読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

高卒4年となる巨人・菊田拡和選手。現状と1軍への課題とは

巨人の菊田拡和内野手(21)が22日、10万円アップの年俸620万円で契約更改した(金額は推定)。プロ3年目の今季はケガに悩まされた。春季キャンプ前に有鉤(ゆうこう)骨を骨折し、シーズン中には右手人さし指を骨折。「悔しい年になった。来年が勝負になるし、もう若手じゃないと思うので1軍に2軍より多くいられるように頑張りたい」と語った。

レギュラーを目指す上で三塁の岡本和、一塁の中田が立ちふさがるが「ポジションに限らずどんどん来年はアピールして先輩に追い付いていきたい」と守備位置はどこでもチャレンジする意欲を見せた。

【巨人】菊田拡和10万増620万円「来年が勝負、もう若手じゃない」守備位置どこでも挑戦意欲 - プロ野球 : 日刊スポーツ

 

 

【この1年で厳しい立場になった菊田選手】


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 19年ドラフト3位で入団した菊田選手。通算58本塁打を誇り常総バレンティンと称された右打ちのスラッガーは、右打ち野手が不足している巨人において、次代のクリーンナップ候補として期待されていました。

 しかし2軍では下位打線に落ち込むことも多く、今年のファーム本塁打数も303打席でわずか4本塁打と期待される結果を残せていません。高卒3年目ということでまだ余裕があるように見えますが、1年後輩の秋広選手は9本塁打で順調にスラッガーとして成長しており、さらに不足していた右打ち野手も、ドラフト1位で浅野選手、2位で萩尾選手。さらに育成では4位で中野選手。5位で相澤選手。7位で大城選手、8位で北村選手。

 加えて現役ドラフトでオコエ選手を獲得したため、わずか1年で7名が入団。外国人でもブリンソン選手を調査しているため、ブリンソン選手が入団すれば8名も増えることとなります。また増田陸選手も本格的に外野に挑戦しており、1軍実績のある右打ち野手もここに加わります。

 外野でも起用されていた菊田選手が1軍を狙うなら外野でしたが、その外野も一気に選手が増え、菊田選手のライバルが一気に増えた形となります。

 

【菊田選手は内野と外野、どちらを選ぶべきか】

 菊田選手はポジションにこだわらずレギュラーを狙っていきたいと語っており、菊田選手のポジションはサード・ファースト・ライト・レフトとなっています。脚力や守備能力を考慮すればセンター、ショートやセカンドは厳しいため、レフト・ファーストが外国人のポジションとなることが多いことから、サード・ライトがねらい目となります。

 サードは岡本選手という不動のクリーンナップ。ライトでも次代のセンター候補台頭のためにライトへのコンバートが明言された丸選手がレギュラーとして座るため、どちらにも高い壁があります。

 

 丸選手が今年で34歳になることを踏まえればライトを狙うべきだと思われますが、実は手薄なポジションはサードとなります。サードは岡本選手という不動のサードがいますが、岡本選手以外は北村・香月・若林・廣岡・増田大・増田陸・湯浅選手が1軍ではサードとして起用されています。しかし増田大・湯浅選手は守備固め起用がメイン。増田陸選手も来季は外野手起用が増えることから、岡本選手が不調・故障した場合は下記の選手たちと争うことになります。

 助っ人外国人のポジションはスタメン候補がおらず打線の穴になっている部分を補強するために獲得する場合が多く、岡本選手というレギュラーがいる以上サードスタメンの助っ人外国人を補強するのは難しく、不調に陥った場合のレギュラー候補は日本人選手となります。

 外野手は浅野・オコエ・ブリンソン・萩尾・秋広・増田陸選手と新戦力候補がいる一方で内野手支配下では門脇選手のみ。ライバルは打率2割を超えない中堅内野手となるめ、1軍の可能性を狙うならサードとなります。ファーストも来季34歳の中田、41歳の中島選手がレギュラーのため、サードメイン、サブでファーストが狙うべき1軍への道となります。

 

【内野で計算できるメリット】

 サード・ファースト守備が1軍で問題ないレベルになれば、スタメンだけでなく勝負所での代打起用も見込めます。サード・ファーストスタメンとなる岡本・中田選手はどちらも足が遅いため、終盤の1点を取りに行く場面では代走を出したいところですが、代走を出してしまうとその後の守備固めは増田大・湯浅・北村・廣岡選手等となるため、打力が大きき落ち込み、延長戦となった場合得点できる可能性が大きく落ち込みます。

 

 そのためこの二人がランナーで出ても代走を出せず、得点圏にランナーを進めるといったことが出来ないため、終盤での1点を逃してしまう場面が目立ちました。外野はある程度足がある選手が起用されるため代走を出す必要性が低く、菊田選手が守備緩めにならないレベルの守備が出来れば、代走を出した後に菊田選手を代打→そのまま代走を出した選手の守備位置に起用、といった起用法が使えます。

 外野だと足がある選手が多いことから代走を使う場面が少なく、内野として計算できる場合に比べ、上記のメリットは薄くなっています。

 

【売りである打撃での課題】

 菊田選手の今季の2軍成績は86試合303打数76安打4本塁打20四死球で打率.251となっています。巧打型ではないため、打率については3割を求めるのは厳しいが、4本塁打というのはスラッガー候補としては物足りないものとなっています。

 長打率も.360と低く、その原因はレフト方向への長打の少なさ。菊田選手のスイングはしっかりと肘を伸ばし巻き込むタイプのスイングとなっており、センター方向への強い当たりを打てています。このスイングにより低めをしっかりと掬い上げ外野の頭を超す当たりを打てたり、右打ちにも対応できています。

 一方でインコースへの攻めに対しては差し込まれ気味になるため、レフト・センター方向にはスイングが押され打球が高く上がらず、強い打球でもゴロ性のヒットになるため単打になりがちです。

 ただこの打撃のおかげでどのコースでも安定して打ち返せており、得点圏では3割越えの打率を残しているため、1軍で代打からスタートできる余地を残しています。