<全日本大学野球選手権:福岡大2-0九州共立大>◇8日◇2回戦◇神宮
福岡大の村上幸人投手(4年=九産大九州)が8回を無失点に抑え、九州共立大との福岡ダービーを制した。
96球で被安打3の7奪三振。直球と5種類の変化球をコースに決め、チームを2大会連続の8強入りに導いた。今春リーグ戦は体調不良のため先発は2試合だけ。「2カ月ぶりの公式戦で不安だったけど、他の投手がつないでくれたので恩返ししないといけないと思った」と明かした。
▽九州共立大・梁瀬慶次郎主将(3年、福岡大・村上に無得点に抑えられ敗退)「小さく動くボールは頭に入っていたけど、考えすぎてしまった。満足いく勝負ができなかった。悔しい」
【村上選手の紹介】
178センチ75キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・カット・チェンジ・ツーシーム
セットから重心を落とし、スリークォーターの角度からテイクバックの小さい腕の振りから最速147キロ、常時140前後のストレートを投げ込む右腕投手。120中盤の縦のスライダー、100キロ後半の小さく変化するカーブ、120後半の小さく変化するカットボール、120中盤の外に逃げながら落ちるチェンジアップを投げ込んでいきます。
武器は130後半ながらコースに投げ込める制球のいいストレートと、ストレートと見分けがつきにくいカット・チェンジとのコンビネーション。左打者に対してはインコースへのストレートで攻め、ストレートを狙ったスイングをカットで空振りを奪います。さらにアウトコースへのチェンジも持っており、このチェンジは右打者の膝元に落とす決め球にも使っており、左右を問わず安定して打ち取っています。
チームでは主に先発で起用。4年春は体調不良も重なり2試合のみに留まるも、全国大会では九州共立大戦で8回無失点と好投。見事復活を遂げました。
出どころの見にくさと芯を捉えさせないピッチングが売りの技巧派として、さらなる活躍が期待されます。
【指名への課題】
課題は右打者のバッターボックス方向へストレートを投げる際の抜け球の多さ。左打者のインコース、右打者のアウトコースに投げ込むストレートは低めに決まっているものの、右打者のバッターボックス方向に投げ込むストレートは高めに抜けることが多くなっています。
そのため左打者に対してはインコース、右打者に対してはアウトコースへと配球が偏っており、空振りこそ取れているものの、打者のスイングは迷いのないフルスイングを披露されています。特にタイミングが合わないとファールになるインコースを攻められる左に比べ、アウトコース中心になる右打者は合わせやすく、長打こそないものの合わせやすく、九州共立大戦でも左打者を中心としたスタメンながら、5被安打中3被安打が右打者となっています。
技巧派として起用するには投げられるゾーンに偏りがあるのは課題となります。
【指名順位予想】
良くも悪くもまとまったタイプで、即戦力として見るには投げられるゾーンに偏りがあり、上位指名は厳しい状況となっています。
ある程度伸び尻も期待される大卒投手ではまとまったタイプは注目株とはならず、プロ入り後は芯を外すゴロピッチャーとして先発起用が将来的な展望となるため、右打者からはあまり見づらいフォームでないこともあり、対右対策の為にストレートの制球力アップ、さらにインコースをつけるシュートを投げられるようになれば、左右に安定して投げられる技巧派即戦力として上位候補となります。
ただこれらの習得が卒業までに身に着けられる見込みは低いため、球速が無い技巧派は即戦力と判断されないと指名が厳しいため、指名漏れの可能性が高くなっています。社会人に進みしっかり成長すれば即戦力として上位を狙えるため、育成指名を受ける可能性も低くなっています。