◆報知新聞社後援 第66回全日本大学野球選手権第1日 ▽1回戦 岡山商大4ー2近大(5日・神宮)
大学日本一を争う熱戦がスタートし、1回戦7試合が行われた。5年ぶり出場の岡山商大(中国地区大学)のドラフト候補右腕・近藤弘樹(4年)は、日米14球団80人超のスカウト陣が集結した初戦で自己最速タイの152キロをマークするなど、8安打8奪三振2失点で完投。自身の全国デビュー戦でチームを19年ぶりの初戦突破に導いた。また、最速152キロのドラフト候補右腕・草場亮太(4年)擁する九産大(福岡六大学)などが2回戦に進出した。
最後の打者を149キロの直球で見逃し三振に仕留めると、近藤は小さく跳び上がりながら歓喜の雄たけびを上げた。「緊張で見えない疲れがどんどん出てきて…。勝てて良かった」。これまで縁のなかった全国大会での白星に、安どの笑みを浮かべた。
力強いストレートが右腕の持ち味だが、この日は不調から変化球の割合を増やした投球にシフトチェンジ。楽天のスピードガンで自己最速に並ぶ152キロを記録する剛球と、100キロを下回るチェンジアップとの緩急で相手を翻弄した。春のリーグ戦では先発した全8試合で完投し、7勝1敗でMVPを獲得。本調子ではなかったこの日も最後まで投げきり、エースの存在感を示した。
バックネット裏に詰めかけた日米14球団のスカウト陣も、186センチ右腕のピッチングにうなった。巨人の岡崎スカウト部長は「ピンチの時に力を感じる。まだまだ奥がありそう」と将来性に期待。西武・鈴木球団本部長は「(ドラフト1位の)12人に入ってくる可能性はある」と絶賛するほどの好印象を刻みつけた。
広島出身で、安佐北高時代は2年秋の8強が最高成績と全国的には無名。転機となったのは大学3年の秋。大学日本代表候補に選出され、「全国区の選手と一緒にプレーして、今のままでは追いつけない」と意識が変わった。トラックのタイヤを30メートル引っ張るトレーニングを50~60本も繰り返し鍛えた強靱(きょうじん)な下半身が、今季の躍進を生み出した。
【近藤選手の紹介】
190センチ85キロ 右投げ右打ち
最速152キロにスライダーやツーシームなど複数の変化球を武器とする即戦力右腕投手。ノーワインドアップのフォームからストレートで押していくパワーピッチングを主とし、9回でも149キロを記録したことからスタミナやストレートの質を評価されている選手となっています。
【近藤選手の課題】
ストレートを武器とする一方変化球の制球には課題があり、空振りを取れる球と厳しい球がはっきりしています。
オーバースローに近いフォームでありストレートを主体とするため、シーム系やチェンジアップ、フォークを武器と出来ている一方、スライダー・カーブがあまり決まらず、どうしてもストレートで押していくスタイルとなりカウントを稼げず球数が増えてしまう展開が起こっています。
【指名順位予想】
今季は大卒投手不作年である中注目選手の一人となっています。ただ単独1位となるほどの絶対的評価とは言えず、即戦力投手として確実にほしいところが外れ1位。順当な流れなら2位が指名順位となります。