社会人野球の第92回都市対抗野球大会は28日、東京ドームで開幕し、初出場のエイジェック(小山市)は1点リードの九回に2点を奪われ1-2でNTT西日本(大阪市)にサヨナラ負けした。
エイジェックは初回、四球で出塁した日置翔兼を二塁に置き、4番生田目忍の右翼前への適時打で先制に成功した。
守っては先発左腕・林明良が走者を出しながら要所を締める粘りの投球。七回2死一、二塁のピンチも三振で切り抜けて7回を無失点に抑えたが、救援投手がリードを守り切れなかった。
【林選手の紹介】
181センチ82キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジ
セットから小さく体を捻り左肘を曲げたまま背中側に腕を回し、そこから勢いをつけてスリークォーターの角度から腕を振るフォームから最速149キロ、常時140後半のストレートを投げ込む左腕投手。
常時140後半の力あるストレートを中心に、130中盤の大きく変化するスライダーに120中盤の緩いカーブ、130中盤の真っすぐ沈んでいくチェンジアップを投げ込んでいきます。特にスライダーは独特の曲がりをしており、ストレートの軌道ながら打者の近くで突然大きく落ち込むため、ストレートとの見分けがつきにくく、打者を翻弄します。
チームでは主に先発で起用。大学では制球難に苦しみ登板機会に恵まれなかったために大学まで全く注目されていなかったものの、都市対抗のNTT西日本戦で登板すると、常時140後半を連発し7回自責点0と好投。一挙に注目株となりました。
【指名への課題】
球速のわりにストレートを打ち返されることが多く、ストレート中心だった立ち上がりは打者に見切られストレートをしっかり打ち返されていました。
また立ち上がりはストレートが高めに浮く場面が目立ち、1回のみで24球を要しています。そのため林選手の武器はストレートよりもスライダー、チェンジアップであり、ストレートは見せ球です。このストレートは変化球に比べると制球にばらつきがあり、今後はストレートのコントロール安定が一つの課題です。
そしてもう一つの課題がスタミナ。70球を超えた辺りから平均球速が5~10キロ落ち込んでおり、全体的に制球が高めに集まるようになります。また力んだ時の変化球が大きく抜ける球も序盤に比べ目立つため、スタミナアップも求められます。
【指名順位予想】
ストレートが目立ちがちですが、林選手の魅力はストレートと同じ軌道で来るスライダーとチェンジアップ。このためスタミナが切れてくると変化球が浮き気味となり安定感に課題が出てきます。また林選手は全く実績がないため、今後は都市対抗の結果がピークだったのか、それとも安定して同じ内容を残せるのかも注目ポイントとなります。
このため現状の評価では3~5位の開きがある順位。実績がつきスタミナも安定すれば2~3位の上位指名候補となります。1位候補となるには最低4種の変化球に、スライダーに加えさらにもう一つ安定してストライクを取れる変化球が必要となります。