23日開幕の選抜高校野球大会で優勝候補に挙がる星稜（石川）が19年最初の練習試合に臨んだ。注目は150キロ右腕の奥川恭伸投手（2年）だったが、小松（石川）のエース小川琳太郎投手（2年）に強力打線が封じ込められた。
最速140キロを誇る右腕の小川は5回1失点の好投。実は奥川とは小学校時代からのライバル。小川は「ずっと知っています。勝ったり負けたりでした」と振り返る。加賀市立錦城中でも活躍し、当時の奥川も「自分よりいい投手」と最大級の警戒を払っていたという。最後の大会でも全国切符を争うと目されていたが、直接対決を前に小川が敗退。県を制した奥川の宇ノ気中（かほく市）は日本一まで駆け上がった。引退後の合同練習でも一緒になり、互いを意識する間柄だった。
小川も星稜に進む可能性があったが、地元に近い県立校を選んだ。特別な思いを持って臨んだこの日。直球にスライダーなど変化球の制球もさえ、失点は初回に山本伊織内野手（2年）に許した左越えソロだけ。3安打に抑え込んだ。
奥川の視察に訪れた中日音重鎮スコアラーは「小川君もいい投手と聞いていたけど、やっぱりよかった。体をしっかり作れば面白い投手になる」と将来性を高く買っていた。
小川は初回の打席で、奥川を襲うライナー（投直）を放った。「奥川は角度があって、スピードも今まで打席に立った中でトップレベル。やっぱりすごいなと思いました」と笑顔で振り返った。
小松は1試合目を8－3で快勝、2試合目は連勝寸前で逆転サヨナラ負け。ただ、上田大誠内野手（2年）が2試合で3本塁打するなど、夏の最大のライバルとの対戦を互角の内容で終えた。
【小川選手の紹介】
１７９センチ７０キロ 右投げ右打ち
変化球：スライダー・カーブ・チェンジアップ・ツーシーム
セットから軸足の重心を落とし低い位置からスリークォーターよりも低い横手投げの角度から投げ込むフォームから最速１４５キロ、常時１４０前半のストレートを投げ込む右腕投手。１３０キロのスライダー、１１０キロ台のカーブ、１２０キロ台のフォークを投げ込んでいきます。
武器は低い軌道で投げ込むストレートと低く落ちるツーシームのコンビネーション。ストレートを軸にスライダーでカウントを整え、低く落ちるツーシームで空振りを奪います。
チームでは主に中継ぎで起用。高校時代より細さを指摘されており、慶応入学とともに肉体改造に着手。体を大きくしたことに加えフォーム改造にも着手したことでコントロールが向上。３年春は１イニングを抑えられない試合もありましたが、秋にはわずか３試合ながら４回２/３を投げわずか１失点と好投。
まだ体も細く、低めを武器とする右腕としてさらなる成長が期待されます。
【指名への課題】
課題は変化球の抜け球の多さ。特にスライダー・チェンジアップの抜け球が多く、左打者のアウトコースにすっぽ抜ける球が非常に多くなっています。右に対しては打者に向かって抜けていくため思わずバットが出てしまう場面や抜け球を見逃しストライクになることもありますが、左打者は外に逃げるため多くが見逃されています。左に対し有効なチェンジアップが抜けてしまうため、低めのツーシームとインコースへのストレートが生命線ですが、ある程度ばらけるタイプでコースに投げることが求められるため、カウントを悪くし左打者の被打率が悪化しています。
もう一つの課題は年齢。小川選手は浪人しているため指名解禁年時点で大卒社会人と同じ２４歳。そのため他の大卒ドラフト候補と違い即戦力であることが求められます。しかし２４歳ながらまだ体が細く、あまり体を大きくできるタイプでないとなれば育成指名も厳しいものとなります。
【指名順位予想】
大卒でも中継ぎ専の投手は左右を問わず投げられ、防御率も１～２点台と実績を残していないと即戦力扱いされず、下位でも指名の可能性は低くなります。２４歳と一般大卒２歳上も指名のネックとなるため、年齢の点から素材型としても見られません。
即戦力のラインは常時１４５前後、ツーシームが１３０中盤。そしてスライダーの精度向上が最低ラインです。これを全て達成した場合は５～６位。さらにチェンジアップの変化量が上がり対左が改善すれば４～５位となります。
