読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

2軍登板0から突然現れたセットアッパー巨人・堀岡隼人選手。特徴と支配下への課題とは

 

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引用:読売巨人軍公式サイト

 16年育成7位で巨人に入団後18年まで2軍登板0であった堀岡選手。17年には肘のクリーニング手術を行い1年をリハビリに費やすなどあまり選手として話題に上がることはありませんでした。しかし19年になるとあれよあれよと結果を残し2軍セットアッパーにまで大出世を果たしました。

 今回はそんな堀岡選手のこれまでの経緯と支配下への課題について触れたいと思います。

 

 

【堀岡選手の紹介】

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183センチ88キロ 右投げ右打ち

 堀岡選手は青森山田高校に所属。もともとは内野手でしたが高校で転向。最速144キロのストレートにスライダー・カーブ・チェンジアップを武器とする先発投手でした。その後巨人の入団テストを受け、3年春の選抜の投球内容と合わせて評価されて育成6位にて指名されました。

 入団1年目はまだ巨人3軍が再創立2年目で選手フル動員で試合成立をさせていた時代であり、高卒1年目の堀岡選手も8試合に登板しています。しかし防御率は5点台と結果を出せず、翌年は18試合に登板したものの0勝0敗防御率9点台で終わり、その年のオフに肘のクリーニング手術を受け、18年は登板もなく1年間をリハビリに費やしました。

 今年は実は自由契約となる育成3年目であり、このまま戦力外の可能性もありましたが、蓋を開けてみれば常時140後半、150超え当たり前の2軍セットアッパーとして大きく名を上げました。先発としても日ハム戦に登板し5回1失点と結果を残しました。

 


【育成堀岡隼人の投球】クックより速い140後半から150キロの直球を楽天相手に投げ込む【イースタン 読売ジャイアンツ対楽天イーグルス 2019.6.29】

【堀岡選手の武器】

【①:常時150前後のストレート】

 最速144キロだった堀岡選手はいまや最速153キロにまで球速を伸ばし、平均球速も140後半を出せるようになり150を超えることも珍しくありません。制球にはまだ課題があり、高めに抜けることもそれなりにあるものの、高めに抜けても空振りを奪えています。

 

【②:手元で落ちるフォークのようなスライダー】

 持ち球はスライダー・カーブ・チェンジアップとなっていますが、その中でも大きな武器としているのがスライダー。120後半から130キロ台で変化球としては球速が速めとなっています。

 特徴としては最初は緩く弧を描くように打者に向かい、手元で一気に落ちるフォークのような軌道を描きます。ほかにもカーブは120キロ台の高速カーブに小さな変化のチェンジアップでカウントを整えていきます。

 

 

支配下への課題】

【①:ストレートに頼り切りでは通用しない】

 19年に支配下された坂本工選手。伸びのあるストレートに変化の大きい縦のスライダーでオープン戦で好投。そのまま支配下登録を勝ち取りました。しかし支配下後は打ち込まれるようになり2軍降格。その後再昇格を果たすものの結果を残せず、2試合3失点で防御率13.50。現在は2軍で先発として起用されています。

 

 なぜ1軍で通用できなかったのか。それはストレートとスライダーに頼り切りであったこと。坂本選手の場合計算できる球がこの二種類のしかなく決してコントロールもいいほうではなかったためストレートかスライダーを待てばよく、高めに抜ければ痛打されていました。

 堀岡選手もカーブのコントロールがあまりいいほうではなく、特にクイック時は変化球全体の制球が悪化します。このため一人ランナーを出すと崩れやすく、ストレートの割合が非常に多くなるためストレートを狙い撃ちされています。

 

【②:制球重視のカーブへの進化】

  堀岡選手のカーブは120後半でカーブとしては比較的速めの球となっています。そのため緩急の球ととなっていないうえコントロールがあまりいいほうではなく、高めに抜けてしまうことが多いためカウントを悪くする球となり、あまり有効には使えていません。

 しかしカーブは本来速球派投手にとっては緩急をつけカウントを整えられる有効な球の一つ。また堀岡選手のスライダー・チェンジアップはイン・真ん中で勝負する球となっているため、アウトコースに投げる球としてこのカーブを有効に使いたいところです。そのため今よりスピードを落としコントロールを上げたカーブへの進化が求められます。

 

【⓷:スタミナの課題】

 基本的に堀岡選手はリリーフとして1イニング限定で投げることが多いものの、日本ハム戦で一度先発をしています。4回まではストレートとスライダー・チェンジアップを使い好投していましたが、5回に入ると目に見えてストレートの球威が落ちていました。

 中継ぎ調整している選手を先発として使った以上、スタミナ配分や先発としてギアの抑え方の違いはどうしてもありますが、1イニングしかいけないのとある程度のイニング数を投げられるのでは起用の幅にも大きな差が生まれます。特に1軍でチャンスをもらうには最初は敗戦処理といったロングリリーフで起用され、そこで結果を残すことで徐々に起用パターンが昇格していきます。このため中継ぎであってもスタミナは避けては通れない課題となります。

 

【今後について】

 問題となるのが今年で育成3年目で一度自由契約にしなければならないこと。常時150を出せるリリーフ候補であれば他球団に支配下登録される恐れもあります。しかし坂本工選手の現状がある以上、残りの期限で支配下登録があるかといわれれば微妙なところです。一方今の支配下枠が山下選手+デラロサ選手で67名となっていますが、悲しい話ですが戦力外候補が5月頃より増えています。

 

 デラロサ選手も勝ちパターンとして計算するには不安が残る内容であり、中継ぎの一人だった谷岡選手が今季絶望の状態であるため、とにかく1軍に上げる候補として支配下だけしておくパターンもあるため何とも言えません。しかしその期限も今月31日までとなるため、後一週間で動きがなければもう今シーズンの動きはありません。