読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

巨人は2022年ドラフトで捕手を獲得すべきか

 

 先発、中継ぎ、坂本選手の後継者、外野手の主力と補強ポイントだらけの巨人。そのなかで大城・小林・岸田選手に加え、山瀬選手や喜多選手も出てきた捕手は数少ないストロングポイント。

 しかしシーズンの中で露呈した捕手起用の問題から、2022年は捕手を獲得するべきかについて解説していきます。

 

【2022年ドラフト市場における捕手事情】


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 まず2022年のドラフト市場ですが、全体的に不作です。コロナで高校生の試合がいくつも中止され、アピールの場が奪われたというのもありますが、競合クラスの1位が甲子園で大活躍した高松商・浅野選手と二刀流候補の日体大・矢澤選手。それ以外は1位と2位の中間といった評価が多くなっています。

 そのなかでも比較的豊作なのが大卒捕手。去年から注目されているアベレージヒッターの名城大・野口選手を筆頭に、打てる捕手として注目される神奈川大・土井選手や横浜大・吉田選手。大型捕手の上武大・小山選手。打撃に課題があるも強肩を評価される東京大・松岡選手や近大工・石伊選手と注目株が揃います。

 高校生捕手でも甲子園では2本塁打に打率5割と打てる捕手として期待される大阪桐蔭・松尾選手。守備が高く評価される九州国際大付・野田選手。50本塁打超えの大型捕手、花巻東・田代選手と粒ぞろいの年となっています。

 

【巨人の捕手事情】

 現在巨人は大城選手を正捕手とし、2番手として小林選手。3番手は岸田選手だったものの、今年に入り打撃の不調、守備面での課題から2軍に落とされ、代わりに高卒3年目の山瀬選手が台頭。元々強肩が売りの守備型捕手として入団したものの、今年に入り課題だった打撃も調子が上がり、2軍では106打数28安打2本塁打、打率.264と結果を残し、1軍でも緊急先発となった赤星選手を勝利に導くなど実績を積んでいます。

 去年支配下された喜多選手も3番手を争い、20日の阪神戦ではスタメン捕手として起用され、補殺するシーンもありました。

 2・3軍では岸田・山瀬・喜多選手のなかで3番手として呼ばれていない選手が順々に起用され、3軍では1年目の亀田選手と大津選手がスタメンで起用されることが多くなっています。

 正捕手に次代の1軍捕手候補。さらに底上げが期待できる捕手と、これだけ見ると捕手の補強は必要が無いように見えますが、なぜここにきて捕手補強論が現れたのでしょうか。

 

 

【起用したことで見えた2番手以降の打撃】

 今の巨人は打撃の柱となる選手が少なく、坂本・岡本・丸・中田・ボランコ・吉川選手が中心。これらの選手が下がってしまうと次に現れるのは打率1割台の北村・湯浅・増田大・重信選手と打撃が期待できる選手がおらず、柱である選手の誰かが不調に落ちれば途端にチーム全体の得点力が落ち込みます。

 このため本来であれば守備が重視される捕手というポジションでも他球団より求められる打撃のハードルが高く、長打が期待される大城選手がスタメンとなる割合が多くなっています。

 

 しかし捕手は守備において非常に負担が大きく、ファイルチップの直撃といった故障のリスクも高いポジション。今は多くのチームが複数の捕手を併用していく起用がスタンダードとなっており、大城選手は起用を続けるとスタミナが切れて打撃・守備共に大きく落ち込む課題も持っています。

 そこで2番手捕手といった話になりますが、そこで出てくるのが2番手候補の打撃。

  上記は22年の捕手の1軍成績。打撃で結果を残しているのは岸田選手ですが、岸田選手は2失策とかねてから守備面で課題があり、打撃がいいためスタメンよりも代打での起用が目立っています。

 小林選手は元々打撃面での評価は低いうえ今年で33歳。選手としてのピークもすぎており、主に終盤で大城選手に代走を出した後の起用が多くなっています。山瀬・喜多選手はそもそも起用された試合自体が少ないため1軍でどれだけ打撃が通用するかは未知数です。

 

【補強の戦略について】

 具体的なドラフトの戦略ですが、優先順位としてはやはり外野手。そして坂本選手の後継者となる大卒社会人内野手です。このため1・2位は使えません。2位で吉田・野口選手のどちらか残っていれば狙うのも一つの手ですが、理想は3位で即戦力でない打撃型捕手の獲得です。1軍捕手はまだ回せているため、小林選手が守備面でも衰えが出てくるであろう2~3年後の主力化を見据えての獲得となります。

 無理して獲得に行く必要はありませんが、今年は打撃型大卒捕手が粒ぞろいのため、豊作の年に獲得の行くのは戦略としては適当といえます。

【岸田選手のコンバートの可能性について】

 ここで一つ可能性として現れるのが、岸田選手のコンバートです。岸田選手の現状は山瀬選手や喜多選手よりも首脳陣の期待は低く、3番手捕手を奪われており、課題だった守備も改善の傾向が見られません。

 一方で2軍では4番として起用され、1軍でも.250残す打撃力は魅力であり、高校時代はショートとして起用されていたため、今の捕手メンバーの中ではコンバートさせやすい選手です。ですが捕手としては速いだけで俊足というわけではなく、2軍でも盗塁は0であるため、メインはライト・レフトとなります。

 また年齢も25歳になるため、コンバートするなら1年は守備経験を積ませる必要があるため、コンバートの期限は来年が限度。来年もコンバートがなく2軍起用が多くなれば、トレードの可能性も出てきます。田中貴也・炭谷選手のトレードから見てもわかるとおり捕手の需要は高く、その中で20代後半の捕手となればトレード要員としてもある程度の戦力とのトレードが見込めます。