巨人の支配下&育成新人14選手を紹介する連載「はGめまして」。育成ドラフト7位・大城元外野手(18)=未来沖縄=は、沖縄県那覇市出身で巨人の那覇キャンプを何度も見学。父・勝哉さん(48)と土台をつくり上げ、高校時代は投打の二刀流で注目を集めた18歳はプロでは外野手として勝負する。
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大城元は新人14選手の中で、一番厚手の格好でG球場に訪れる。生まれも育ちも沖縄県。気温が一桁の中でプレーする経験はほとんどなく、「本当に寒い。慣れないです」と笑う。13日から28日まで行われた新人合同自主トレでは家族から送ってもらった使い捨てカイロをポケットに忍ばせ、遠投110メートルの強肩と力強いスイングをアピールした。
沖縄・那覇市出身。巨人とは小さい時から縁がある。小学1年時に那覇市にある沖縄セルラースタジアム那覇で行われていた巨人のキャンプを初めて見学。脳裏に刻まれているのは、若くして主力として活躍していた坂本勇人のプレーだ。鋭い打球を飛ばす打撃、華麗な守備を食い入るように見つめたという。高校時代も練習後に何度も巨人のキャンプに足を運んでおり、「今まで見てきた選手と同じ球団に入ってプレーするのはうれしい」と気合がみなぎっている。
野球の土台は父・勝哉さんと二人三脚でつくった。小学1年でオール上間に入団。チームの練習や試合を終えて帰宅すると、高校まで野球を続けてきた父と自宅の駐車場で一緒に練習。その日のプレーを振り返りながら、バドミントンのシャトル打ちや投球練習を行ってきた。父との打撃練習は高校時代も続き、「お父さんがいなかったらここまで成長していない」と感謝の言葉は尽きない。
高校時代は投手としては最速148キロの直球を投げ込む本格派右腕、打っては広角に長打を放つ1番打者と、投打二刀流で注目を集めたが、プロでは野手として勝負する。昨夏の沖縄大会後は主に投手として準備を進めていたが、スカウトは大城元の身体能力と長打力を高く評価。外野手として指名を受けた。「バッターとして評価してもらえたことはうれしかったです」。持ち味である打撃と肩の強さを生かした守備を磨いていくつもりだ。
1年目のテーマは体づくりで、日々のトレーニングや食事に力を注ぐ。「ポジションは違うけど坂本選手に追いつけるような選手になって、一緒に東京ドームでプレーしたい」。大きな可能性を秘めた18歳の挑戦が始まっている。
【大城選手の紹介】
180センチ78キロ 右投げ右打ち
ポジション:レフト・ライト
投手として最速148キロ、高い奪三振能力のあるパワフルさが魅力であり、野手としては1番で起用され広角に安打を打てる右の巧打者の二刀流選手。身体能力の高さが魅力であり、リストの強さでライト方向にも伸びのある長打を打ちます。身体能力の高さは遠投110mの強肩にも表れており、投手としても起用されていた地肩の強さを披露しています。
多くのスカウトからは投手能力を評価されていたものの、巨人は打撃力の高さを評価し野手で獲得。3拍子揃った選手として成長が期待されます。
【なぜ獲得されたのか】
22年育成野手の中で数少ない身体能力タイプの選手。育成7位までになると技術・身体能力ともに揃い実績のある選手は故障がない限りは残っていないため、身体能力特化タイプを獲得しました。巨人外野手はドラフト時点で浅野・萩尾選手を支配下で獲得し、育成でも6位で三塚選手を獲得していました。
しかしドラフト組以外の右の支配下外野手は石川・ウォーカー選手のみ。21年に育成で獲得した鈴木選手も打撃で結果を残せず3軍メインで笹原選手もまだ高卒2年目。ティマ選手も粗削りタイプと、1軍戦力として見込める右の外野手、特にセンター・ライトを守れる選手がおらず、支配下だけでなく育成でも底上げが必須となっていました。
その中で打撃型が多い右打者でタイプが異なる選手を獲得するため身体能力型の大城選手が獲得されました。
【1軍起用への課題】
大城選手の課題は打撃の硬さ。特にスイング時の体の動きが硬く、合わせたスイングという形ができていません。そのためストライクゾーンへの変化球に空振りしてしまっており、コースに投げられてしまうとファウルにもできず打ち取られています。しっかりはまったときの逆方向への打球の伸びは魅力であり、リストの強さも含めて身体能力の高さが武器ですが、技術面では非常に時間がかかる選手となります。
巨人の場合育成高卒選手の戦力外ラインは4年であることが多く、大城選手も22歳までに2軍に定着できなければ戦力外候補となります。