<U18W杯:日本16-7米国>◇1日◇1次ラウンドB組◇機張・現代ドリームボールパーク(韓国)
【機張(キジャン・韓国)1日】今度は投げた。西が止めた! 日本が、V候補で大会4連覇中の米国と対戦した大一番を制した。16得点の猛打を導いたのは、強力打線を食い止めた西純矢投手(3年=創志学園)だ。
3回に2番手で登板すると帽子を飛ばす気迫の投球で、3イニング5奪三振。3回、4回の計10得点を生み出した。前日は2本塁打8打点。佐々木、奥川の調整が進まぬ中、「高校四天王」の1人が“本業”で見せつけた。
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米国の上位打線が、西の気迫に気後れしていた。1-1と流れの分からない展開だった3回に登板。「先発と同じ気持ちで準備していた。高さだけ間違いないようにと思った」。スプリットで一番のくせ者クローアームストロングを空振り三振に取ると攻め込んだ。
2死二塁。4番ソダーストロムには3球勝負を挑み、高め147キロで空振り三振。帽子を何度も飛ばす“激投”だ。その裏、一挙5点を勝ち越し。4回も3者連続三振で抑えると、その裏に野手陣がまた5得点。「うれしい。自分がこの流れ作ったのかなってちょっと思っちゃいます」。素直に笑みを浮かべた。
前日の南アフリカ戦は、指名打者で2本塁打、8打点の大活躍。今度はマウンドに仁王立ちした。力まないよう「8割で」投げたため自己最速154キロにはおよばない148キロ止まりだったが、魂の乗った快速球は日本に勇気を与えた。「直球が走っていた。見逃しだったりファウルになったりしたので、自信になりました」。落ちる球の多投も、中学時代にNOMOジャパンで米国相手に通用した経験を生かしたという。
チーム内ではいつも笑いの中心。苦手な英語で他国選手と話す姿にナインは舌を巻く。同部屋の奥川とは夜遅くまで男子トークに花を咲かせる。「僕はあいつのファン。早くマウンドに戻ってきてほしい」。奥川、佐々木が戻るまで絶対に勝ち進む-。西は、チームの合言葉を一番深く胸に刻む男でもある。
降板後はベンチ最前列で「押せ!」と叫んだり、ピンチの飯塚に「ふ~」っと深呼吸を促したり。応援団長と化して反撃を食い止め、米国の大会連勝を18でストップさせた。
2年夏の甲子園で派手なガッツポーズを怒られ、メンタルの勉強をした。春、夏の甲子園を逃した苦い経験も成長の糧だ。西を中心にしたヤング侍たちが、大きな白星をつかんだ。
【西選手の紹介】
184センチ84キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・フォーク・チェンジアップ
ワインドアップフォームからゆっくり足を上げ力強く腕を振るフォームから最速154キロ、常時140中盤のストレートを投げ込む右腕投手。そこに130キロ台の縦のカーブ、そして大きく弧を描くカーブをメインに打ち取っていきます。その武器はストレート・カーブ・スライダー共にコントロールよく投げ込めること。スライダーの変化量は素晴らしく、大学代表相手に三振を量産していました。特に右打者に対してはカーブと似たような軌道から突然外に逃げるため有効な武器となっています。左に対してもチェンジアップ・フォークをアウトコースに決められ、左右を苦手にしません。
さらに打者としても非凡なものを持っており、高校通算23本塁打を記録。U-18ではDHで出場すると1試合2HR8打点を記録しています。
ストレートのノビがエグい・・BIG4 西純矢投手の剛腕ブルペン!イカツイイメージありましたが爽やかイケメン!
【指名への課題】
ワインドアップ時は安定しているコントロールですが、ランナーが出てクイックになるとストレート・変化球ともにコントロールが乱れるようになります。原因としてはワインドアップ時は投球後もしっかりと体が残せておりリリースポイントが安定していますが、クイックになると振りかぶる際に力みが増し投げた後左に体が流れてしまうことが多く、リリースポイントが安定しなくなりボール二つ分ほどコントロールが乱れます。
このためクイックになるとどの球も安定せずボール先行となってしまい先発としては大きな課題となります。
また西選手の行動の中で一時問題となったガッツポーズ問題。2年生の甲子園でオーバーなガッツポーズを連発し注意勧告を受けるという異例の事態となりました。今でこそ派手なガッツポーズは消えたものの、ピンチ時に抑えたりすると顔やフィールディングに感情が表れており、特にフィールディングでは明らかに力を込めたスローイングになるなど影響を及ぼしています。
【指名順位予想】
クイック時も球速を気にして力んだようなフォームとなりコントロールを乱していますが、その点が改善されれば球速とキレを備えたエース候補となります。
また感情を出しすぎるのも露出が増えるプロとしては叩かれる要素になりかねないため、感情のコントロールも課題となります。現状では外れ1位から2位指名候補となります。