読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

巨人・北村 拓己選手はなぜ1軍起用されないのか。その課題と来季への壁

 

巨人の北村拓己内野手(24)が21日、川崎市内のジャイアンツ寮で契約更改を行い、20万円アップの860万円でサインした(金額は推定)。

 今季は2軍で4番も務めるなどイースタンで112試合に出場。打率2割9分、8本塁打、66打点の成績を残し出塁率4割1分4厘はリーグトップ。だが、1軍ではスタメンも経験したが5試合の出場にとどまった。「初ヒットを打ちたかったですけど、打てなかった。(来年は)レギュラー格を目指してやっていきたい」と意気込んだ。

 今オフは昨年に続き坂本勇に同行予定。「2年連続で練習させてもらうので、もう一度基本から身につけたい」。レギュラー奪取へ向けて打撃向上を掲げ「守備ももちろん必要ですけど、やっぱり打たないと三塁、一塁は守れない。自分の打撃を向上させてやっていきたいです」と気を引き締めた。

【巨人】北村が20万円アップで契約更改 来季は「レギュラー格を目指してやっていきたい」 : スポーツ報知

 

 

【なぜ北村選手は1軍で使われない?】

 村田2軍コーチが期待の若手の一人として挙げた北村選手。2軍では4番もつとめ打率.290に8本塁打と十分な成績を残しており、若手台頭が叫ばれる巨人においてぜひとも使われるべき選手です。しかしそんな成績とは裏腹に1軍出場は5試合に留まっています。

 ファンの中でも北村選手をもっと1軍で使うべきだ!という声も多い中なぜ北村選手は1軍起用されていないのか。そして起用されるために来季は何をすべきなのか。それを語っていきたいと思います。

 

 


北村拓巳 右方向へ勝ち越し第3号ホームラン【巨人VS阪神 2軍交流戦2019.4.19】

【①:どのポジションでも厳しい守備】

 もともと北村選手はアマチュア時代はショートとして起用されることが多かった選手。ただショートとしては足が遅かったため、長距離野手として期待され獲得されたこと、巨人のサードは村田選手以降固定できていなかったことから、長距離サードとして期待され2軍では主にサードで起用されていました。

 

 問題は北村選手はこの内野守備が決して褒められるものではないこと。1軍で起用された際ファインプレーを披露したことから守備能力が高いと思われがちですが、実は内野どのポジションでも指標は悪いものとなっています。

 NPBホームページに掲載されているイースタン守備率によると、北村選手の守備率は以下のようになっています。

 ファースト:.984

  セカンド:.865

  ショート:.1.000(2試合のみ)

   サード:.937

 

 これが北村選手の内野成績です。DHがあるパリーグならともかく、セリーグでこの成績でスタメン起用するにはかなりの危険があります。サード守備率は.935のため、12回に1回はエラーをする計算となります。どこかのポジションが安定しているならまだ起用の余地はありますが、どこも悪いと起用のしようがありません。

 

【②:外野守備については?】


岡本和真&北村拓己 外野練習 巨人秋季キャンプ(2019 1109)

 北村選手は起用法拡大のため時々レフトスタメンで起用されています。「内野が駄目なら外野コンバート!」となるのは方法の一つ。現状の巨人は外野も固定できていないため、外野で起用が見込めるならそちらでも十分にチャンスがあります。

 では北村選手の外野守備能力はどうなのか。その肝心の外野守備についてですが、はっきりいって晩年のラミネス選手レベルです。これを1軍で見せられたら発狂します。

   具体的にどれ程かと言いますと、最初の一歩が遅く浅めのレフトフライをポテンヒットにしてしまい、クッション処理が下手で三塁打にしてしまうといった守備が多く、いくら外野守備経験が少ないといってもとても1軍で使えるレベルではなく、もし外野で使うなら内野兼外野でやるのではなく、本格的に外野コンバートする必要があります。

 

【⓷:右の代打で使うか否か】

 残された1軍起用は右の代打枠。北村選手はミート技術に優れ本塁打もあり。このため右の代打枠に使えるのではないかと思われるかもしれませんが、代打として1軍に登録するということは、それだけ守備機会が減ることも意味しています。北村選手は来年3年目でまだ守備については改善する可能性があり、どちらかといえば代打よりもスタメンで期待したい選手です。そのため下手に1軍に上げて守備機会を減らすよりも、2軍で守備機会を与えたほうが得策と考えられ、2軍帯同が多くなっています。

 

 また1軍の右の代打については石川選手が起用されています。石川選手はプロ入り8年目でありすでに十分すぎるほどの守備機会を与えられています。しかし石川選手はレフト専でありそのレフト守備もお世辞にも上手いとはいえません。

 すでに多くの守備機会を与えられながらこの守備能力であるならば、今後大きく改善する可能性は低く、石川選手が生き残る術は右の代打、つまりポスト矢野選手となります。守備機会を与えるべき北村選手に対し、これからは代打として生きる道を模索していく石川選手。どちらを代打として優先的に使うかは石川選手となっています。

 

【来季はどうしていくべきなのか】

 北村選手のメインポジションはサード・ファーストですが、サードは不動のスタメン岡本選手。さらにファーストは助っ人外人ポジションであるため、この2ポジションだけではスタメン起用の機会はどうしても少なくなってしまいます。

 しかしチャンスが全くないわけではありません。助っ人外人起用についてはすでに契約済のパーラ選手と保険としてもう一人野手を獲る予定とされていますが、本命はパーラ選手でポジションはライト・レフト。4人の外人枠をどう使うかについては先発事情の苦しさを踏まえれば、メルセデス・サンチェス・デラロサ・パーラ選手が濃厚であるため、ファーストは日本人選手が起用されます。今年打撃を活かすためファースト起用されていた大城選手も来季は捕手起用メインとすることが明言されており、岡本選手もサード起用が理想であると原監督が述べています。

 

 巨人の原辰徳監督(61)が4日、2年連続30本塁打以上をマークした主砲・岡本の来季ポジションについて、理想は三塁との構想を示した。

 複数ポジション守ることができて、今季は一塁、三塁、左翼も守った。

 G球場での秋季練習で原監督は、来季の岡本について「基本的にサードがいいと思っている。サードにいって守備が上手になったし体も締まって。ファーストはズンチャッチャ、ズンチャッチャだったけど。(三塁を守ると)ワルツが4分の3拍子ぐらいになった。グラブさばきはいい。夏過ぎくらいからサードをやらせてコンディションも上がった。もともとサードをやってくれることが望みだったから」と軽快な動きとグラブさばきに期待した

【巨人】原監督、理想は三塁岡本「ワルツが4分の3拍子ぐらいになった」 : スポーツ報知

  サードについては岡本選手を超えるのは難しいですが、ファースト・レフトであればチャンスは十分にあります。レフトについては外野の助っ人選手がゲレーロ→パーラ選手となったためあまり環境は変わっていないように思われますが、実は大きく変わったところがあります。それはパーラ選手がライトも守れることです。ゲレーロ選手はレフトしか守れないため、ゲレーロ選手を起用するにはレフトしかなく、そうなれば石川選手は代打に回るためレフト・右の代打が埋まってしまい、北村選手を起用する場所がなくなります。

 

 一方でパーラ選手をライトで起用すればレフトが空くためそこに重信・石川・北村・山下選手といった若手野手を起用できます。亀井選手も阿部選手が引退したことで左の代打となる可能性もあり、陽選手はレフト起用されることはまずないため、レフトを若手ポジションとして扱うことができます。ただ北村選手は中距離打者であるためある程度守備能力も必要となります。このため北村選手がすべきことはファースト・レフトでの安定した守備となります。

 

【ライバルは?】

 2軍でファースト起用されることが多かった選手は1番がマルティネス、2番が北村選手で3番目が和田選手。マルティネス、和田選手ともに現在は巨人にいない選手のため、現状ではファースト候補は北村選手が一番となります。ただ保険として獲得される予定の右打ち助っ人が2軍ではファースト起用になると思われるため、2軍ではサードメインで守備を鍛えつつサブポジの安定性も上げていく必要があります。

 助っ人外人選手については枠の問題もあるため1軍起用においてはそこまで壁となりません。1軍起用の為にファースト・レフトを争うライバル選手筆頭は山下航汰選手となります。山下選手はその打撃能力を買われ高卒1年目ながら支配下登録。さらに1軍出場も果たしました。こちらも守備に課題があり打席に左右の違いはありますが、どちらもファースト・レフト起用されている選手。左の長距離打者が不足している今、起用優先度が高いのは山下選手です。

 北村選手が起用されるどのポジションも不動のスタメン・起用優先度の高い選手がいるため、他選手の調子次第という外部環境によるところが大きい立場ですが、そのようなときにまず呼ばれる選手となるために、春季キャンプ・オープン戦でのアピールが非常に重要となります。