読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

18年ドラフト指名組の1年目を振り返る。来季に向けて見えた課題は【育成指名編】

ドラフト1位で獲得した高橋選手がローテ定着。戸郷選手が1年目ながら1軍先発で起用。育成1年目の山下選手が高卒1年目で支配下昇格という異例の昇進を果たした18年ドラフト組。

 そんな18年ドラフト組の今年1年の結果を振り返り、来年への課題と戦力としての見込みについて書いていきたいと思います

 

 

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 【育成1位:健大高崎高 山下  航汰選手】

【振り返り】


巨人VS日本ハム⑥ 斎藤佑樹VS山下航汰

 1軍成績:  13打席    2安打0HR  0打点  1四死球打率.167

 2軍成績:344打席106安打7HR40打点24四死球打率.322 

 

 巨人として異例の高卒1年目で支配下登録された左のスラッガー。高校通算75本塁打、何より三振しない選手として注目されながら、身長の低さや守備難から育成指名となった選手。左のスラッガー、若手外野手の台頭が求められていた巨人にとって補強ポイントと重なっていたこともあり指名となりました。

   育成選手はほとんどか三軍スタートであり、山下選手も漏れず三軍スタートとなりました。しかし松原・和田選手が相次いで怪我で離脱すると、外野手不足から山下選手が二軍昇格。すると持ち前の打撃センスで本塁打を量産しクリーンナップに定着。頭部死球を受け打撃への影響を懸念されましたが、復帰2試合目で本塁打を放ち不安を払拭しました。

  一軍デビューも果たしたものの一軍の壁に阻まれ打率は1割。しかし二塁打も放ち来年はスタメン定着が求められます。

 

【来年への課題】

 問題はとにかく守備難の一言につきます。村田コーチからアルバイトレベルと揶揄される守備はウインターリーグでも発揮されており、阪神・片山選手とエラー量産選手として並べられるレベルです。

 このため外野守備コーチの補強が求められましたが、ファームは松本コーチのみとなり、一軍は辞めた鈴木コーチの代わりも入らず外野守備コーチ無しとなっています。野手総合コーチである金城コーチが兼任する可能性はありますが、専任コーチを補強できなかったのは痛いところです。

 

【育成2位指名 岐阜一高 平井 快青選手】

【振り返り】


2019/04/13 巨人 平井快青 2奪三振!

2軍成績:  1試合    1回  0四球  0失点 防御率0.00

3軍成績:21試合45(1/3)回30四球29失点 防御率4.17

 

  185センチの長身から最速145キロのストレートとフォークが武器の右腕投手。甲子園経験はないながらも完投実績やイニング後半になっても球速が落ちないスタミナを評価されています。

  獲得後は一年目ということもあり主に3軍で中継ぎとして起用。フェニックスリーグではリリーフとしても起用されており、不足している中継ぎ候補としても期待されています。

 

【来年への課題】

  フォークPの問題はフォークを見切られた時です。千賀選手のような急激に落ち込むフォークならば別ですが、基本的にフォークは見逃されればボールになります。スライダーやカーブを武器にする選手が多いのは、見逃されてもストライクをとれる球であり、空振りも見逃しも奪えるためです。一方フォークはボールゾーンに落ちるため、見逃されればボールとなります。

 

  谷岡選手が打ち込まれるようになったのも、決め球のフォークを多投したため見逃されるようになり、フォークを封じられたことで他の球を狙い打ちされました。このため平井選手もフォーク以外の決め球を作り、フォークに絞られないようにすることが必要です。

 

【育成3位指名 旭川大高校  沼田 翔平選手】

【振り返り】


2019/08/13 巨人 沼田翔平 タンチョウリーグ1イニング無失点の投球!

2軍成績:  3試合  9回0勝0敗  4四球  2失点 防御率2.00

3軍成績:17試合52回3勝2敗14四球20失点 防御率2.60

  最速146キロの伸びるストレートとスライダーが武器の右腕投手。1年目ながら二軍西武戦で中継ぎ登板すると、5回無失点と好投。原監督からは「きっぷのいい球を投げる」と評価され、井上3軍監督から「3軍のエース」として名を挙げられており、首脳陣からの高い期待をうかがわせます。

 来季は1軍の先発不足から2軍先発陣も総動員が予想されます。このため2軍ローテとして沼田選手が本格起用されていく可能性が高い一方、まだ体は細くスタミナの点では不安が残るため、4~5イニング程度で様子を見ていきながら2~3年後の支配下を目標に体づくりを進めていく形となります。

 

【来年への課題】

  横浜戦で先発起用された際に露呈したのが、先発として見るには厳しい引き出しの無さ。2ストライクまではいけますが、そこからなかなかアウトに出来ません。決め球が少なく絞りこみやすいため、カットされ続け甘くなった球を痛打されていました。

  まだまだ線も細く、先発としてはスタミナも懸念されます。3年のころに肩痛を押して投げ続けた過去があるため、体作りを優先して再発をしないよう配慮する必要もあります。

 

 

【育成4位指名  敦賀気比高 黒田 響生選手】

【振り返り】


ジャイアンツ育成高卒ルーキー黒田響生(敦賀気比)のスイング【読売ジャイアンツ3軍VS BCリーグ選抜2019 9 20】

2軍成績:42試合100打席15安打1HR5四球 打率.172

3軍成績:43試合178打席41安打2HR9四球 打率.244

 

  守備能力の高い大型ショートとして獲得。主な出場は三軍だったものの、増田陸選手が手術で出場できず、湯浅選手も不振が続くと二軍に昇格。打撃ではまだまだ課題も見られましたが、守備は若手内野手のなかでも頭ひとつ抜けた選手となっています。ウインターリーグでは35打数9安打で打率.286と結果を残したことから阿部監督から期待の若手として名指しされており、来季はさらに打撃を鍛え二軍スタメン定着が求められます。

  

【来季への課題】

 黒田選手は守備評価が高く、今年のオフで守備評価の高い西武・源田選手と自主トレする予定であり、さらなる守備の向上が期待されます。坂本選手の離脱が増えるようになり、選手寿命を延ばすためにも将来的なコンバートやスタメン数を減らしていく選択肢を考慮していく必要があり、若手選手のショート台頭が求められています。20台の中堅ショート候補は山本選手は打撃の波とエラーが目立ち、吉川大・増田大選手は打撃に物足りなさがありサブ止まり。守備が安定している吉川尚選手は腰痛で来季計算が未知数です。

 

 その中でショートとして台頭するには守備の安定性はもちろん、坂本選手の後釜となるため嫌がおうにも打撃成績も求められます。黒田選手が打撃を伸ばすには体の細さが課題であり、184センチと長身ながら体重は75キロと細見のため、ウインターリーグでも単打が多く支配下を取るには長打を伸ばすことが求められます。

 崩されてもヒットゾーンに持っていけるバットコントロールは魅力ですが、一方で振りぬいた当たりでも外野の頭を超える当たりは少なく、1軍スタメンを期待するには1軍投手のストレートにも負けないパワーが必要となります。

 2軍ショートは打撃に波がある湯浅選手や打撃が伸びない吉川大選手がスタメンにつくことも多く、2軍はショートが固定できていないため黒田選手にも十分に入る余地があります。阿部監督が期待の若手として挙げている間にどれだけアピールできるかが鍵となります。