<全国高校野球選手権:金足農5-4横浜>◇17日◇3回戦
横浜(南神奈川)が描いた夏20年ぶりVの夢は、みちのくの怪腕に打ち砕かれた。2点リードの3回。金足農(秋田)吉田輝星の打球が中堅を守る万波中正外野手(3年)の頭上を襲った。万波はいったん「捕球OK」のサインを出したが、追い風に乗った打球はグングン伸び、中堅左へストンと落ちた。「入らないと思ったのに、もうひと伸びした。立っていても分かるぐらい風がすごかった」と困惑した。
大会屈指の右腕から12安打を放った。チームの決め事は「ヘルメットのツバを下げ目線を低くすること」だった。万波はこの日今大会初安打含む2安打を放ったが、9回は3球連続で変化球を放られスライダーで空振り三振。「意表をつかれた。自分がもっと打てば勝てたかもしれない。もっとみんなと野球がしたかった。終わったばかりで次のことは考えられない」。年明けにプロ1本を表明したドラフト候補は涙した。
8回には、高橋にバックスクリーンへ逆転3ランを運ばれた。1年秋からエースナンバーを背負ってきたエース板川は「あそこまで飛ばされた自分が悪い。風は言い訳にしたくない。ここぞで1発を浴びて申し訳ない」と泣いた。現3年生は、入学時から「100回大会優勝」を目標に掲げられてきた。就任3年目の平田徹監督(35)は「3回戦で負けるつもりのチームではなかった。勝たせてやれなかった3年生に申し訳ない気持ち。負けたのはすべて私の責任」と現実を受け止めた。【和田美保】
【万波選手の紹介】
190センチ90キロ 右投げ右打ち
ポジション:ピッチャー・ファースト・センター
コンゴ人の父を持つハーフの長身選手。リーチも長く一時投手としての適正があったため高校生になってから投手としても起用されています。投手としての技術はまだまだながらも経験短ながら最速147キロを記録しており、投手としての潜在的資質も期待されています。
特徴はその身体能力の高さであり、パワーについては鎌倉学園戦で打った瞬間に外野手が動きを止めた推定飛距離143mの特大ホームランを放っており、夏の地方予選では2HR12打点を記録しています。
また身体能力の高さから誇る強肩も武器であり、崩れた体制ながらのセンターからの返球がノーバウンド送球でホーム到着時点でもキャッチャーの頭の高さだったほどの強肩を誇っています。今季の高卒選手の中でも身体能力としての評価は大阪桐蔭・藤原選手や根尾選手にも引けを取らない内容となっています。
【バックスクリーン弾】万波中正(横浜高校・3年)特大のホームラン
【指名への課題】
素材として評価は上位といいましたが、問題はそれ以外のすべてが課題ということ。まず打撃については地方予選ではまだましでしたが、甲子園では見事までのドアスイング。スイングというのは腕を振るだけでなく、腰の回転や軸となる足の躍動など様々な要素が絡み合って初めて成立するものですが、万波選手のそれは本当にただ腕を振っているだけです。このため変化球にはまるでついていけず、引っ掛けるか三振かの二択で甲子園でも14打数2安打というふがいない結果となっています。
また守備についてもセンター守備は見ていてハラハラするほど危なっかしいものであり、なんでもないセンター前のバウンドしたヒットを胸で抱え込むようにキャッチしていたり、ほぼ不動のセンターフライをわたわたしながら捕球したりと、投手の胃に穴が開きそうな内容となっています。返球も肩はいいがコントロールは悪く、力加減が上手く出来ておらず、キャッチャーが立った状態で腕を伸ばしてキャッチしていたほどでした。
はっきりいって技術面については指名候補に出てくるかどうかさえ怪しいほどです。
【指名順位予想】
残念ながら評価対象は素材のみ。打撃は一から教え直し、守備は起用できるレベルじゃないなど課題だらけとなっています。ロマン枠といっても過言でもなく、指名順位は育成2~3位が候補となっています。