24日、第106回全国高校野球選手権長崎大会準々決勝 長崎総大付1―0長崎日大)
1点差で敗れ、ベンチからグラウンドに出てきた長崎日大の西尾海純投手(3年)は、肩を落とし、しばらく動かなかった。
秋、春、NHK杯の県大会で3冠を果たしただけに、「何でここで終わったのか早すぎる、と頭が真っ白になった」という。
動かない西尾投手に、山田小次郎捕手(3年)が駆け寄り、肩に手を置いて一緒に歩き出した。「本当に仲のいい、素敵な仲間に恵まれた」と西尾投手。
今春、U18(18歳以下)高校日本代表の候補に選ばれた。
この日も10奪三振の快投だったが、五回に無死で走者を出し、タイムリーを許して失点した。「自分を信じ切って投げた球が打たれたので悔しい」と振り返る。
「エースの笑顔はチームの力になる」と最終回まで力投した。平山清一郎監督は「以前は力任せに投げていたが、経験を積んで自分をコントロールできるように成長した」とねぎらう。
【西尾選手の紹介】
178センチ78キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カット・カーブ・フォーク
セットから腕を振りかぶりながら上半身を反らし、勢いをつけてオーバースローの角度から投げ込むフォームから最速149キロ、常時140前半のストレートを投げ込む右腕投手。120キロ台のスライダー、110キロ台のカーブ、130キロ台のカットボール、110キロ台のフォークを投げ込んでいきます。
武器はダイナミックなフォームから投げ下ろす威力あるストレートと、鋭く落ちるカットボールのコンビネーション。ばねのように跳ね上がるフォームから勢いのあるストレートに打者は思わず手を出してしまい、ストレートを狙う打者にベース近くで鋭く落ちるカットボールとフォークのコンビネーションで打ち取っていきます。
チームでは主に先発で起用。夏の地方予選では2試合で起用され、10イニング1失点と好投。U-18代表合宿にも選出されており、プロ注目の好投手となっています。
【指名への課題】
課題はクイック時の変化球の精度悪化。西尾選手の変化球の精度はカットボールの精度こそスライダー・フォークは決め球となるほどの精度ではなく、角度のあるストレートが制球できていれば、ある程度の持ち球となります。
しかしクイック時になると変化球の精度が悪化。カットボールも甘いコースに行くことは増えるものの、それでも決め球に使える変化量とコントロールは残っています。しかしスライダー・フォークは変化量が落ちる上にコントロールも悪化し、高めにすっぽ抜ける球が多くなっています。このためカットを使える左打者よりも、スライダー・フォークを使う右打者に対し痛打されることが多くなっています。
【指名順位予想】
変則ではないものの、フォームにかなり癖があるタイプの投手。フォームに癖があるタイプは一度調子を崩すと矯正が難しいうえに、一度対策されてしまうと改善が難しいため、長期的な運用プランが立てにくいことから指名順位にも影響してきます。
現状のフォームではクイック時に精度悪化は避けられないため、高卒で獲得するよりも大卒・社会人である程度完成し起用の見通しが立ちやすくなった方が獲得しやすい選手。ただスカウトも高く評価する特殊球のカットボールがあるため、他にはない軌道の変化球があるのは好ポイント。将来的なリリーフ候補としては6~7位候補となります。
