◆第106回全国高校野球選手権福岡大会5回戦 春日6―1福岡第一(17日、北九州市民球場)
春の九州大会に出場したシードの春日が2017年と19年に並ぶ過去最高の8強に進んだ。背番号「1」の右腕、前田歩三雄(3年)が今夏初先発。「打者が真っすぐを狙っていたので」。途中からカーブなど変化球を効果的に交えて96球で完投した。クレバーな投球が光った前田歩は試合後に「絶対に負けたくなかった。チームメートにも言われますし、インターネットにも『第一の前田の方が上』みたいな書き込みがあったので」と明かした。意識していた相手は、福岡第一の4番手で登板した前田明慶(3年)だった。
最速147キロを誇るプロ注目右腕の前田明は右肘痛からの復帰過程でもあり、リリーフでの起用に限定。この日は6回から登場した。6点ビハインドの苦しい展開にもかかわらず、最後まで気持ちを切らすことなく、3回無失点の力投。「親や支えてくださった方々への感謝の思いを込めて、2年半の集大成のつもりで投げました」。今後については「プロで一流の選手になりたい」と、プロ志望届の提出を明言した。勝敗の明暗は分かれても、2人の「前田」のプライドがラストサマーのマウンドを熱く彩った。
【前田選手の紹介】
183センチ80キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・ツーシーム・チェンジアップ
セットからタメを作り、スリークォーターの角度から柔らかく腕を使う振りから最速147キロ、常時140前後のストレートを投げ込む右腕投手。120キロ前後のスライダー、120キロ台のチェンジアップ、120後半のツーシームを投げ込んでいきます。
武器は好調時には2,500回転を記録する低めにコントロールよく投げ込めるストレートと、近い軌道で誘い込むスライダー・チェンジアップのコンビネーション。低めのコースに投げ込めるストレートを中心に縦のスライダーと小さく外に逃げるチェンジでカウントを稼ぎつつ、決め球として一つギアを上げた140前半の浮き上がるストレートで打ち取っていきます。
チームでは主に中継ぎで起用。右ひじ痛を発症し復帰したのは6月だったためエースナンバーをはく奪されたものの、夏の地方リーグでは中継ぎとして登板し4試合無失点と好投。プロ志望届提出を明言しており、多くのスカウトが視察している注目株となっています。
【指名への課題】
課題は力んだ際の抜け球の多さ。前田選手のストレートは平均130後半ですが、140キロ台のギアを上げたストレートはシュート回転し高めにすっぽ抜けるようになっています。
前田選手の場合左打者に対してはインコースへのストレートとスライダー、スライダーと同じ軌道で外に逃げるチェンジで打者が惑わされるため、甘く入った変化球もタイミングが合わずファウルで逃げることができています。
しかし右打者に対しては外のスライダーとインコースへのストレートとなるため、シュート回転し左打者と違い迷わず踏み込んでスイングされています。左に比べるとどうしてもストレートの球威を抑えて抜けないようにする必要があるため、左に比べ詰まらされても外野に飛びやすくなっています。スライダーも外を意識しすぎて上半身がファーストベース側に流れてしまい、投げた瞬間にボールと分かる抜け球になりやすくなっています。前田選手は全体的に意識しすぎて投げた球がすっぽ抜けやすい、力みやすい点が課題となっています。
【指名順位予想】
肘の痛みから復帰してまだ期間が短いため中継ぎ中心の起用となりましたが、早くから県内注目株としてスカウトが視察していた選手。スライダー以外の変化球の精度があがり、スライダー以外の決め球が確立できれば対右の安定感が増すため、力むと抜けやすくなる課題を解決するために、投球の引き出しを増やしコースや球速を意識しながら投げずにすむようにする必要があります。
現状の評価は育成1~2位候補。3年で肘を故障したことで短いイニングに留まり、2年からの成長度をアピールできなかった点と、スライダー以外で計算できるほどの精度の球がまだ無いのが低めの評価となっています。
