読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

まさかの和田⇔古川選手のトレードで和田恋選手が楽天へ!トレードとなった理由とは

巨人・和田恋外野手(23)と楽天・古川侑利投手(23)の交換トレードが両球団の間で合意に達したことが7日、分かった。この日の午後に両球団から正式発表される。

セ・リーグ首位を快走する原巨人が、水面下で戦力整備を進めていた。先発投手の層を厚くしたい巨人と、右の大砲を求める楽天との思惑が一致。将来性のある選手同士の交換でもあり、両球団の近未来の主力となる期待を込めた印象が強いトレードとなった。

 古川は13年ドラフト4位で楽天入り。高卒ルーキーながら1年目から中継ぎで1軍登板を果たすと、18年には巨人を相手に5回8奪三振1失点の力投でプロ初勝利を挙げるなど、4勝(9敗)と頭角を現す。今季はここまで8試合で1勝2敗、防御率6・34の成績だが、6月5日の巨人戦では5回0/3を1失点の好投を見せた。伸びのある速球に、チェンジアップ、カーブなどの変化球を駆使する本格派で、若くして1軍経験を着実に積んでいることも大きな魅力だ。

 一方で楽天へ移る和田も未来の大砲候補として、13年ドラフト2位で巨人入団。長打力が最大の持ち味で、18年にはファームで2割9分6厘、18本塁打、87打点で本塁打王打点王の2冠に輝いた。同じく18年には1軍初昇格を果たし、プロ初安打もマーク。昨季、史上最年少で「3割・30発・100打点」を達成した1学年下の岡本の存在を刺激に、今季のブレイクを待望されてきた素材だ。

 巨人にとっては6月26日に発表した吉川光、宇佐見と日本ハム・鍵谷、藤岡の2対2の交換トレードに続き、今季2件目となる。巨人に来る古川、楽天へ移籍する和田とも、まだまだ成長が見込める年齢。互いに新天地での活躍に期待がかかる。

【巨人】緊急トレード第2弾! 楽天から古川を獲得、和田が仙台へ(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

 

 

【和田選手がトレードで楽天へ】

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 7月7日、巨人・楽天間で和田恋外野手⇔古川侑利投手のトレードが成立しました。現状若手先発の高田・大江・坂本工選手などがいまいち定着できず1軍ローテを中5日導入しなければならないほどぎりぎりの先発事情であった巨人に対し、楽天は18年リーグ打撃成績は本塁打はリーグ4位、打率・打点最下位と打撃面の強化が急務とされていました。そこでFAで浅村選手を獲得した一方、次代の大砲候補として獲得したオコエ・岩見・田中 耀飛選手たちがパッとせず、次代の長距離候補が補強ポイントとなっていました。

 

 先日の日ハムとのトレードはどちらもポジション補強を名目としていましたが、実際は燻る中堅を放出し環境を変えてワンチャン与えたといったものでした。今回のトレードは互いに23歳と若手。ただ和田選手も古川選手も1軍定着するには二皮剥けないとならない状態であり、こちらもある意味環境を変えて台頭を促すトレードでもありました。

 

【和田選手が放出された理由】

 ただ次代の大砲候補は巨人にとっても補強ポイント。それを担える候補だった和田選手を放出するのは巨人にとっても大きな痛手ではないのか。投手というのはなんだかんだで毎年候補は出てきますが、スラッガー候補はなかなか出てこないものです。

 それではなぜそのような候補を巨人は放出したのか。主な理由は3つとなります。

【①:壊滅的な守備能力】

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 実は和田選手は指名当初は内野手であり、それもショート・サードを守っていました。巨人入団後は主にサード・セカンド・ファーストを守りましたが、問題はその守備能力。とにかくエラーが多く足も遅いため必然的にファースト・サードが増えていきました。しかしそこでもエラーを連発しファースト・DHの守備が増えていきました。

 強肩を活かしお試しで捕手練習をさせてみると小林選手を超える二塁送球を披露し 「捕手にコンバートか!?」と話題になりましたが、結果としては外野へコンバートとなりました。強肩と守備難のなか何とか起用するためのものでしたが、それでもなかなか結果を残せず、一時戦力外候補となっていました。

www.giantsdraft.site

 

 

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 ところが18年になると突然打撃が覚醒。18年イースタン本塁打・打点の二冠に輝き1軍でもヤクルト戦に初スタメンとして起用されると初安打初打点を記録。1軍定着に向けて少しずつ実績を積み重ねていました。

 

 しかし1軍でスタメンとして使うには大きな問題がありました。それが向上しない守備であり、外野へ本格コンバートされた後、2軍ではライト・レフトとして起用されていましたが、そこでネックとなったのが鈍足。外野守備で一番足を求められるのがセンターであり、ライトはどちらかといえば肩の強さが評価されます。しかしそれを鑑みても鈍足であり、守備難となればDHがないセリーグでは起用しにくい選手となります。

 

【②:向上しなかった三振率】

 和田選手の打撃の特徴はストレートに強いこと。2軍で楽天則本選手のストレートを打ち返し本塁打にしています。一方で変化球に非常に弱く、特に縦の変化球には空振りマシーンとなってしまいます。

 この三振の多さが和田選手の大きな課題であり、19年2軍成績も174打席に対し三振は42、三振率は約24%となっており、この数字は三振率ランキングにおいてトップに入るレベルの数字となっています。二冠王だった18年も434打席101三振で同程度の三振率となっており、和田選手にとって三振の多さは1軍起用への大きな壁となっていました。

 

今季、セ・リーグで最も三振しやすかったのはどの打者か? 200打席以上立った打者の三振率(三振数÷打席数)20傑。参考までに本塁打数、打率もつける。

 セ・リーグで200打席以上は62人、そのうちの20傑。

1バティスタ(広).268(302打席81三振25本塁打 打率.242)
2中谷将大(神).264(246打席65三振5本塁打 打率.230)
3陽岱鋼(巨).261(276打席72三振10本塁打 打率.245)
4陽川尚将(神).254(299打席76三振6本塁打 打率.252)
5神里和毅(De).249(273打席68三振5本塁打 打率.251)
6阿部慎之助(巨).247(223打席55三振11本塁打 打率.247)
7ナバーロ(神).24444(225打席55三振3本塁打 打率.276)
8福田永将(中).24435(487打席119三振13本塁打 打率.261)
9嶺井博希(De).2435(230打席56三振5本塁打 打率.177)
10安部友裕(広).238(252打席60三振4本塁打 打率.236)
11ロサリオ(神).235(302打席71三振8本塁打 打率.242)
12丸佳浩(広).230(566打席130三振39本塁打 打率.306)
13大城卓三(巨).228(202打席46三振4本塁打 打率.265)
14植田海(神).226(243打席55三振0本塁打 打率.192)
15鈴木誠也(広).223(520打席116三振30本塁打 打率.320)
16ソト(De).218(459打席100三振41本塁打 打率.310)
17倉本寿彦(De).217(235打席51三振1本塁打 打率.232)
18バレンティン(ヤ).201(602打席121三振38本塁打 打率.268)
19松井雅人(中).196(260打席51三振2本塁打 打率.229)
20岡本和真(巨).195(616打席120三振33本塁打 打率.309)

三振率上位占める阪神勢…中谷はじめ2割超え多数 三振率ランキング【セ編】 | Full-count | フルカウント ―野球・MLBの総合コラムサイト―

  和田選手の打撃フォームには依然として固さのようなものが見受けられ、それ故にストレートにぶれない強さはありましたが、変化球にバットがついていかず、バットを止められないため変化球への三振が非常に多くなっています。この三振率の高さを解消することができず、首脳陣からはこのままだと2軍の帝王となり使いどころに困る選手として判断された可能性もあります。

 

【⓷:台頭してきた若手野手】

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引用:読売巨人軍公式サイト

 和田選手のポジションはライト・レフト・ファースト。残念ながらこのポジションは同学年で4番として起用されている岡本選手と同じポジションとなります。さらに岡本選手がレフト起用されているときも大城選手がファーストで起用され5番として結果を残しました。こうなると起用の見込みがあるのはライトだけですが、今年は亀井選手が好調であり、さらに2軍で5本塁打を記録している加藤選手が支配下され、2軍のライトスタメンで起用されています。

 

 さらにレフトでも高卒1年目の山下航汰選手が支配下昇格。次代の大砲候補として期待され、ライト・レフトのポジションのスタメンを奪われる結果となりました。野手全体でみても和田選手に比べ長打率は劣るものの、和田選手離脱時には4番に座り、小技ができサードを守ることができる大型右内野手の北村選手。肉体改造で体が大きくなり長打も打てるようになった重信選手。次代の捕手として2軍正捕手に座り順調に実績を重ねる岸田選手と、野手整備は少しずつ進んでいます。それに対し投手の整備はなかなか進まない中で楽天側からの提案トレードが来た今、投手の整備を優先した形となります。

 

【最後に】

 ここ一か月でチーム再編に向け支配下昇格やトレードなど様々な動きがありました。野手2名を支配下登録。野手2名・投手1名を放出し投手3名を補強。やはり首脳陣も今のチームは投手整備が急務であることを察しているようです。こうなると投手整備のためドラフトにおいて中継ぎ候補の獲得が期待されますが今年は社会人投手は小粒年。輝く選手発掘のためにも今月の都市対抗が要注目となります。