広陵(広島)は、先発の倉重聡が8回を1失点に抑える好投で、大会2連覇に向けて好発進した。
新チーム結成後、公式戦初先発の2年生左腕が勝利に貢献した。伸びのある直球で相手打線を力でねじ伏せ、三回まで無安打投球。八回、味方の失策絡みで1点を失ったものの、自己最長の8回を投げ抜いた。
公式戦の先発は、1―2で敗れた夏の広島大会3回戦・英数学館戦以来。敗れた責任を感じ、しばらく落ち込む日々が続いた。励ましてくれたのは1学年上のチームでエースだった森山陽一朗。「春、甲子園に行ってくれたらいいから」。そのひと言で気持ちが奮い立った。
その先輩が一塁側スタンドから見守る中、堂々の投球を披露。「バックを信じて投げられた。自信になった」と白い歯をのぞかせた。
【倉重選手の紹介】
184センチ83キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ
セットから角度をつけたフォームから最速141キロ、常時130前半のストレートを投げ込む左腕投手。120キロ前後のスライダー、100キロ台のカーブを投げ込んでいきます。
武器は130キロ台ながら、右打者のインコースに食い込む角度あるストレート。右打者に向かっていくように投げ込む力あるストレートで左右を問わず押していき、手元で落ちるスライダーで空振りを奪い、100キロ台のカーブを組み合わせることで球速差以上の緩急を生み出し打ち取っていきます。
チームでは主に先発で起用。秋季中国大会では4試合で先発し23(1/3)回でわずか5失点。防御率0.39と好投しています。広島大会3回戦で2回2失点と結果を残せずチームも敗退。悔しさをバネに連日の投げ込みでスタミナをつけ、秋の急成長に繋がっています。
角度のあるストレートが武器の大型左腕としてさらなる成長が期待されます。
【指名への課題】
課題の一つはクイックの遅さ。倉重選手のクイックは通常のセットとあまり変化がなく、クイックとしてはかなり遅い部類の投球時間となっています。ストレートを投げたタイミングでの盗塁ですら送球が二塁に到達する前にランナーが到達しており、現状では盗塁されるリスクが高くなっています。
そのためランナーを意識せざるを得ない投球となっており、牽制の回数が非常に多くなっていることから、投球テンポが悪くなっています。
また体を突っ込ませるため投げられる変化球が限られており、ブレーキの効いたスライダー・カーブ系は投げ込めていますが、チェンジ系の外にまっすぐ逃げる球は外に抜けやすいためまだ投げることができていません。
そのため左に対してはストレートの割合が高く、チェンジ・カーブ系も球離れが早いため頭部付近の高めに抜けることが多くなっています。
【指名順位予想】
高卒としても素材型として見られますが、クイックの甘さや変化球の精度。チームではエースナンバーではなく2番手であり、広陵は1位クラスの目玉選手でないと進学・就職する傾向が強いことから、進学・就職に進む可能性があります。
高卒左腕が支配下される条件として、先発として6回以上を投げた実績が豊富であること。スライダー・チェンジで安定してストライクを取れることが条件であるため、2番手でまだ長いイニングを投げた実績が少なく、スライダー・カーブの精度に甘さがあるため、現状では育成3~4位が候補となります。
先発1番手として実績を残し、最低1球種を安定してコントロールできるようになれば5~6位が候補となります。