらず、秋季キャンプにも呼ばれていませんでした。練習にも姿が確認されておらず、このためトレード説が囁かれていた矢先の出来事でした。

【巨人における橋本選手の立ち位置】

 橋本選手は08年に4位で仙台育英高校より入団。強肩強打の外野手として獲得され、14年のオープン戦で活躍。ついに開幕1軍を勝ち取りますが、5月に守備中の肉離れで長期離脱。今季戦力外となった中井選手と同じく、スタメンを掴み取りかけたところで大怪我をしてしまい、その後調子も上がらず1・2軍を往復することとなりました。原因は怪我をしやすく離脱の頻度が高いことと、調子が長続きしないこと。このため最初の5試合くらいでは活躍するものの、徐々に調子を落としていき2軍に落ちるといったことを繰り返していました。

 しかしスタメンこそ勝ち取れていないものの、巨人の若手・中堅のなかでは安定したライト守備をこなせるため、貴重な守備固め要員として重宝されていました。

【なぜトレードされたのか】

【①守備固めとして使うには問題となるスペ体質と調子の波】

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引用:読売巨人軍公式サイト

 それほど貴重な守備固め要員であるならなぜトレード、しかも金銭だったのか。理由の一つは守備固めとして起用するには怪我の頻度があまりにも多いこと。一度怪我をすれば、たとえそれが二週間で治るものだとしても、そこからリハビリ、さらに実戦復帰して試合感覚を取り戻し、そこで調子を上げて1軍登録となれば一ヶ月以上はかかります。これが坂本選手や小林選手といった1軍主力となれば実戦復帰の優先度もあがりますが、残念ながら橋本選手は1.5軍。さらにそのスペ体質もあり復帰は慎重に時間をかけて行われます。

 このため一度怪我をすればシーズンの4分の1を復帰に費やすこととなり、橋本選手はその頻度が高いため、主力が故障・調子を落とし橋本選手を代わりに起用しようとしてもリハビリで起用できないといったことが度々発生しています。

 また橋本選手の問題のもう一つは調子の波の激しさ。4打数3安打することもあれば、その後5試合無安打ということも珍しくない選手。守備固め起用される選手にとって望まれるのはこのような固め打ち→無安打といった調子の激しい選手でなく、安定して4打数1安打、ときどき2安打できる選手。最低限を安定して出来る選手が固め要員としては計算しやすく、起用しやすい選手となります。

 

【②チーム若返りの阻害となるか否か】

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引用:読売巨人軍公式サイト

 今季の巨人は中井・辻選手といったプロ入り後5年以上たちながらも燻る中堅選手を一気に戦力外にしていますこれは2軍にいる時期が長く、チーム再建が課題となっている現在の巨人では若手の出場機会を奪ってしまうためです。橋本選手は本来1軍にいるべき経験年数の選手ですが、怪我の頻度もあって今年は2・3軍起用となりました。つまりこれは2・3軍で起用する若手外野手の起用数を奪っていることになり、実戦機会が必要となる育成選手や、外野コンバートされた選手が多い現在の外野手事情の中では大きな壁となっています。

 ならなぜ立岡選手は残ったのか。地元ということもあり楽天にとって橋本選手のほうが都合がよかったということはありますが、立岡選手は辻、橋本、中井選手と比べ打撃技術では頭一つ抜けており、代打・代走として起用できるため1軍起用しやすい選手となっています。また守備固めは1軍起用を狙う若手選手にとって貴重な起用機会のある場所であり、そこを若手選手で使えるならそちらのほうがチームにとってもプラスとなります。ただ立岡選手も中堅となり、それにもかかわらずレギュラーになれていないことから首が寒い選手の一人です。

 

【今後の外野手事情は?】

 1軍は長野、亀井、陽、ゲレーロ、重信選手の4名がメインとなり、そこに石川・松原・立岡選手がレギュラーを狙います。和田恋選手は守備面をまだまだ鍛える必要があるため、今後のオープン戦次第となります。さらに増田・黒田選手を獲得したことでこれまで日替わりだったショートを固定できる可能性が生まれました。そうなるとこれまで内野起用されていた選手が外野に押し出されるため、その中で若林選手は打力こそあるものの内野守備は危なっかしく、今後は外野に本格コンバートされる可能性があります。

 このため2軍外野 右:若林・和田 中:松原・立岡 左:石川・和田 となり

     3軍外野 右:加藤・松井・村上 中:笠井・村上 左:荒井・加藤

 

 となり、意外と2・3軍に関しては外野は余裕があります。ただ1軍はかなりぎりぎりのため、来年は即戦力外野手の獲得が予想されます。