巨人は17日、BCリーグ栃木のダニエル・ミサキ投手（25）と育成選手契約を結んだと発表した。背番号は「002」。ダニエルは球団を通じ「常に自分をサポートしてくれた家族、フィアンセを含むすべての皆様に感謝します。加えて、チームの一員として迎えてくださったジャイアンツ球団にも感謝します。首脳陣の皆様や新しいチームメイトとお会いすることを楽しみにしています。素晴らしい球団の一員になることができてとても嬉しいです」とコメントした。
最速152キロを誇る右腕でブラジル国籍を持つ。2013年には16歳で同国代表としてWBCに出場。同年からはマリナーズ傘下マイナーなどで、20年からBCリーグ栃木でプレーしていた。巨人がBC栃木・ダニエルと育成契約を正式発表「素晴らしい球団の一員になりうれしい」― スポニチ Sponichi Annex 野球
【ダニエル選手の紹介】
１８３センチ９４キロ 右投げ右打ち
変化球：スライダー・フォーク
ノーワインドアップから非常に大きく足を上げ、タメを作らず勢いをつけて振りぬくフォームで最速１５２キロ、常時１４０中盤のストレートを投げ込んでいきます。そこに落差のある縦のスライダー、チェンジアップ気味に落ちるフォークとのコンビネーションで打ちとっていきます。
１６歳のときのWBCブラジル代表として日本代表と対戦し１回１失点で強烈な印象を残した選手。その後マリナーズ傘下、ブルワーズ傘下チームに移籍し、２０２０年からBC栃木に所属。中継ぎとして起用され、２１年は２８試合に登板し防御率３勝１S、防御率３．５４の成績を残しています。
巨人は伸びしろを期待しての獲得であり、将来的な中継ぎ層の底上げを目的としています。２５歳と助っ人外国人としては若く、WBCではビエイラ選手や現在は通訳をしているウーゴ氏ともチームメイトだったことから、チームにもなじみやすいと判断しての獲得となっています。
【支配下への課題】
【①：安定した球種がない】
変化球のスライダー、フォークはどちらもキレがある、特にスライダーは大きな落差と緩急があり、決まれば大きな武器となる得る変化球となっています。しかしダニエル選手はどちらの変化球もあまり精度がよくないため、投げても構えたところに決まることはほぼなく、高めに抜けて見逃される場合が多くなっています。
これがストレート頼りで１５０近くを出せても打ち込まれる原因となっています。
【②：球速がバラバラのストレート】
ダニエル選手のストレートの平均球速は１４２～１５２とかなりの開きがあります。これはクイック時の球速を除いた数字となっているため、平常時での平均球速にかなりの開きがあります。
この原因はダニエル選手のコントロールの悪さにあり、１５０を超えるストレートは多くが非常に高めに抜けてしまい、カウントを悪くするだけの球となっています。
このためカウントを整えるための制球重視のストレートが１４０前半となっており、球速に大きな開きがうまれています。ダニエル選手は変化球でカウントを整えられるほどの精度がないため、ストレートに頼り切った投球となり、１４０後半でもタイミングを合わせやすく力あるストレートでも長打にされています。
【今後について】
現状の評価としては、入団当初のビエイラ選手をさらに粗くしたような選手。武器となるストレートもストライクゾーンに投げるには１４０中盤まで抑え込まれてしまうため、
精度の低い変化球を待つ必要が無く、角度ある１４０後半のストレートでも引っ張られて本塁打にされていました。まさに最初のころのビエイラ選手の失点の仕方です。
ただしクイックは安定しているため、ランナーを出すと盗塁され放題となるビエイラ選手との違いはその点となります。
制球をある程度改善させなければ武器となるストレートも全く生かせないため、必要となるのはストレート待ちにされないよう変化球の改善。そして動きが激しいためリリースが安定しないフォームも改善対象となります。アピール次第では支配下も検討となっていますが、ハイネマン選手の獲得、さらに中田選手も獲得したため支配下枠は６９名となっており戦力外・引退候補の選手が少ない２１年は安易に支配下登録しにくい状態となっています。２軍中継ぎも火の車状態のため、２軍で中継ぎ運用しながら２～３年かけて育てていく形となります。
現状でもかなり粗さが目立つ選手のため、素行不良や３軍でも５点台以上といったことが無い限り１年で切られるタイプではありません。将来性を評価しての獲得ですが、３～４年が戦力外になるかどうかのラインとなります。
