ドラフト候補の郡司裕也捕手(4年、仙台育英)が攻守で躍動し立大を逆転で下した。 1点を追う6回、マウンドの好左腕・田中誠に対し「全員が工夫しないと打てない。僕は(捕手の)藤野の配球を読むことに専念した」と捕手らしい目線で内角直球を左翼線へ同点適時二塁打。リードでも初回、8回と盗塁を刺し、課題と言われている送球でもアピールした。
プロ志望届を提出し「ドラフトは早く終わってほしいですね。あまり意識しないようにしているけど、きょうは(6回に)一塁へ(けん制で)悪送球してしまったり、なんか普通ではなかった」と苦笑い。それでも5投手を粘り強くリード。1点差の9回は2死二塁から、4回にソロを浴びた太田英毅外野手(2年、智弁学園)を迎えたが、直球を要求して見逃し三振。「かわそうとしすぎてしまったので、最後は強い球で終わろうと。完璧だった」と抑えの石井雄也内野手(4年、慶応志木)を称えた。チームで踏ん張って接戦をものにし、大久保秀昭監督は「簡単にアウトにならないこと、投手も打者もつなぐことを意識しようと。瀬戸西のポジショニング、郡司のスローイングも大きかった。ポイントでしっかり粘れた」と称えた。
【郡司選手の紹介】
180センチ83キロ 右投げ右打ち
ポジション:キャッチャー
大学通算9本塁打、慶応義塾大にて4番正捕手として起用されている右のスラッガー。振り切るスイングで特に右方向への長打を数多く量産しており、その打撃能力の高さからチーム内だけでなく大学代表でも捕手ながら4番で起用されています。インコースへの厳しい攻めに対しても片手で振りぬくようなスイングながらレフト線の鋭いライナーを放っており、スイング能力の高さとパワーを披露しています。
また守備も遠投100mと捕手としては少々心もとない肩ながら、素早い送球とコントロールで盗塁を許さないリードで多くの投手を導き、1年秋から捕手スタメンで起用されるなど、打撃型捕手として上位指名候補の一人に挙がっています。
<2019年ドラフト候補>慶應義塾大学 郡司 裕也 選手(仙台育英) :東京六大学野球2018春季リーグ東大戦
【指名への課題】
チームでこそ捕手起用であるものの、大学代表ではDH起用が多くなっています。同学年に強肩の東海大・海野選手がいてそちらが捕手起用されているのも要因の一つですが、郡司選手については打撃は高く評価されているものの、守備面の評価はあまり高くありません。理由の一つが捕手としては心もとない肩の弱さ。盗塁時に球がストレートで送球体勢に入りやすい状態であれば余裕で刺せていますが、ぎりぎりの場面になると肩が弱い分送球が荒くなってしまい、盗塁を許してしまうことが多くなっています。
郡司選手については打撃評価の高さは目につきますが、守備については良くも悪くも無難。プロで1番手捕手として考えるには守備面に不安が残ります。
【指名順位予想】
捕手として計算できれば非常に魅力的ですが、現状の評価では捕手として見る場合は2軍で課題を直さなければならない状態となっています。去年オリ2位指名された亜細亜大・頓宮選手のようにスラッガー面を評価してコンバート前提での獲得もありえますが、大学通算14本塁打、遠投110mと郡司選手に比べ目立った成績を残していたため、コンバート前提でも上位指名で獲得されました。通算7本、遠投100mと見劣りしてしまう郡司選手はその分指名順位も下がります。
ただ今年は右打ちの長距離打者自体は不作であり、配球を読んで打てる郡司選手はコンバートする価値がある選手ではあると評価できます。コンバートという点から即戦力ではないため、2位後半~3位指名候補となります。