横浜(南神奈川)が描いた夏20年ぶりVの夢は、みちのくの怪腕に打ち砕かれた。2点リードの3回。金足農(秋田)吉田輝星の打球が中堅を守る万波中正外野手(3年)の頭上を襲った。万波はいったん「捕球OK」のサインを出したが、追い風に乗った打球はグングン伸び、中堅左へストンと落ちた。「入らないと思ったのに、もうひと伸びした。立っていても分かるぐらい風がすごかった」と困惑した。

 大会屈指の右腕から12安打を放った。チームの決め事は「ヘルメットのツバを下げ目線を低くすること」だった。万波はこの日今大会初安打含む2安打を放ったが、9回は3球連続で変化球を放られスライダーで空振り三振。「意表をつかれた。自分がもっと打てば勝てたかもしれない。もっとみんなと野球がしたかった。終わったばかりで次のことは考えられない」。年明けにプロ1本を表明したドラフト候補は涙した。

 8回には、高橋にバックスクリーンへ逆転3ランを運ばれた。1年秋からエースナンバーを背負ってきたエース板川は「あそこまで飛ばされた自分が悪い。風は言い訳にしたくない。ここぞで1発を浴びて申し訳ない」と泣いた。現3年生は、入学時から「100回大会優勝」を目標に掲げられてきた。就任3年目の平田徹監督(35)は「3回戦で負けるつもりのチームではなかった。勝たせてやれなかった3年生に申し訳ない気持ち。負けたのはすべて私の責任」と現実を受け止めた。【和田美保】

横浜・万波2安打「次のこと考えられない」涙の敗退 - 夏の甲子園 : 日刊スポーツ