高校球界で2024年の注目投手は? 関東では大宮東(埼玉)の左腕、冨士大和投手(2年)の名前が挙がる。直球の最速は139キロにとどまるが、球に角度があり、出どころが打者に見えにくいのが特長。ブルペンでの投球練習より、実戦のマウンドで力を発揮するタイプだ。
実力を発揮できないまま、秋季埼玉県大会3回戦で聖望学園に敗れた大宮東・冨士が、最上級生としての自覚を持って、オフの練習に励んでいる。
「埼玉ナンバーワンとして、関東でも指折りの左腕として、3年の夏には注目されるでしょう。まだ身長の伸びているようで、オフにどれだけ体を強化してくるか楽しみですね」
既にリストアップしているオリックス・岡崎スカウトは、こう話す。
184センチ、75キロのサウスポーは、肩回り、肘、手首の柔軟さを生かしたフォームから、スライダー、チェンジアップなど変化球をまじえた投球で打者をほんろうする。
オリックス・田嶋を思い起こさせ、左打者にとっては厄介なタイプだ。5歳上の兄は、2022年秋の大学日本代表候補の強化合宿で155キロを出して注目された平成国際大の右腕・冨士隼斗投手(社会人の日本通運へ入社予定)。右利きの兄に対し、左利きで小学1年でキャッチボールをしたときにも憧れることなく、ペンも箸も左で、「似ているところは、声ぐらいです」。
プロ志望の兄が社会人に進むことになり、弟ももう一度、自分を見直し、最後の夏へ向かう。
「腕だけでなく、下半身の使い方を考え、体全体で投げるようにして、スタミナ切れしないで完投できるような投手になりたい」
目標をブルージェイズの菊池とする冨士は、激戦区・埼玉で公立代表としての意地も見せようとしている。
【冨士選手の紹介】
186センチ81キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジ
セットから体を柔らかく使い、腕をムチのようにしならせサイドスローの角度から振り抜くフォームから最速144キロ、常時130前半のストレートを投げ込む左腕投手。110キロ台のスライダー、100キロ台のカーブ、120キロ台のチェンジアップを投げ込んでいきます。
武器は横の角度から投げ込むストレート。柔軟性を活かした躍動感のあるフォームは球の出所がわかりにくく、低い軌道で投げ込むフォームストレートに翻弄されています。
チームでは主に先発で起用。兄で現在日本通運に所属する冨士隼斗選手とともに肉体改造に取り組み、兄の助言をもとに胸襟トレーニングをすると、1年次は120キロだった最速を20キロ以上伸ばすことに成功しました。
9月11日にプロ志望届を提出。スカウトからも柔軟性や手足の長さを評価される好素材となります。
【指名への課題】
課題はフォームがまだ安定しきっていないこと。躍動感の大きいフォームにまだ体がついていけておらず、特に変化球を投げ込む際、ストレートに比べリリースする直前の動きが硬くなっています。
またランナーが出てクイックになると安定感が悪くなるためフォームの再現性がさらに悪くなり、腕の角度がばらばらになりコントロールが悪化しています。それでもストレートはある程度制球できていますが、変化球は変化量が落ち甘いコースに投げ込みかねないタイプのため、どうしてもストレート頼りになっています。
変化球を投げ込むときはリリースする直前に一度動きが止まってしまうため、その点もクイックだと投げにくい原因となっています。
【指名順位予想】
選手の評価としては超素材型。柔軟性の高さに加え手足の長さもあり、フォームもその特性を活かし独特の軌道のストレートを投げ込めます。しかし安定性に課題があり、柔軟性は体を大きくする過程で筋肉をつけた結果失われることもあるため、大成するか大失敗してしまうかの100か0の選手となります。
素材型の中でも特に素材としての要素が強く、特に柔軟性がここまで高い左腕は貴重なため、安定性は課題ですが支配下指名候補となります。現状の指名順位は4~5位指名候補となります。
