◆第103回全国高校野球選手権兵庫大会 ▽2回戦 滝川二7―0雲雀丘学園(13日・明石トーカロ)
兵庫では、滝川二が7回コールド勝ちで初戦を突破。4月の米女子ゴルフ、オーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権で日本勢初優勝を果たした梶谷翼(17)のクラスメートで、プロ注目左腕の加藤洸稀と中井駿輔(ともに3年)が2安打に抑えて完封した。
視察した3球団のスカウトをうならせた。滝川二の加藤は初回、連続四球を与えたものの、その後は最速138キロの直球を中心に9人連続で打ち取り、3回を無安打無失点4奪三振に封じた。MAX141キロ左腕は「力で抑えるよりは、球数を少なくするのが課題だった。2、3回はできた」と35球で中井にバトンを託した。
巨人の岸スカウトは「フォームのバランスがいいし、スライダーがキレる。直球の質、制球力もいい。器用なタイプで将来性がある」と評価した。4回から登板した最速143キロ右腕の中井も4回を2安打無失点5奪三振と好投した。
滝川二が誇る左右の両輪は、4月に行われたゴルフ・オーガスタ女子アマ選手権で日本勢初Vの快挙を成し遂げた梶谷と同じクラス。「同じ年で世界で1番の子が身近にいる。自分たちも日本で1番を取らないと」と加藤。中井は「自分も将来はプロ野球選手を目指している。いずれは肩を並べたい」と刺激を受けている。
社会人野球セガサミーを指揮した経験を持つOBの西詰嘉明監督(51)が3月に就任した。「日本一を目指す通過点として、この大会は勝ち切りたい」と加藤。かつて同校のサッカー部員が「大迫、ハンパないって!」の名言を残した滝川二。ハンパない快進撃で、6年ぶりに聖地へたどり着く。
【加藤選手の紹介】
変化球:スライダー・カーブ・チェンジアップ
セットから足を上げた後左肘を背中側まで回し、そこから勢いをつけて振りぬくフォームから最速141キロ、常時130中盤のストレートを投げ込む左腕投手。角度があり球威のあるストレートで押していきながら、緩く変化するスライダーに外に大きく逃げていく2種類のスライダー。スライダーと似た軌道で球速がさらに遅いカーブ、まっすぐ落ちていくチェンジアップで打ちとっていきます。
チームでは主に先発で起用。同級生の中井駿輔選手とともにエース2枚看板として起用され、雲雀丘学園戦では3回無失点と好投し、中井選手との完封リレーで注目されるようになります。フォームに癖が無くスライダーのキレもあり、伸びしろが期待される左腕となります。
9月14日にプロ志望届を提出しています。
【指名への課題】
全体的に球速が物足りなくチェンジアップは手元で落ちるのではなく投げた瞬間からまっすぐ落ちていくため、球威が無い現状では打者が引っかかっていません。スライダーは変化量が大きく対左の武器となっていますが、非常に緩い球であるため合わせただけの当たりでも外野を超える当たりを打たれていました。
また、癖はないが制球にはまだ課題があり、突然崩れストレートの四球を連発する場面がありました。スタミナもまだ足りないため5回を超えると制球の悪化、変化球の少なさから打ち込まれています。
【指名順位予想】
高卒左腕ということを考慮しても出力不足。スライダー以外は平凡ということも支配下指名の可能性を低くしています。しかし癖のなさと武器となる変化球を持っているのは評価ポイントとなるため、視察球団も少なく育成5~7位が指名候補となります。