地道に1歩ずつ1軍マウンドを目指す。巨人にドラフト7位で指名された広島新庄・花田侑樹投手(18)が広島・北広島町の同校で指名あいさつを受けた。
やや緊張しながらも「ギリギリで指名していただいて、ありがたいなという気持ちです。これから厳しい世界で、しっかり自分のできることをやって、頑張っていきたい」と決意を込めた。
中学時代の担任から教わった「コツコツが勝つコツ」を座右の銘として胸に刻む。投球中も「1つ1つ、アウトを積み重ねていくことを心がけています」と考え方はブレない。練習後も毎日のようにストレッチやトレーニングを継続してきた。
最速146キロ右腕は制球力と直球の質、フォークを武器にする。水野雄仁スカウト部長(56)からは、「(ドラフト会議では)終了予定だったところを、花田くんのために(1枠増やして)指名しました。それほど、どうしても欲しい選手だった。ジャイアンツを背負って立っていける投手になって欲しい」と期待を受けた。
巨人のエースに憧れる。菅野智之投手(32)には「コンディションだったり、試合の時にどういう気持ちで打者に投げているかを聞いてみたい。チームのエースとして、すごく勝っている。菅野投手のように勝てる投手になりたい」と目を輝かせた。中学時代は野手と投手を兼務し、高校に入ってからも野手メインの時期もあった。「エースで甲子園のマウンドに立ちたいと思って、投手中心にやりたいと思っていた」と、“エース”への思いを強く抱いていた。3年の春夏には背番号1を背負って甲子園のマウンドまでたどり着いた。プロの舞台でも、エースの背中を追って、コツコツと高みを目指す。
【花田選手の紹介】
182センチ75キロ 右投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・フォーク・チェンジ・カット
ワインドアップから癖のなくテイクバックを小さくした腕の振りから最速146キロ、常時140前後のストレートを投げ込む右腕投手。縦の小さく変化するスライダーに打者の近くで一気に落ちるカットボール、スライダーの軌道で一気に落ちるフォークで打ち取っていきます。
チームでは主に先発で起用。左腕の秋山選手とのダブルエースでチームをけん引し3年春の選抜に出場。2試合で10(1/3)回3失点で防御率1.65と好投。さらに打撃でも4番を任されており、通算3本塁打ながらもシェアなバッティングで投打ともに注目されました。
【なぜ指名されたのか】
本来6人までで終了する予定だった支配下指名で、指名人数を増やしてでも急遽指名した選手。巨人スカウトが選抜で注目した選手の一人に挙げており、その後もスカウトが密着して追いかけていました。
多くのスカウトが投手としての評価が高く、本人も投手として勝負していきたいと語っていきます。菅野選手に続く次代のエース候補がなかなか台頭せず、体の細さは目立つが回転数の高いストレートに癖のないフォームが魅力であり、伸びしろを期待しての獲得となりました。
「センバツが終わった後にケガしましたし、夏の広島大会も全然力を出し切れませんでしたから」
花田の名前が大きくクローズアップされたのは、今春のセンバツだった。冬から春にかけて球速が伸び、甲子園では最速144キロをマーク。球速アップと比例してカットボールもキレが向上し、花田の代名詞とも言える武器になった。
整った投球フォームに、当時身長180センチ、体重70キロのスリムな体型。将来性と総合力を高く評価され、花田はドラフト候補に浮上した。
だが、花田の右ヒジには痛みが走っていた。「大きなケガではない」と本人が語るように、しばらくノースロー調整を続けたところ痛みは引いた。ところが、投げ込みが不足したことで本来の投球感覚が失われていた。
今夏の広島大会準決勝・西条農戦では制球に苦しんだ。4回2/3を投げ、9四死球と乱調。チームは同期左腕・西井拓大の奮闘もあって甲子園切符をつかんだが、投手・花田としてはまったく実力を発揮できなかった。
しかし伸びしろが高く期待される高卒において、3年で成長があまり見られなかったことと、夏は故障により投げ込みが不足し、調子を落としたことにより指名順位を落としてしまいました。
本人は育成指名を辞退していたため、この順位が指名されるぎりぎりの順位。調子を落としているが、本来の実力が発揮できれば先発ローテを期待できる選手であり、打者としての能力も高くセリーグ向きであるため、巨人は指名数を当初の予定から一人増やしてでも指名しました。
【1軍起用への課題】
右に対してはスライダー、カットボール、ストレートを使えますが、左に対してはストレートとカットでストレートが6~7割程度とかなり多く、スライダーが110キロ台でコントロールも課題があるため、相手が打ち損じてくれ助かっている場面が目立ちますが、高めに抜けたり遅いためしっかり見られてボールになっています。このため左に対してはカットボールとストレートばかりの為2ストライクから粘られることが多く、インコースを攻める必要があるためストレートを制球重視となり130後半と物足りないものとなっています。
スライダーが武器としてあまり使えていないため、対左と右打者のアウトコースの責めを増やすためにもスライダーの球速アップと精度アップが求められます。
またクイックになると全体的に球速が落ち込み、縦の変化球が多いため軌道が似たようなものが多く、横の球がシュート回転するストレートしかないためクイックで球速を落ちると空振りを取りにくくなっています。
今後求められるのは全体的な球速アップとスライダーの強化。変化量の多いカーブで相手打者のタイミングを外す投球術が求められます。