「打った瞬間、入ったと思いました」。佼成学園の4番で一塁手の松下豪佑(2年)は会心の一振りに満足げだった。
九回表、2点を勝ち越した後に迎えた2死満塁の好機。左打席に立った松下は内角直球を鋭くたたくと、打球は右翼芝生席の上段にある植え込みへ飛び込んだ。高校通算12本目のアーチは初のグランドスラム。はにかみながらベースを一周した。
この日は攻守でミスが続いた。一回、先頭打者の打球をいきなり失策し、八回の勝ち越し機には、三塁走者で相手バッテリーのミスの間に本塁突入を試みたものの、中途半端な判断となり結局タッチアウトに。「自分が、自分が、と気負いすぎて硬くなっていた」
それでも最後には4番としての務めを果たし、「みんなに助けられました」とほっとした表情を見せた。佼成学園が目指すのは1968年以来となる選抜大会出場だ。松下は次戦に向けて、「1スイングでグラウンドの雰囲気を変えたい」と誓った
【松下選手の紹介】
180センチ81キロ 左投げ左打ち
ポジション:ライト
大学通算3本塁打、1年生のころからチームで4番として起用される左の長距離打者。フルスイングを信条としており、1年生のころからフルスイングで1年生から2本塁打を記録。さらに上級生になりフルスイングだけでなくレフト方向への打撃も重視しており、関東地区大学野球選手権では好投手である上武大・加藤泰靖からストレートをレフト前にしっかり引き付けて打ち返す打撃を披露。長打だけでなく巧打も打てることをアピールしています。
また勝負強さと出塁率も魅力で、3年秋は35打数9安打だったものの10打点を記録。三振が目立った下級生時代に比べ、9四球を選び繋ぐ四番としても成長しており、勝負強さと出塁率が魅力の左のスラッガーとして注目されます。
【指名への課題】
課題はタイミングの取り方。フルスイングではありますがタイミングを外されることが多く、特にカーブ系の球に大きく惑わされ、引っ掛けた当たりが多くなっています。高めに釣る球に対してはしっかり我慢できているものの、低めのストレートやアウトコースへのカーブ・スライダーには手を出してしまい、引っ掛けてしまうことで打ちとられてしまっているため、変化球に対してもレフト方面に打ち返せる技術の習得が今後の課題となります。
カーブやスライダーを力で持っていけるパワーがあればアウトコースへの引っ張りもできますが、松下選手はプロでは本塁打も打てる中距離打者となるため、左右にしっかり返せる打撃を披露しないと打力不足と認識されてしまいます。
【指名順位予想】
足は体格の割に速く守備は悪くないものの、ライトとなれば長打力が必要となります。身体能力タイプではないため指名で重視されるのは打撃となり、特に本塁打をどれだけ放っているかが鍵となります。出塁率は上がっているものの盗塁が出来るタイプでないため、得点に結びつけられるチャンスメーカーとしては見込めず、現状では成長したとしても2・3番か下位打線に留まっています。
このため4年生の間に4本塁打以上を記録するか、打率3割に2本塁打以上を達成できなければ指名漏れとなります。どちらを達成できた場合でも育成2~4位となります。センターを守れるかどうかが大卒以降の外野手指名のラインとなっているため、センターが守れないと求められる打力のハードルはかなりたかくなります。