巨人ドラフト2位指名のJR東日本・太田龍投手(21)が23日、都内の同社東京支社で長谷川スカウト部長、織田スカウトから指名あいさつを受けた。
冒頭に原監督の直筆サイン入りのドラフト会議IDを受け取り「本当に原監督のサインなのかなと…。信じられないです」と驚きながらもプロ野球選手への扉を開いたことを実感。鹿児島・薩摩川内市出身の右腕は「小さい頃からテレビで見ていた球団なので、指名されてすごくうれしかったです」と喜んだ。
190センチ、93キロと恵まれた体格から繰り出される、角度のある最速153キロの直球が持ち味。カットボール、ツーシーム、カーブ、チェンジアップを操る。鹿児島・れいめい高時代は都城(宮崎)からオリックスの山本由伸、九州産からヤクルトの梅野雄吾、福岡大大濠から阪神の浜地真澄とともに「九州四天王」として注目を浴びた。JR東日本では、18年の都市対抗野球で新人賞に値する若獅子賞を受賞した。
目標の投手はこの日日本シリーズ第4戦に先発する巨人菅野。「巨人のエースでもある菅野選手のように、日本を代表する投手になりたいなと思います」と大きな夢を描いた。
【太田選手の紹介】
190センチ93キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・フォーク・チェンジアップ・カットボール・ツーしーム
セットから軸足を落としながら右腕を下に伸ばし、落とした軸足を戻すバネを活かし伸ばした右腕を振り下ろすフォームから最速153キロ、常時140中盤のストレートを投げ込む右腕投手。力あるストレートを主体に振り下ろすフォームから角度あるフォークを武器に空振りを奪います。またフォーク以外でも130キロ台で打者の手元で小さく変化し空振りを取るツーシームも武器としており、特に左打者にとってはストレート・ツーシーム・フォークの見極めが難しくアウトコースでどんどん仕留めていきます。
高校時代より九州四天王と称され上位候補の一人でしたがプロ志望を出さずJR東日本へ就職。2年目には故障より復帰した板東選手と並び先発2枚看板として定着。都市対抗では3試合に登板し自責点0と結果を残しました。
しかし勝負となる3年目にコントロールを乱し、都市対抗にこそ出場したものの、2試合で8(1/3)イニングで8失点を喫し防御率6.48と低迷。結果2位指名にまで順位を落としてしまいました。
太田龍(JR東日本)の関東選抜リーグの投球 2019.6.26
【なぜ獲得されたのか】
今年の苦戦の原因であった先発ローテの崩壊。乗せるこのため今年のドラフトは即戦力先発の獲得が急務でした。
一方で今年は先発不作年であり、候補となる選手自体が限られていました。そこで巨人が狙ったのがエース兼即戦力にもなりうる奥川選手。さらに大卒社会人だった宮川選手でした。しかし両名とも獲得することはできず、この時点で即戦力は厳しいものとなりました。
そこで巨人は即戦力ではないものの、育てば表ローテにもなりえ、あまり時間もかからない先発実績のある素材型社会人獲得に切り替えました。堀田選手の記事でも述べたように、現在の巨人投手陣は大型パワータイプが少なく、立野選手は日ハムに獲得されていたため、残った太田選手が獲得となりました。
先発事情を踏まえれば一軍即起用が理想ですが、そこはキャンプやオープン戦で様子を見ながら二軍スターともあり得る選手となります。
【一軍起用への課題】
太田選手はコントロールよりも角度あるストレートと変化球のコンビネーションで打ち取るタイプ。ただこのタイプは制球がある程度まとまらないとバッター有利のカウントに陥りやすく、四球を恐れこじんまりとした投球をしてしまうと痛打されてしまいます。
都市対抗野球における太田選手の投球はまさにそれで、どの球もボールひとつぶんゾーンに入らずカウントを悪くし、カウントを取りに行った制球重視の緩い球をヒットにされていました。
プロ入り後は変化球の精度向上。特に決め球であるフォークは落差がありすぎて見逃されることも多いため、膝元にコントロールできるようなれば大きな武器となります。