読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

ドラフト戦略に考慮すべき巨人のチーム事情の変化について【シーズン終了時点】

 ついにプロ志望届が締め切られ、指名候補選手が出そろいました。そこで最終指名予想を作る前に、シーズン終了時点での巨人のドラフト戦略に考慮すべき事情について触れていきたいと思います。

 

 

【①:セリーグ1位にてリーグ終了】

f:id:okimono:20191006172943p:plain

 巨人が5年ぶりにリーグ優勝を果たしました。これ自体は非常に喜ばしいことですが、ドラフト面で見るとマイナス材料。ドラフト指名において2位以降はリーグ順位が低いほうから指名していき、今年よりセパの指名順位は1年ごとに交代する形に変更となり今年はセリーグから指名できるようになっています。

 このため巨人の2位指名は11番目となるため、2位時点で指名できる選手はどちらかといえば3位指名に近い選手となります。特に今年は不作年となってしまっているため、巨人の指名時点で目ぼしい選手は指名されてしまっている可能性が高くなっています。

 

 

【②:入団テストの合格者0名】

 隠れた人材を発掘する目的で実施される入団テスト。巨人はこのテストを毎年実施しており、今回も22日にテストを実施しています。

 このテストに合格したからといって間違いなく指名されるというわけではなく、指名候補に載ってくるといった程度のものですが、育成指名を予想するうえでの一つの指標となります。

 しかし19年の入団テストはまさかの合格者0.その理由について、長谷川スカウト部長は「在籍している2・3軍の選手及び指名候補としている選手と比較し、合格レベルに達していないと判断した」と話しています。

 

巨人は22日、川崎市ジャイアンツ球場で新人入団テストを行った。投手32人、捕手4人、内野手11人、外野手17人の計64人が参加し、合格者はいなかった。

午前9時すぎから50メートル走、遠投の1次テストがスタート。2次テストでは投手はブルペン投球、野手はノック、フリー打撃などが行われた。

長谷川スカウト部長は「現在在籍する3軍を含めて2軍の選手であったり、今我々が視察途中であるドラフト候補であったり、育成候補かなという選手たちと比較した。今回のテストに関しての指名候補という部分に関しても見合わさせていただくということで、結果も本人たちに伝えさせていただきました」と結果を説明した。

巨人、新人入団テストに64人参加も合格者なし - プロ野球 : 日刊スポーツ

  この入団テスト合格者の中で実際に育成指名された選手というのは、本来実績から注目度の低さから指名候補でなかったものの、合格した際の内容を評価しての指名であるため、育成指名の中でも指名順位は低いものとなっています。

 巨人の育成指名選手について、入団テスト合格者とわかっているのは以下の選手となります。

05年育成1位 山口  鉄也投手

06年育成5位 芦沢  明内野手

07年育成3位 谷内田 敦士捕手

08年育成2位 尾藤  竜一投手

09年育成5位 神田  直輝投手

10年育成7位 川口  寛人内野手

11年育成4位 芳川   庸捕手

12年育成1位 田原  啓吾投手

12年育成2位 松冨  倫内野手

13年育成2位 長江  翔太投手

13年育成3位 北之園 隆生内野手

14年育成2位 川相  拓也内野手

14年育成4位 髙橋 慎之介投手

15年育成5位 大竹  秀義投手

15年育成8位 長谷川  潤投手

16年育成7位 堀岡  隼人投手

17年育成4位 田中  優人投手

17年育成5位 広畑   塁捕手

17年育成6位 小山  翔平捕手

17年育成7位 折下  光輝内野手

17年育成8位 荒井  颯太外野手

 

 

 育成制度創立当初は育成選手の立場というのは今以上に悪く、育成選手はアマチュアでありプロではないと揶揄する声もありました。このため当時育成指名で入団する選手は支配下指名の可能性が0、それでもどんなスタートでもいいからプロのチャンスが欲しいといった選手が多く、入団テスト合格=育成指名ということが多くなっていました。

 しかし山口選手や千賀選手といった育成指名からも1軍主戦力で億プレーヤーが出てきたことで育成選手の知名度や待遇も向上。それに伴い育成でも入団したいといった選手が増え、注目選手でありながら育成指名も受け入れることも多くなってきました。

 これに伴い育成上位は注目選手指名となり、入団テスト合格者は育成下位で獲られることが多くなっています。この入団テスト合格者が0であったということは、育成戦力外の少なさも含め今年は育成下位指名はあまり獲られないと考えるべきです。

 

【⓷:第一次戦力外発表】

 

巨人は1日、以下の6選手に来季の契約を結ばないと通達したと発表した。

 【支配下登録選手】

 森福允彦投手、坂本工宜投手、アダメス投手、マルティネス内野手

 【育成選手】

 山下亜文投手、田島洸成内野手

 また、以下の7選手には自由契約とすることを通知したと発表した。育成選手は3年目を終えると一度、自由契約とするルールがあるため。右肩手術から復帰を目指す谷岡も含めこれらの選手は来季、育成選手として再契約となる見込み。

 【支配下選手】

 谷岡竜平投手

 【育成選手】

 山川和大投手、高井俊投手、巽大介投手、與那原大剛投手、橋本篤郎投手、高山竜太朗捕手

【巨人】森福ら6選手に戦力外通告、谷岡ら7選手は自由契約で育成再契約へ : スポーツ報知

  第一次戦力外が発表され、FA加入後あまり戦力にならなかった森福選手や、育成から支配下契約されたマルティネス・アダメス選手といった外国人選手が戦力外となりました。また関節唇損傷の谷岡選手は育成再契約となり、第一次で6名の支配下枠が空きました。

 一方で育成選手の戦力外は2名のみ。2次でも戦力外が出る可能性がありますが、あまり育成選手については戦力外数は多くないと考えられ、それだけ指名数もすくなくなります。

 

【④:1位指名は競合覚悟の戦略】

  現状、巨人の1位指名候補は佐々木、奥川、森下の3投手が頭一つ、二つ抜けている状況で、決定はしていない。長谷川スカウト部長は、ドラフト前日の16日に全権監督の原監督を交えた会議を行い、指揮官の意向を踏まえて1位を決めるとした。「逃げたり、他球団がいくから評価を下げたりというのはしない。これだけみんなで足を運んで評価したわけだから」と競合覚悟を強調した。

【巨人】第2の戸郷を探せ!長谷川スカウト部長、ドラフト候補と会いに1万キロの旅 : スポーツ報知

  ここ3年巨人は単独指名狙いから競合覚悟の注目選手指名に舵を切っています。結果くじ自体は外し続けていますが、今年も1位指名候補は特Aである佐々木・奥川・森下選手の3名。西選手や石川選手を1位1回目指名で狙えば単独も狙えますが、その可能性は低いようです。

 

 

【⑤:17年6位・戸郷選手の活躍】

巨人は3日、東京ドームで紅白戦を行った。9日からのCSファイナルステージに向けて6投手が登板し、ドラフト6位・戸郷翔征投手(19)=宮崎・聖心ウルスラ学園高=が1回を三者凡退に。原監督は高評価を与えた。

 「優勝が決まった試合で投げさせたことが本人の大きな自信になり、われわれの戦力にもなっているよね」

 9月21日のDeNA戦で5回2失点。優勝の決まった大一番に、高卒新人として初めて先発でプロ初登板を果たした。同27日の同カードで初勝利。150キロ超の直球が自慢の右腕は「順調に来ている。この調子で投げていきたい」。CSでは2回無失点だった古川とともに、先発が早期に降板した際の“第2先発”として期待がかかる。

巨人・戸郷、紅白戦で1回ピシャリ!CSへ原監督高評価、“第2先発”期待 - 野球 - SANSPO.COM(サンスポ)

  1年目ながら2軍ローテとして活躍し、まさかの横浜との優勝決定戦で先発として起用。初登板初白星は逃しましたが、5回途中2失点でその後の逆転勝利に繋がる結果を残しました。その後のシーズン最終戦で初白星をあげ、CSでの第二先発としても名前が挙がり、1年目ながら次期の先発候補として期待されています。

 長谷川スカウト部長も第二の戸郷選手を発掘するために全国面談を実施しているほどであり、下位指名の傾向が高卒素材型中心になる可能性が出てきています。