<センバツ高校野球:東海大相模3-1東海大甲府>◇20日◇1回戦
東海大甲府エース左腕、若山恵斗投手(3年)は、声を上げて悔し涙を流した。延長11回123球を投げ抜いたが「チームを勝たせられなかった。ふがいない結果に終わったことが悔しくて」と唇をかんだ。
持ち味の制球力と、緩急をつけた投球で、相模打線に的を絞らせなかった。5回まで、わずか46球。6回無死一塁、得意のけん制がボークの判定。続く東海大相模・石川への初球は暴投。無死三塁となったが「自分のチャームポイント」という笑顔は絶やさず。後続を二ゴロ、見逃し三振、右飛に打ち取り、大きなガッツポーズを見せた。
7回に捕逸で先制点を許し「バッテリーの責任。投球が悪かった」と猛省。11回は、甘くなった球を痛打された。それでも、村中秀人監督(62)からは「よく頑張った」と褒められた。身長174センチ。小柄なため、軸足の左のかかとを高く上げる。ひねりも加える独特のフォームは、YouTubeで江夏豊氏らの映像を見て磨いた。足の指の力を鍛えるため毎晩、素足でタオルを100回つかむ。冬場は週1~2回、寮から約16キロ離れた渓谷の昇仙峡まで朝4時半起きでランニング。練習の成果は、確実に発揮した。「制球力を磨いて甲子園に戻ってきたい」。夏、もっと成長した姿を見せる。【保坂恭子】
【若山選手の紹介】
174センチ78キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジアップ
セットから背番号が打者に向くように上半身を反らし、重心を落とし低い位置から左腕を振りぬくフォームから最速139キロ、常時130中盤のストレートを投げ込む左腕投手。あまり上背がないことを活かした低めからリリースする直前にならないと腕が見えない出どころが見にくいフォームで打者を翻弄します。左に対してインへのストレートと外へ逃げるスライダー。右打者には膝元へのスライダーにアウトコースへの緩めのカーブで空振りを奪います。
また牽制・フィールディングもよくなかなか盗塁を決めさせないのも特徴。フォームが常にファースト側を向いているためランナーもなかなかリードをとれません。
選抜では東海大相模相手に11回3失点で敗戦投手になるも一人で投げぬきました。10回時点で100球と早いカウントで勝負できる点も評価されています。
【指名への課題】
左右どちらも被安打率は同じだったものの、インコースへのストレートにブレーキのきいたカーブ、さらにインコース低めへのスライダーが使える右に比べ、左はストレートの割合が増えるためあまり三振が取れていません。ゴロアウトが多いのが球数の少なさの要因ですが、ストレートに角度がないため引っ張りやすいのも理由の一つ。特に速球タイプでない左腕は常に計算できる変化球が2つはないと対策されてからが厳しくなるため、対左に対しスライダーの精度アップ、さらにもうひとつ変化球が必要です。
また高卒としてはまとまりすぎていることと、身長があまりないのは伸びしろという点では低評価となります。伸びしろが期待されるタイプというよりまとまっているためある程度形となり、どのように1軍戦力になるか計算しやすい大卒・社会人で指名されやすいタイプとなります。
【指名順位予想】
東海大甲府のエースで1年目から起用できる見込みがあるため、プロ志望は出さず強豪チームに入り、即戦力として指名を狙ったほうが上位を狙えます。高卒だとまとまっていても伸びしろが期待できないと評価は大きく落ち込むため、現状だと上位指名は狙えません。また育成指名を受けるほどの立ち位置でもないため、指名漏れの可能性が高くなっています。