(20日、全国高校野球選手権青森大会準決勝、八戸工大一0―15青森山田)
準決勝の舞台に魔物がいた。八戸工大一の金渕光希投手(3年)は、その正体を感じていた。「相手の圧に押されてしまった。自分の投球ができなかった」
先発投手が一回に2失点した時点で、急きょマウンドへ。まだ、肩ができていなかった。押し出し四球で1点を与え、二回には連続死球や暴投で6失点と苦しんだ。
相手は強打の青森山田。「向かってくるように振ってきた。自分の気持ちが引いてしまった」
本来は、最速144キロの球威で勝負する。指先に球がしっかりかかり、大会前は「好調のときは球が重く感じる」と話していたほど。だが、この日は「汗ですべる部分もあった」と、違和感を覚えながら投げていた。
18歳以下の日本代表候補にも選ばれた、左の剛腕。堂々とした投げっぷりは、他チームから「目の前で投げているかのように、大きく見える」と恐れられていた。
その雄姿をもう一度見たい。「支えてくれた人たちに申し訳なかった。プロで勝って、恩返しをしたい」と奮起を誓った。(渡部耕平)
【金渕選手の紹介】
183センチ83キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジ
ノーワンドアップからゆったりとした始動であまり上半身を突っ込ませずスリークォーターよりも高い角度から投げ込むフォームから最速144キロ、常時130前半のストレートを投げ込む左腕投手。120キロのスライダー、110キロ前後のカーブ、120キロ台のチェンジアップを投げ込んでいきます。
武器は高い角度から変化量の大きいスライダー。スライダーとカーブでカウント・空振り両方を奪いながら、ストレートとまっすぐに落ちるチェンジアップで打ち取っていきます。
チームでは主に先発で起用。冬場に130キロのバーベルを使ったスクワットトレーニングで下半身を鍛えることで安定性が向上。上半身だけで投げ込むことがなくなり制球力が向上しました。
9月9日にプロ志望届を提出。変化球が魅力の大型左腕として伸びしろが期待されています。
【指名への課題】
課題はストレートの制球。金渕選手のフォームはあまり上半身を突っ込ませないフォームですが、変化量が大きいため機能しているスライダー・カーブに比べ、上半身をあまり使えていないためストレートの球威は物足りないものとなっています。ストレートに対しては上半身を使えていないため力むと腕の振りが雑になっており、大きく外にすっぽ抜けています。
コントロールを安定させうためストレートだけ腕の角度を大きく下げる場面も見られるため、スライダー・カーブに比べストレートの球威が物足りなく、フォームづくりからスタートのためそこからさらに崩れるリスクを備えた選手となります。
【指名順位予想】
大型左腕で指にかかった魅力的なストレートもある一方、上半身が上手く使えず球威のない、すっぽ抜けのストレートもあるため、今後の上半身をしっかり使えるフォームづくりからスタートとなります。
ただ大型左腕ながら変化量が大きくコントロールも安定してるスライダー・カーブが投げられ、ストレートの球質自体は綺麗なため、素材型としては申し分ないタイプとなっています。
現状の評価では育成1~2位指名候補。高卒で大きな伸びしろを持っており、さらに左腕ということで伸びたときのプラスが大きいことから、育成での指名は上位となっています。
