<高校野球静岡大会:静岡7-0磐田東>◇26日◇準決勝◇静岡県草薙総合運動場野球場
伝統校の静岡高が、第5シードの磐田東に7回コールドで快勝した。エース右腕の高須大雅投手(3年)が、今大会3度目の完封勝利を挙げ、中止となった昨年を挟み、2大会連続の決勝へ駒を進めた。
◇ ◇
第4シード校の“ミスターゼロ”高須が、マウンドに君臨した。今大会4度目の先発登板で、散発4安打7奪三振完封。準々決勝で県3冠を狙った藤枝明誠を破り、勢いに乗る磐田東を寄せ付けなかった。「ストライク先行で投げられた。真っすぐの調子がよかった」とうなずいた。今大会28イニングを投げて、いまだ無失点。複数のプロ球団から熱視線を浴びる長身右腕が、期待にたがわぬ投球を続けている。
リードする川端慶(3年)との息もぴったりだった。積極的な打撃をする相手に対して、試合前にバッテリーは「内角の直球を生かしていこう」と、配球をイメージ。狙い通りに打者の打ち気を誘って球数を抑え、7回を85球でまとめた。池田新之介監督(44)は「川端が細かく打者を観察している。応えた高須もナイスピッチングだった」とたたえた。
暑さ対策も実った。今春は県大会準決勝で掛川西に4-5で逆転負け。高須は「スタミナに課題を残した」。春以降は猛暑の中で戦う夏の大会に向けて、冬場の防寒着「ウインドブレーカー」を着込んで練習をこなし、スタミナ強化に努めてきた。「最初は暑くてたまらなかったが、もう慣れた。成長を感じている」と実感を込めた。
2年ぶり26度目の優勝まで残り1勝となった。「決勝は通過点。甲子園に行くため、普段通りの投球を心掛けたい」。名門校のエースナンバーを背負う男が、闘志を燃やした。
【高須選手の紹介】
191センチ73キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・フォーク
ノーワインドアップからタメを作らず右腕を伸ばし、右手に捻りをきかせながら振り下ろすフォームから最速146キロ、常時130後半のストレートを投げ込む右腕投手。
縦のスライダーと小さく沈み込むフォークを駆使してうちとっていきます。投球のテンポの良さを強く意識しており、味方にリズムを作ることと相手打者に考える時間を与えないため、バッテリーとのコミュニケーションを徹底し、サインの相違をなくし投球テンポの改善に成功。またスタミナの消費を抑えるために、現在の力みのないフォームに辿り着きました。
静岡大会では37回無失点と圧倒的な成果を残し甲子園出場が決定。投手向きの体つきをした素材型右腕としてさらなる飛躍が期待されます。
【指名への課題】
制球は長身タイプとしてはまとまっていますが、ドラフト候補の中では全体的に高めに集まっており、特にスライダーが高めに集まる傾向にあります。
フォークは比較的制球で来ていますが、身長があるうえ腕も長いことからリリースポイントが高いため、しっかり指から離れないと高めに集まってしまいます。緩いスライダーにフォークと抜けると長打にされやすい変化球のため、コントロールの改善は一つの課題となります。
またタメがあるフォームではありませんが、クイック時でもリリースまでにかかる時間にあまり変化はなく、現状のフォームではクイックになると盗塁されやすいフォームとなっています。
クイックフォームの開発も今後の課題ですが、非常に腕のしなりをきかせた腕の振りのため、クイック時では腕の振りを変えるかすり足で投げる必要があり、コントロールの悪化が懸念されます。
【指名順位予想】
素材としては非常に魅力的な選手ですが、スタミナ・コントロール・クイックの改善等課題も数多く抱えています。長身タイプは非常に育てるのが難しく、肉体のバランスが大きく変わるため、制球が悪化しやすいタイプです。このことから素材評価は高いものの、上位指名の可能性は低くなっています。現状では指名順位は8~10位に素材評価重視となっています。
甲子園に出場するためそこでの活躍がある程度順位に影響しますが、クイック面の課題を突かれるような結果となれば、指名順位は育成2~3位となります。