◇20日 センバツ高校野球 天理7―1宮崎商(甲子園)
プロ注目の宮崎商・中村碧人(あおと)内野手(3年)が意地の一打でチーム唯一の得点をたたき出した。0―7で迎えた8回。1死一塁から天理の大型右腕、達の甘く入った133キロの直球を弾き返し、中越え三塁打。「まっすぐに張っていた」と胸を張った。
高校通算27本塁打の主砲は、昨秋の九州大会準々決勝で2打席連続本塁打を放って52年ぶりの出場を引き寄せた。大舞台でのセンバツ初勝利は4失策と守備の乱れもあって逃したものの、”個人戦”では負けていなかった。
初回の第1打席は見極めて四球を選び、その後の三ゴロ、中飛もタイミングを合わせた。大会前には打撃マシンを160キロに設定して目を慣らし、打撃投手には台の上から投げさせて角度も体感した。
「今まで対戦投手の中で1番良かった」と相手の達を評価しながらも、「最初の打席で真っすぐを見ても、そこまで速いと感じなかった。(その後も)いい感じにタイミングが合った」と対策の効果を実感。「夢の舞台でしたが、またここに戻って来たいと思います」と夏に向け、さらなる成長を誓った。
【中村選手の紹介】
175センチ75キロ 右投げ右打ち
ポジション:ショート
足を上げタメをつくるときにバッドの先をピッチャーのほうへ向けるフォームが特徴の右打ちの内野手。九州大会では東明館戦で2HRを放ち通算27本塁打を記録しており、打率も.375を残しており、九州を代表する強打者となります。
同じ右打ちの内野手出身である広島・鈴木誠也選手を参考にバットのヘッドが寝てしまいがちの癖やスイングの軌道を修正。長打力が伸びるようになり本塁打数を伸ばしています。
また守備では遠投100mの肩を活かし深い位置からのスローイングでアウトにする場面も見られ、攻守ともに注目されるショートとなります。
【指名への課題】
遠投100mとそれなりの強肩を保有していますが、課題はスローイング。特にダブルプレーを狙う場面や深い位置からの遠投で送球に勢いをつけるためオーバースローの角度で投げる傾向があります。深い位置からの遠投をオーバースロー気味で投げるのはプロでも珍しくありませんが、中村選手の場合二塁から一塁への送球でもオーバースローで投げるためその分角度を調整せねばならず、結果としてリリースの角度がつきすぎて二塁からの送球で高いバウンドをしてしまうような送球を見せています。
また深い位置からの遠投でもかなり角度のあるオーバースローのため投げるまでの時間がかかり、結果内野安打にしてしまうことがありました。内野として起用する場合このスローイングの矯正できるかが課題となります。
【指名順位予想】
内野手は外野にも転向できるため、スローイングについても外野手としてならばそこまで課題にはなりません。外野手のドラフト市場は不作が続いているため、内野からコンバート前提で選手を獲る選択肢も考慮に入れる必要があります。
一方で中村選手自体は長打は増えてきたものの、もともとは逆方向への打撃を得意とする中距離打者のため、高卒ショートという点を加味しても上位候補は厳しく、指名順位としてはコンバートも見据えた5~7位が指名順位となります。