<明治神宮大会:国学院大4-0九産大>◇大学の部2回戦◇23日◇神宮
九産大(福岡6大学)は国学院大に0-4の完敗で、10年秋の4強以来の初戦突破はならなかった。
最速151キロ右腕、渡辺翔太(3年=北九州)が、シンカー気味に落ちるという新球スプリーム(ツーシームとスプリットを合わせた球)を武器に7回5安打1失点、7三振を奪い踏ん張った。だが、好投報われず「ウエートトレで筋力を上げていきたい。(課題を)見直し春に向けて頑張っていきたい」と雪辱する覚悟を示した。
一方で、打線が沈黙。制球抜群の相手左腕、武内に翻弄(ほんろう)され、8回2死まで完全試合ペースと大苦戦だった。だがそこから、6番福森秀太内野手(4年=北九州)がチーム初安打。「2ストライクに追い込まれたが、食らいついた結果いい所に落ちた」という執念で外角球に伸ばしたバットの先を当て左前に運んだ。2連打で一、三塁にチャンスが広がった。だが、後続が二飛に打ち取られた。
8回は、流れを変えるための継投も不発に終わり3失点で突き放される完敗だった。
【渡辺選手の紹介】
181センチ79キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カット・パーム・スプリーム
グラブを頭の高さに構えた状態のセットからタメをつくらず早い動きで足をつけ、肘をあまり伸ばさない腕の振りから最速151キロ、常時145前後のストレートを投げ込む右腕投手。横に逃げるスライダーに左打者の外に逃げるカットボール、縦に落ちるパームにツーシームとスプリットを合わせて開発したスプリームを決め球に打ち取っていきます。
タメを作らず足の動きも少ないフォームであるためタイミングが独特となっており、そこにコントロール良く145前後のストレートを投げ込めるため、打者はタイミングをはずされたようなスイングが多く、140前半でも空振りする場面が目立ちます。
また左には外に逃げる抜いたようなカットボールで打者のタイミングを外し、さらにインコースにスライダーとパームで見逃しを奪います。さらに右には厳しいコースにストレートを投げ込み、外に逃げるスライダーで空振りを奪います。
チームでは主に先発で起用。3年秋のリーグでは防御率1.19でリーグ一位を獲得。緩急を意識した投球で左右どちらも苦手としない、タイミングが取りづらいうえコントロールもよい即戦力候補として注目されます。
【指名への課題】
課題は唯一精度が悪いスプリーム。まっすぐ落ちる球として右打者に多く用いていましたが、そのほとんどが打者が反応しない程低く落ちてしまっており、ただカウントを悪くする球となっていました。
このため右打者に対し踏み込ませて空振りを奪い球がなく、右打者からはしっかり踏み込まれ引っ張られています。左に対しては全く芯に当てさせない投球をしていただけに、対右のインコースを攻められる球の開発が今後の課題となります。
右に対しては抜いたような変化球が無いため、左打者から空振りを奪うときのようなタイミングを外させる投球術が使えないのも課題の一つとなっています。
【指名順位予想】
対右に課題こそあるものの、独特のフォークでタイミングが取りづらく、対左が安定し先発ながら140中盤を出せるのは魅力。しかし九産大からプロ入りした選手は1軍活躍ができないまま戦力外になった例が多く、直近でも以下の九産大からプロ入りした選手が戦力外となっています。
19年楽天5位:福森 耀真選手
17年楽天育成1位:井手亮太郎選手
16年日ハム3位:高良一輝選手
16年巨人育成4位:高山竜太朗選手
14年中日2位:浜田智博選手
このためリーグ成績はあまりあてにならず、国学院戦では7回1失点と好投したものの、1~2位となるには対右が安定しなければ難しい立場となっています。しかしコントロールの良さと、右腕投手にとって課題である対左の対応は目途がついているため、3~4位の表ローテでないが即戦力候補としての順位となります。