読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

2018年巨人の育成指名ドラフト戦略・補強ポイントとは?

 

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 18年のドラフト候補の中で巨人が獲るべき選手というものは過去に記事にしましたが、そこではあくまで支配下指名のみで育成指名については触れていませんでした。チームの若返りが求められている今の巨人にとって、育成ドラフトも重要な存在となっています。

 今回は巨人の育成選手の現状を踏まえた上で各ポジション別に獲られる選手のタイプ・人数について触れたいと思います。 

【18年の指名数は?】

 15年に3軍を創設してから、15・16・17年それぞれで8名ずつ指名し、合計24名育成選手を獲得しています。一方で15年は0名、16年に11名、17年に7名育成選手を戦力外としています。

17年育成戦力外一覧

土田瑞起投手(27)→戦力外→12球団合同トライアウト受験

大竹秀義投手(29)→戦力外→巨人打撃投手

矢島陽平投手(27)→戦力外→会社員

川相拓也内野手(26)→戦力外→12球団合同トライアウト受験

高橋洸外野手(24)→戦力外→12球団合同トライアウト受験

坂口真規内野手(27)→戦力外→12球団合同トライアウト受験→会社員

マヌエル・ソリマン投手(28)→退団

ゲレーロら/12球団引退、退団、戦力外選手一覧 - プロ野球 : 日刊スポーツ

 

 

 16年育成選手戦力外一覧

田原啓吾投手(22) 戦力外→トライアウト受験→現役続行希望

高橋慎之介投手(22) 戦力外→未定

田中太一投手(23) 戦力外→セガサミー

芳川庸捕手(23) 戦力外→トライアウト受験→現役引退→ジャイアンツアカデミーのコーチ就任

小林大誠捕手(22) 戦力外→トライアウト受験→公徳会佐藤病院野球部

長江翔太外野手(25) 戦力外→トライアウト受験→独立L富山

北之園隆生外野手(21) 戦力外→現役引退→ジャイアンツアカデミーのコーチ就任

エクトル・メンドーサ投手(22) 自由契約→米球界希望

アブナー・アブレイユ外野手(27) 自由契約→未定

12球団戦力外、移籍、退団選手一覧/17日現在 - プロ野球 : 日刊スポーツ

 

 結果24名を獲得し18名を戦力外にしたことで6名の増員となっています。そして18年の獲得数についてですが、過去3年に比べると人数は減ると予想されます。その理由のひとつが18年の戦力外数です。指名数が増えるということは、それだけ戦力外になる選手も増えるということであり、逆に戦力外数があまり多くない場合は指名数も増えないということなります。

 そして18年の戦力外数ですが、3年の大量戦力外によりバランスがとられたこともあって、過去3年ほどの数は見込まれていません。候補選手からみても多くて4~5人になると予想されます。そのため指名数も5~6名程度になると思われます。

 

 

 

 

 

【育成選手の選手層バランスについて】

【投手】

【育成投手の現状と指名数】
No. 選手名 年齢 試合数 イニング 四死球 失点 防御率  
1 成瀬 功亮 26 3 1/3 0 0 0 2 2 5.4
2 アダメス 24 11 13 2/3 1 0 7 9 2 0  
3  坂本 工宜  24 27 1 2 0 9 15 4.33  
4 山川 和大 23 2 7 0 0 0 2 0 0
5 高井  俊 23 0 0 0 0 0 0 0 0
6 堀岡 隼人 20 3 3 0 0 1 3 0 0
7 山上 信吾 19 2 2 0 1 0 1 2 9
8 田中 優大 19 3 3 1 0 0 0 0 0
9 田中 大輝 26 2 3 0 0 0 0 1 3
10 メルセデス 24 1 1 0 0 0 0 0 0  
11 巽 大介 21 1 1 0 0 0 0 0 0  
12 橋本 篤郎 20 3 15 1 2 0 10 5 2.4
 ★は3軍成績(4月23日時点)1~8が右腕で9~12は左腕
 
 投手は先発・中継ぎと様々なタイプの選手が求められ、野手のように連戦で出せないため必要数が多く毎年指名があるポジションです。そして現在の育成投手数は、最近の大量戦力外と去年の育成指名された投手がすべて時間のかかる素材型投手のため、成績を見ても長いイニングを投げられる投手が足りていません。そのため2~3名は指名があると思われます。
 
【どのような選手が指名されるか】
 具体的にどのようなタイプの選手が指名候補となるかについてですが、育成選手の中で先発登板しているのが坂本・メルセデス・橋本選手の3人のみ。山上選手は先発型として期待されているようですが、まだまだ時間がかかる選手で橋本選手は3軍登板のみ。メルセデス選手も外国人枠であるため、2軍ですぐに登板できるような先発として期待できる選手が必要です。そして今期は大卒投手が豊作のため、豊作なことにより支配化から漏れた本来なら8~10位辺りが指名候補となる選手が狙い目となります。
 現在の育成投手数を考慮すると、育成1位を投手で使う可能性もあります。
 
 
 

 

【捕手】

【育成捕手の現状と指名数】
No. 選手名 年齢 試合数 打数 安打 本塁打 打点 四死球 打率 出塁率  
高山 竜太朗 23 14 21 4 2 5 3 196 292  
広畑 塁 23 5 10 3 0 2 0 300 300
小山 翔平 22 6 12 1 0 0 2 083 267
  ★は3軍成績(4月23日時点)
 
 育成捕手は去年田中選手を支配下登録したこともあり、3名のみとなっています。ただし捕手は他のポジションに比べ出場できる選手数が少なく、素材型の岸田選手を獲得したことや、17年は育成でも2名大卒捕手を獲得しているため、今年の補強ポイントとはなっていません。ただ育成捕手は全体的に守備型が多いため、年齢のバランスを獲るのも兼ねて打撃型の高卒捕手を一名取る可能性はあります。
 
 
 

内野手

【育成内野手の現状と指名数】
No. 選手名 年齢 試合数 打数 安打 本塁打 打点 四死球 打率 出塁率  
マルティネス 26 24 82 24 3 10 5 293 333  
田島 洸成 22 7 21 5 0 2 5 238 385
折下 光輝 18 7 19 3 0 0 3 158 273
4 比嘉 賢伸 18 0 0 0 0 0 0 0 0
  ★は3軍成績(4月23日時点)
 
 内野手はマルティネス選手を入れても4名、その中で2軍経験者がマルティネス選手のみであり、内野手は投手と同じ毎年指名がある枠のため、今期も最低1名は指名があると思われます。ただ内野手に関しては起用できる選手数に対し登録数が多いため、3軍でも支配下選手が起用されます。そのため投手ほど数は求められません。

 

 

【どのような選手が指名されるか】
 
 問題は高卒・大卒・独立リーグどのタイプの選手を獲るかについてですが、去年は支配下・育成含め右野手の獲得が多かったため、今年は上位で大卒・独立リーグ、下位で高卒の左野手の獲得が見込まれます。正直なところ、未だに2軍登板がない田島選手の首が危うくなっているため、田島選手が戦力外となり、その補充として大卒・独立リーグ出身の左野手が獲られるのではないかと考えています。
 
 

【外野手について】 

【育成外野手の現状と指名数】
No. 選手名 年齢 試合数 打数 安打 本塁打 打点 四死球 打率 出塁率  
松沢 裕介 26 2 2 0 0 0 0 0 0  
笠井 駿 23 7 23 2 0 1 5 091 259
松原 聖弥 23 28 104 27 0 8 10 203 363  
4 加藤 脩平 19 4 5 0 0 1 1 0 167  
5 荒井 颯太 19 4 12 1 0 0 1 083 214
 
 17年は支配下で村上選手、育成で笠井・荒井選手を獲得したため、野手ポジションの中では育成選手が最も多い5名となっています。
 

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 しかし現在の巨人の野手において外野手は早急な対処が必要なほど深刻な状態であり、若手・中堅の何れも1軍スタメンを奪えておらず、内野手の田中俊太選手をセンター起用させるプランが出ている状態です。
 なら育成でもたくさんの選手を指名するのかについてですが、18年の外野手ドラフトに関しては支配化指名で2~3名獲得する可能性が高いため、相対的に育成での指名数は減ると思われます。
 
【どのような選手が指名されるか】
 それでは具体的にどのような選手を獲るかについてですが、それは「守備能力が高い左野手」となります。
 
 守備能力が高いにもかかわらず育成まで残る選手となると大半が俊足巧打の小兵型となり、今の巨人が欲しがる長打が打てる野手とはミスマッチと思われるかもしれませんが、それは支配下指名でそろえるべき選手であり、育成でそのような長打がある選手は致命的な守備がありスタメン起用しにくい選手です。
 そもそも今の巨人の中堅・若手左外野手は何れも守備に課題を持っている選手が多く、安定した守備ができるのがスペ体質の橋本選手のみとなっています。
 
 橋本選手:守備が安定しているがスペ体質で戦力として計算しにくい
 松原選手:ミート技術はあるが弱肩で守備も過大
 重信選手:打撃も守備も走塁も全部課題
 松澤選手:レフト専の上にやらかしもあり。年齢的にも厳しい
 加藤選手:強肩であるが守備能力は不明
 
  このように多くの左野手が守備に課題があり、1軍起用の大きな妨げになっています。現在の巨人1軍は2番に吉川尚選手が入っていますが、消去法に近い打順であり、吉川選手自体はフリースインガーの気質があるため、どちらかといえばケースバイケースが求められる2番は不向きな選手です。
 そのためかつての松本選手のような小技が出来て守備が大きな武器となる選手が必要であり、今期の育成で求められるタイプこそが「守備能力の高い左野手」となっています。幸い俊足巧打の守備型左打ち外野手は指名優先度が低いタイプで、育成でも或る程度実績のある選手が獲得できるため、支配下でなく育成指名で獲得したいタイプです。
 
 

 

 【総評】

育成1位:大卒投手

育成2位:大卒左外野手

育成3位:大卒左内野手

育成4位:高卒投手

育成5位:高卒内野手

育成6位:独立リーグ投手

 

 順位は他球団の指名状況や支配下指名の内容で変化しますが、大まかにこのような内容になると予想されます。まだファーム専用球場が完成しておらず、小野路球場を月に数回借りていますが、キャパはかなり満杯の状態のため、あまり戦力外が出ない今年はそこまで指名はないと思われます。