読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

タイミングがつかめない段階の多いフォームのスライダーP TDK 鈴木 大貴選手 2021年解禁済右腕投手

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人生初の東京ドーム、人生初の全国大会で、みちのくの剛腕が衝撃デビューを飾った。鈴木は独特な2段モーションの投球フォームから常時140キロ台後半から150キロ台前半を計測。初回、先頭への初球を150キロで入ると、4球目には153キロで空振り三振に仕留め好発進した。さらに2回、4番打者への4球目に154キロを投じると、スコアボードに刻まれた数字に観客がどよめいた。

序盤から快調に飛ばした。「ロースコア、1点勝負になるとミーティングで話していた。前日練習では球がいってなかったが、前日よりもいってて手応えはあった」。剛速球で相手打線を押し「最初から思い切り飛ばせたのが154キロにつながった」。これまでの自己最速は151キロだったが、3キロ更新してみせた。

6回に暗転した。1死一塁、課題のセットポジションから投じた直球を、相手4番に左翼席へと運ばれた。痛恨の先制2ランを浴び「序盤からスライダーのコントロールが良くなくて、真っすぐ中心のピッチングになってしまった。張られてるのは分かっていたが、勝負にいって打たれた」と失投を悔やんだ。

182センチ、84センチの体格を誇る。社会人になり食事の量を増やし、ウエートトレーニングにも注力。大学時代から7、8キロの増量に成功した。さらに今まで行っていなかった股関節のメニューをこなすようになり「実を結んだ」とスピードアップにつなげた。

佐藤康典監督(50)は鈴木について「合格点。1発に泣かされたが、踏ん張りながら頑張ってくれた」。TDKのスタメン10人(DH含む)は、経験豊富な七十七銀行(宮城・仙台市)からの補強選手3人を除くと、7人の平均年齢は23・4歳だ。若いパワーで可能性は無限大。好投手3人を軸に来年の東京ドームでは雪辱を期す。

TDK3投手が奮闘「勝負にいって」鈴木が痛恨被弾 - アマ野球 : 日刊スポーツ

 

 

 【鈴木選手の紹介】


TDK 鈴木 大貴 投手(福島東→流通経済大):第91回都市対抗野球大会

182センチ84キロ 右投げ右打ち

変化球:スライダー・カットボール・チェンジアップ

 経歴:福島東ー流通経済大ーTDK

解禁年:2021年

 

 ワインドアップから上げきった両腕を背中にまで反らしたあと2回グラブを揺らし、そこから一気に足を上げ振りかぶる独特の間合いをもつフォームから最速154キロ、常時140後半のストレートを投げ込む右腕投手。鋭く落ちる縦のスライダーと小さく変化する横のスライダーのコンビネーションで打ち取っていきます。
 モーションの段階が非常に多いフォームのためタイミングが掴めず、さらにグラブを動かす回数を変えたりクイックで投げたりと変化をつけさらにタイミングを狂わせていきます。
 大学まではリリーフ起用が多かったものの社会人では先発に抜擢。日本製紙石巻相手に7回2/3を2安打無失点と好投。小木田選手とともに新たなエース投手として期待されています。

 

【指名への課題】

 通常のフォームは投げるまでのかなりの時間を要するためランナーが出るとフォームが大きく様変わりします。セットからほぼ腕の振りだけで投げ込むかなり投球スピードが速いフォームとなりますが、クイックになるとほぼ上半身も動かさず腕の振りで投げるため、投球内容に大きな変化が出ています。クイック時は腕の角度が異なり、スリークォーターよりも低めに振っている際はスライダーの曲がりもよく制球は安定しているものの、ストレートは140前半により球威がありません。一方で腕の振りがスリークォーターよりも高い場合は140中盤は出るものの全く制球できず四球を連発していました。

 

 またクイックになると武器の一つである投球タイミングをずらす投げ方ができなくなるため、ストレートと抜け球が増えるスライダーでは使える球が少なすぎて計算できません。都市対抗では組んだ相手がいつものバッテリーでなく、補強選手である他チームの捕手だったことも変化球とのコンビネーションを有効に使えなかった原因の一つですが、先発として計算するにはクイック時の変化球が計算できなければなりません。

 

【指名順位予想】

 先発として計算するにはクイック時のフォームの不安定さや制球が課題となります。しかし他の選手にはないタイミングのフォームやスライダーのキレは魅力的であり、クイック時の課題が改善できれば変則タイプの先発として候補となります。ただスライダー以外の変化球の精度、さらにクイック時はタイミングを崩すフォームが使えないため、クイック時は140前半となるともう一種変化球は必要です。

 

 この課題をクリアできないとランナーが出ると強みがなくなるため指名漏れの可能性が高くなります。上記課題をクリアしたうえでクイック時の球速が140中盤で制球がそれなりになれば21年は即戦力先発が少ないため、3~4位が指名候補となります。