3安打17三振で完封負けしたセンバツの屈辱から約5カ月。履正社(大阪)が因縁の相手・星稜(石川)を破り、春夏通じて初の甲子園優勝を果たした。
4番井上広大外野手(3年)がバックスクリーン左に特大の逆転3ランをぶちかますなど、星稜のスーパーエース奥川恭伸投手(3年)に11安打を浴びせて5得点。最高の舞台でリベンジを果たした。
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お立ち台で歓声と拍手を浴びる井上の目は、赤くにじんでいた。「やっと勝てたので、うれしい気持ちでいっぱいです」。チームの誰もが願った星稜へのリベンジを、4番らしく先導した。
屈辱を振り払う一撃に、井上は右拳を思い切り突き上げた。1点を追う3回2死一、二塁。初球だった。「打った瞬間確信した」。高めに浮いた奥川の宝刀スライダーを捉え、バックスクリーン左に突き刺した。今大会3発目、通算49号は千金の逆転3ランとなった。第1打席はカウント2-2からスライダーで見逃し三振。「2打席目もスライダーが来ると思っていた。狙っていました」。センバツ後テーマに掲げ練習してきた「対応力」の成果を、ここぞの場面で発揮した。
ソフトボールをしていた小5の時。自分でも驚くような大飛球を左翼に放った。走っても走っても打球が落ちて来ない。「気持ちいいなあ」。アーチストへの道を歩み始めた瞬間だった。王貞治がボールの中心から6ミリ下を打つと聞けば練習で取り組んだ。履正社入学直後の練習試合では市尼崎高の校舎の上にある照明にぶつける本塁打。推定150メートルの履正社の歴史に残る「伝説の1発」だ。
【井上選手の紹介】
187センチ97キロ 右投げ右打ち
ポジション:ライト
高校通算49本、履正社にて4番に座る右の大型外野手。振り切るスイングで膝元のボールや浮いたインハイへの変化球を持っていくパワーを持っています。打球速度も非常に早く、打った瞬間内野が反応できず外野に抜ける当たりも珍しくありません。
また低めに落ちた変化球やアウトコースを拾う技術に優れており、決して悪くないコースへの変化球をリーチの長さを活かし、腕を伸ばして拾い上げ長打にしています。このため綺麗に決まった落ちる球で仕留められないどころか打点を献上されるという投手泣かせのパワーを備えています。
2年生時にはすでに4番として起用されていましたが、膝の炎症の影響もあってか打撃の調子が上がらず秋に手術を決行。順調に回復しておりスカウトも問題なしのコメントをしています。
【指名への課題】
真ん中インコース付近を攻められると詰まらされることが多く、バットをコンパクトに出す技術が求められるゾーンでは窮屈なバッティングを強いられています。このためインコースのストレートへの対応が打撃での課題となります。
また守備については遠投115mと強肩ではあるものの守備自体は決してうまいほうではなく、無難にこなせるがあまり足が速くないためプロではレフトに回される可能性があります。右打ち外野手の時点で指名順位はある程度下がってしまいますが、そうなると指名順位はさらに低くなります。
【指名順位予想】
打撃についてはまだ硬さがあり、力で持っていっているものもあるためそれがカーブを打ち上げてしまうことの多さやインコースに詰まらされる原因となっています。
また高卒時点で外野手となると起用の幅が限られてしまい、さらに足が速くなく守備も特筆して上手いわけではないため、プロではレフトに回される可能性もある選手です。
しかし187センチという恵体はスラッガーとして魅力があり、今年は大学通して右打ち外野手が不作なため、右打ちのスラッガー候補を獲得したい球団にとって指名候補となります。ただ守備のことを考えると、DHのあるパリーグのほうが指名の可能性が高い選手となります。
順位については甲子園にて3本塁打に打率4割と打撃面で結果を残しましたが、U-18になぜか招集されず木製バットへの対応力が見れないことから4~5位の下位指名候補となります。