読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

2022年読売ジャイアンツ育成指名を振り返る。9人中8名と高卒大量指名

 プロ野球ドラフト会議が20日、都内のホテルで行われ、巨人は育成指名で計9選手を獲得した。
 支配下指名ではドラフト1位で阪神との2球団競合の末、浅野翔吾外野手(17=高松商)の交渉権を獲得。その後は2巡目・萩尾匡也外野手(21=慶大)、3巡目・田中千晴投手(22=国学院大)、4巡目・門脇誠内野手(21=創価大)、5巡目・船迫大雅投手(26=西濃運輸)を指名。浅野以降は大学生と社会人選手の即戦力を獲得した。

 育成指名では1巡目・松井颯投手(22=明星大)、2巡目・田村朋輝投手(18=酒田南)、3巡目・吉村優聖歩投手(17=明徳義塾)、4巡目・中田歩夢内野手(18=東奥義塾)、5巡目・相澤白虎内野手(18=桐蔭学園)、6巡目・三塚琉生外野手(18=桐生第一)、7巡目・大城元投手(18=未来沖縄)、8巡目・北村流音投手(17=桐生第一)、9巡目・森本哲星投手(18=市船橋高)を指名した。

 支配下指名と合わせて計14選手を獲得し、投手8人、内野手3人、外野手3人で捕手は0人だった。

【ドラフト会議】巨人、育成で9選手指名 支配下指名と合わせて計14人も捕手0人― スポニチ Sponichi Annex 野球

 

 

【9名中8名が高卒選手だった育成指名】

 育成指名は予定通り9名を指名。しかし1位の明星大・松尾選手以外すべて高卒選手という非常に偏りのあるドラフトでした。

 今年はコロナで対外試合や練習が中止になることも多く、高卒選手が本来よりもポテンシャルを伸ばせず、またアピールする機会も少なかったため例年よりも原石が多い年とされていました。そのため高卒不作年といわれていましたが、一方で育成で狙うならばねらい目の選手が多くなっていることでもあります。

 

【育成1位指名 明星大 松井 颯選手 大卒右腕投手】

巨人から育成1位指名を受けた明星大・松井颯投手(22)が20日、八王子市内の同大学キャンパスで取材に応じた。

 花咲徳栄高では日本ハム・野村佑希内野手と同級生で最速141キロの控え投手だった。高校の1学年先輩には中日・清水達也投手もいて、「こういう人がプロに行くんだなと思って見ていました」と背中を追ってきた。

 大学では1年時に体作りに専念したこともあり、最速154キロ右腕に成長。抜群の制球力の持ち主で、変化球はスライダー、カーブ、シンカーを器用に操り、主要な球種を磨くために大学4年時にあえて封印していたというカットボール、フォークもプロでは解禁して1年目から勝負をかける。

 明星大から育成選手で巨人入団といえば、松原聖弥外野手と全く同じ道。「自分も同じように支配下登録を勝ち取って活躍したいです。菅野投手は経験豊富で日本を代表する投手なので色々聞いてみたいです」と対面を心待ちにした。

【ドラフト】巨人育成1位の松井颯「菅野投手に色々聞いてみたい」最速154キロで抜群の制球力(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース


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 最速154キロ、大学に入り大きく能力を伸ばした選手。入学当初は監督から小さくまとまった選手とあまりいい評価ではなかったものの、大学で徹底的なウェイトで体重を10キロ近く増やし、最速を154キロにまで伸ばしました。

 体づくりをメインに行っていたため、先発として本格稼働は4年生になってから。奪三振に力を入れており、ストレートは140後半を記録しスライダー・チェンジを投げ込んでいきます。スペックの高さから上位指名が期待されていましたが、実績の少なさと首都2部という投高打低である点、さらにフォームもリリースの瞬間に力がこもってしまいそれまでの動作が無駄になるなど課題もあることから、想定よりも低い順位での指名となりました。

 大学から大きく球速を伸ばした伸びしろを期待しての獲得となっています。

 

 

【育成2位指名 酒田南 田村 朋輝選手 高卒右腕投手】

プロ野球のドラフト会議が20日開かれ、酒田南高校の田村朋輝投手が巨人に、育成ドラフト2位で指名された。
東京都出身で酒田南高校の田村朋輝投手は、巨人から育成ドラフト2位で指名された。田村選手は、身長184センチ体重81キロの右投げで武器は、最速152キロのストレート。エースとして去年秋の県大会優勝、ことし春の県大会で準優勝に貢献した。20日、酒田南高校で指名の瞬間を見守った田村選手。「自信のあるストレートとスライダーを磨いて良いピッチャーになれるように頑張りたい」と意気込みを語った。

酒田南田村朋輝投手「ほっとしてる伝統のあるチームなので伝統を壊さないようにジャイアンツの顔になれるような選手になりたい」

【ドラフト会議】 巨人 田村朋輝投手(酒田南)育成2位指名(YBC山形放送) - Yahoo!ニュース


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 最速152キロ、高校に入り急成長した右腕投手。入学当初は食が細く家族が心配するほどでしたが、入学後に食トレに励み、体重は入学当時から20キロも増えています。最速も15キロ以上伸ばしており、巨人が好きなら最終年度に一気に成績を伸ばしたタイプとなっています。

 東北地区No.1と称された素材の良さとストレートが武器ですが、150キロ越えも珍しくなくなった現代において、ストレート以外の変化球の精度と全国大会未出場の点から育成指名となりました。

 

【育成3位指名 明徳義塾 吉村 優聖歩選手 高卒左腕投手】

巨人・育成3位の明徳義塾のトルネードサイド左腕・吉村優聖歩(ゆうせふ、17)に吉報が届いた。甲子園に2度出場し、U18日本代表にも選出された。「うれしい。新しいスタートラインに立った。早く上で投げたいので、体づくりから」と意気込む。

 2年夏の甲子園で、ともにチームを8強に導いた代木は、昨年ドラフト6位入団。「またライバルになるので頑張りたい」と、先輩を追い支配下を勝ち取る。

【巨人育成3位】明徳義塾・吉村優聖歩、甲子園2度出場の左腕「早く上で投げたいので、体づくりから」 : スポーツ報知

 


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 大きく体を捻り顔がセカンドを向くほどに捻った後、そこからスリークォーターの角度から腕を振るトルネード投法が特徴の左腕投手。トルネードですが球速よりもタイミングのとりにくさ、球の出どころの見にくさが武器となっています。

 ただトルネードの弱点であるクイック時は手投げに近いフォームになってしまうこと。また高卒選手は1年で体が大きく成長するため体のバランスが崩れやすく、肉体の成長により制球が崩れることが課題。特にバランスが重要な変則フォームは高卒では敬遠されがちなため、育成指名となりました。

 巨人としては先発よりも中継ぎとしての獲得となります。

 

【育成4位指名 東奥義塾 中田 歩夢選手 高卒右内野手

巨人育成4位の東奥義塾・中田歩夢内野手(18)は「ずっとドキドキしていて、(名前が)呼ばれてくれ、と待っていました」と話した。

 遊撃手兼投手としてプレーし、守備範囲の広さと遠投120メートルの肩の強さには自信がある。「周りはすごい才能を持っている選手ばかり。いろいろ教えてもらって吸収したい」と、支配下登録に向けて成長していく。

【巨人育成4位】東奥義塾・中田歩夢は守備範囲の広さと肩の強さが自慢「呼ばれてくれ、と待っていました」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

  


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 遠投120m、小柄ながら種の良さが光る高卒内野手。堅実な守備とシェアなバッティングが特徴となっています。

 今年黒田・ウレーニャ選手と育成内野手を2名戦力外にしていたため、3軍運営のためにもセカンド・ショートを守れる内野手の獲得は必須でした。長打が売りでない選手のため、スカウトも川相2世となることを理想としています。坂本選手が下がって以降安心して守備を任せられる選手がおらず後半のエラーからの失点が課題でした。そのため小技も出来る守備型、1・2番バッターとしての成長に期待したいところです。

 

 

【育成5位指名 桐蔭学園 相澤 白虎選手 高卒右内野手

 桐蔭学園・相沢白虎(はくと)内野手(18)が巨人から育成5位指名を受けた。埼玉・新座ボーイズ時代に日本代表に選出された強肩強打の右の遊撃手で“ポスト坂本”の期待大。

 小さい頃、テレビ中継でよく見ていた巨人の指名に「すごくうれしかったです。プロで20年活躍する選手になることが目標です」と話した。

【巨人育成5位】桐蔭学園・相沢白虎は強肩強打の右の遊撃手「プロで20年活躍する選手になる」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース


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 通算19本塁打、振り切るスイングで引っ張りの打撃が魅力の打撃型内野手。4位の中田選手は守備型であるのに対し、5位の相澤選手は打撃はまだ荒く、守備面ではとってから投げるまでに時間がかかる両面で荒さが目立つため、素材型の内野手となっています。

 ショートだけでなくサードもこなしているため、打撃をいかすためにショート以外での起用の可能性があります。

 

【育成6位指名 桐生第一 三塚 琉生選手 高卒左外野手】

◆2022年 プロ野球ドラフト会議 Supported by リポビタンD(20日)

 桐生第一のパワーヒッター・三塚琉生(るい)外野手(18)と、最速146キロ右腕・北村流音(りお)投手(17)が、それぞれ巨人の育成6、8位で指名された。

 小さい頃から巨人ファンだったという三塚は「鳥肌がすごくて、生きてきたなかで一番うれしかった」と、喜びを隠さなかった。高校通算31発と、長打力がアピールポイント。目標の選手に「勝負強いところが好きでした」という亀井打撃コーチの名を挙げ、「気を引き締めて精進し、いち早く支配下に入りたい」と誓いを立てた。

 育成8位の北村は「ホッとしたし、ビックリもしました」と、正直な思いを述べた。気迫あふれる投球が身上の右腕は「菅野投手の投球技術を見習いたい」と、夢を膨らませた。

【巨人育成6位&8位】三塚琉生「生きてきた中で一番うれしい」北村流音「ホッとした」桐生第一からダブル指名 : スポーツ報知


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 通算31発、フルスイングで長打を生み出す左のスラッガー。野手としてセンターを守り、投手としても最速146キロを記録します。ただ投手としては高卒としても荒さが目立つため、巨人は外野手として獲得しました。

 テスト入団の1人で課題だった左のスラッガー候補の外野手を獲得。上位指名とまではいかずとも、下位~育成上位くらいの指名順位と考えていたため、この順位で獲れたのはなかなかに上手い指名でした。

【育成7位指名 未来沖縄 大城 元選手 高卒右外野手】

プロ野球新人選手選択会議(ドラフト会議)が20日、東京都内で行われ、KBC学園未来沖縄の投手の大城元(石田中出)が巨人から育成7位で指名を受けた。

 大城は身長180センチ、80キロの右投げ、右打ち。長身から繰り出す最速148キロの直球が武器で、縦と横の2種類のスライダーにカットボール、チェンジアップを操る。打力にも定評があり、3月の県春季大会3回戦の名護戦では、先頭打者アーチを放った。

 7月の全国選手権沖縄大会はエースとしてチームの4強入りに貢献。準決勝では、優勝した興南に9回137球を投げた。

大城元、巨人が育成7位指名 プロ野球ドラフト KBC学園未来沖縄の投手(沖縄タイムス) - Yahoo!ニュース


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 最速148キロ、投手兼外野手として活躍する右腕投手。主に投手として活躍していますが、巨人としては高い身体能力を活かした外野手としての獲得となっています。野手としては主にライトを守り、高い身体能力とシャープなスイングの中距離打者。足も速いため、1番バッター候補として率と盗塁が出来るチェンスメーカーとして期待したいところです。

 ファームの若手外野手は岡田・保科・鈴木大・浅野・三塚・大城・ティマ選手と一気に候補が増えたため、来年度のように起用していくかが注目となります。

 

【育成8位指名 桐生第一 北村 流音選手 高卒右腕投手】

◆2022年 プロ野球ドラフト会議 Supported by リポビタンD(20日)

 桐生第一のパワーヒッター・三塚琉生(るい)外野手(18)と、最速146キロ右腕・北村流音(りお)投手(17)が、それぞれ巨人の育成6、8位で指名された。

 小さい頃から巨人ファンだったという三塚は「鳥肌がすごくて、生きてきたなかで一番うれしかった」と、喜びを隠さなかった。高校通算31発と、長打力がアピールポイント。目標の選手に「勝負強いところが好きでした」という亀井打撃コーチの名を挙げ、「気を引き締めて精進し、いち早く支配下に入りたい」と誓いを立てた。

 育成8位の北村は「ホッとしたし、ビックリもしました」と、正直な思いを述べた。気迫あふれる投球が身上の右腕は「菅野投手の投球技術を見習いたい」と、夢を膨らませた。

【巨人育成6位&8位】三塚琉生「生きてきた中で一番うれしい」北村流音「ホッとした」桐生第一からダブル指名 : スポーツ報知

 


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 最速145キロ、三塚選手とともにテスト入団した右腕投手。伸びのあるストレートとスライダーが武器となっています。また打者としても振りぬくスイングでレフトスタンドにボールを運べるパワーがあり、打者としても魅力的な選手となっています。

 巨人は投手としての指名ですが、怪我に悩まされ練習できない期間も多かったためかコントロールにはばらつきが残っています。

 

 

【育成9位指名 市船橋 森本哲星選手 高卒左腕投手】

プロ野球新人選手選択会議(ドラフト会議)が20日開かれ、育成選手選択会議にて、市船橋高(船橋市)3年、森本哲星投手(18)が巨人から9巡目で指名された。巨人の育成指名は9巡目が最後で、まさに滑り込みでプロ入りを決めた形となった。

「やっと選ばれてほっとした。最後まで残ってしまったが、呼んでもらったのですぐ活躍できるよう頑張りたい」。指名後に高校で行われた記者会見で、森本投手はそう話した。

鳥取県出身。野球の強い高校に通うため、スポーツで有名な市船橋に双子の兄の哲太選手と共に入学した。市船橋では、食べる回数を増やして体重を増加させ、左腕から放たれる最速143キロの直球とキレのあるカーブを描くスライダーを武器に活躍。3年夏の県大会決勝では9回180球を1人で投げ抜き、市船橋を15年ぶり6回目の甲子園出場へと導いた。

甲子園球場での第104回全国高校野球選手権大会初戦では、三回途中から継投し、四回以降を無失点に抑え、八回には同点の適時打の活躍をするなどピンチを救い、市船橋の25年ぶりとなる夏の甲子園勝利に貢献した。2回戦では途中登板で逆転負けを喫したが、先月には第30回U18W杯の日本代表メンバーに選出され、ドラフト会議が注目されていた。

森本投手は、プロでの目標は支配下登録だとして、「目標はプロ野球選手になることではなく、活躍すること。活躍できるように頑張りたい」と意気込んだ。

【ドラフト会議】千葉・市船橋高の森本哲星投手 育成指名9巡目で巨人に滑り込み - 産経ニュース


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 最速143キロ、2種類のスライダーが武器の左腕投手。U-18代表にも選ばれた好投手の一人です。2年冬に食トレと体づくりに取り組んだことで体重を8キロ増やし、球速が伸びたことで大きく飛躍しました。

 上半身を捻り振り下ろすフォームのため、クイックになると捻りが減りストレート・変化球のキレが落ちてしまうのが課題。球威で押していくタイプでなく、球種の組み合わせで狙い球を絞らせない投球術を完成させるのが理想となります。

 

【指名まとめ】

 今年は当初表明されていた大量指名を続けるとされた最後の年。育成と発掘を掲げていたため、今年コロナで出遅れが目立つ高卒選手を中心に指名しました。

 現在巨人は24年にファーム向けの新球場建設を予定しますが、球場だけでなく、23年11月完成予定の選手寮も新たに建設しています。いつでも練習できるようにする環境を作るために室内練習場付近に建設しており、室内練習場も24年4月完了予定で改修工事を予定しており、3軍拡大に向けた動きも見せています。

 24年に育成に向けた設備投資の本格稼働となるため、今年は再来年を見据えた先行投資の年となっています。