◆第94回センバツ高校野球大会第1日 ▽1回戦 浦和学院4―0大分舞鶴(19日・甲子園)
21世紀枠で春夏通じて初出場の大分舞鶴は、浦和学院の先発左腕・宮城の前に2安打無得点に終わり、開幕戦での敗退となった。
先発した奥本翼投手(3年)は、7回9安打4失点。走者を出しながらも、カーブ、チェンジアップ、スプリットを効果的に使って9三振を奪うなど力投を見せた。3回までは直球を中心に無失点で抑えたが、両軍無得点の4回。無死一塁で4番・鍋倉に外角129キロ直球をはじき返されて左中間フェンス直撃の適時三塁打となって先取点を許した。さらに続く高山に2ストライクと追い込みながら、高めに浮いた115キロスプリットを中堅バックスクリーン右に運ばれた。
奥本は「変化球が甘く浮いたところを持って行かれてしまったので、そこは失投だったのでもう少し集中していけば良かった」と反省。高山に対して三振を狙ったスプリットが高めに浮いたことを「失投」と繰り返し、悔やんだ。それでも強打の浦和学院を7回4失点で抑え「長打を打たれた以外は低めに、変化球も決まって良かった。浦和学院という強豪を4点に抑えられたのは今後の収穫になったと思います」と手応えも口にし、自己採点を「その失投だけだったので、70点くらいはつけていいかなと思います」とした。
夏へ向けては「今回浮いた変化球を長打にされたので、変化球の精度を上げて高めに浮かないようにしたいです」と課題を口にしながら「今までは夢の場所だったけど、夏に絶対に戻ってきたいと思いました」と力強く言い切っていた。
河室聖司監督は奥本の投球を「結果的に長打を打たれましたけど大変よく投げたと思います。相手の強力打線に対して決して逃げることなく向かって行ったことが非常によかったと思います」とたたえていた。
【奥村選手の紹介】
179センチ72キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジ・スプリット・パーム・ナックル
セットから肘を小さく折りたたみテイクバックの小さい腕の振りでオーバースローの角度で投げるフォームから最速139キロ、常時130前半のストレートを投げ込む右腕投手。110キロ後半の縦のスライダーに100キロ後半の大きく縦に割れるカーブ、110キロ台の抜いたようなチェンジアップ。さらに高校時代より本格的に投げ込むようになった110キロ台の真っすぐ落ちるスプリット、さらに新たに習得した110キロ前後の少し外に逃げるパームでで打ち取っていきます。
武器は伸びのあるストレートに緩急を意識した変化量の大きいカーブ。強く緩急を意識させ、出どころが見にくいフォームもあり、打者の多くはカーブに全くタイミングが合わ崩される場面が目立ちました。
選抜では浦和学院戦で先発登板。7回4失点で敗戦投手となるも、毎回ランナーを出しながらも粘りの投球を見せ、強豪チーム相手に崩れない投球で注目を浴びました。
【指名への課題】
課題の一つは牽制が遅いこと。クイックになると右足を広めにに開くため牽制の為にファースト方向に体を向けるのに時間がかかり、牽制をしても余裕で帰塁されています。試合中では2盗塁を企画され1盗塁1補殺となりましたが、クイック自体もオーバースローの為時間がかかることから、盗塁されやすいのが課題の一つとなります
またストレートのばらつき。奥本選手はあまり大きく振りかぶらないテイクバックの小さい腕の振りですが、それでもストレートが高めに抜ける場面が目立ちました。奥本選手が長打を打たれた球は何れも左打者に対し高めアウトコースに抜けたスプリットですが、打たれたのはこれらの数少ない失投で左に対してはパーム、チェンジ、カーブ等使える変化球も多く、左のほうがタイミングを外され打ちあぐねていました。
対して右に対してはチェンジやスプリットが抜け気味なためあまり要求できず、スタミナが切れてくるとアウトコースに投げようとすると体がファースト側に流れコントロールが乱れるため、ストレート中心で力んでしまうことも多く、ボール先行の不利な展開になっています。
【指名順位予想】
奥本選手はカーブ、パームがあり右よりも左のほうが攻めパターンが多く、右に対してはストレートを強振されているため、対右のスライダーやインコースにストレートを投げ込めるコントロール習得が鍵となります。
パームを操り試投段階ではありますがナックルももつ珍しい選手ですが、スプリットやチェンジアップ等対左の変化球を持つ投手は他にもいるため、指名候補に大きく上がるほどの武器とはなりません。
このため現状では指名漏れの可能性が高くなっています。