向井投手は小学生で野球を始め、プロ野球選手に憧れた。硬式の松山中央ボーイズを経て、地元・新田高2年の2021年夏、エースとして全国高校野球選手権大会に出場、1回戦で完投勝利を収めた。
進学した大商大の野球部は甲子園出場経験者が多く在籍する関西の強豪。だが、アクシデントに襲われる。入学前の23年3月、練習試合で右膝の半月板を損傷した。「投げた瞬間、『ブチッ』と膝が外れた感じがした」。野球人生で初めての大けがだった。2度の手術を受け、リハビリの日々。試合に出られないどころか、ダッシュもできない。1年間、ボールに触れなかった。「周りが頑張っているのを見てつらかった。治らない気がして野球は無理かなと思った」。退学して松山に戻った。
リハビリを続け、友人と練習も再開した。そんな時、MPの関係者と知り合いの中学時代の恩師に「独立リーグでやってみないか」と勧められた。昨年夏、「もう一度やることをやって勝負する。完全燃焼したい」と決断。MPの特別合格選手に選ばれ、入団した。膝の違和感はもうない。
向井投手は身長1メートル72、体重73キロ。右投げ左打ち。145キロの直球、スライダーが武器。制球に自信があり、どの球種でもストライクがとれるという。球速150キロを目標にする。
22年から3年連続で日本野球機構(NPB)のドラフト指名を受けるMP。向井投手は独立リーグの印象を、「選手のレベルが高い。練習メニューの意味も教えてくれるし、野球に打ち込める環境だと思う」と話す。野球ができる喜びをかみしめつつ、「厳しい道なのは分かっている。野球をやると決めたからにはさらに上のステージを目指す」と闘志を燃やす。
【向井選手の紹介】
172センチ73キロ 右投げ左打ち
変化球:スライダー・カット・チェンジ・スプリット
経歴:新田高ー大阪商業大(中退)ー愛媛MP
解禁年:2025年
セットから足を上げた後しっかりとタメを作り、オーバースローの角度から投げ込むフォームから最速147キロ、常時140前半のストレートを投げ込む右腕投手。120キロ台の縦のスライダー、130前後のカットボール、120キロ台のチェンジ、130キロ台のスプリットを投げ込んでいきます。
武器は回転数2400の伸びのあるストレートと縦の変化球のコンビネーション。130キロ台ながら差し込まれる球威のあるストレートを中心に、縦の変化球でカウントを整え、鋭く落ちるスプリットで打ち取っていきます。
チームでは主に中継ぎで起用。19試合を投げ24(2/3)回で24奪三振17四死球自責点で防御率2.92と好投。奪三振率も8.76と、素材型ながらすでに高い奪三振能力を披露しています。
大学入学直前で膝の半月板を故障。リハビリも上手くいかず野球を続けられないと、大学を中退。その後もリハビリを続ける中で愛媛MPに入団し、現在は違和感もなくなり投げられるようになりました。本人も最速150キロと怪我をしない体づくりのために体を硬さを課題にあげており、柔軟性を上げるトレーニングに励んでいます。
前半は中継ぎ、後半は先発を目標としており、まだまだ伸びしろを残す右腕となります。
【指名への課題】
課題は変化球が真ん中より高めかボールゾーンに抜ける抜け球が多く、安定して空振りを奪うに至っていないこと。変化量の大きさや軌道に特徴があり、より精度が高くなれば大きな武器になる可能性を残しています。しかしスプリットとチェンジは現状では大きく抜けることも多く、ランナーがいると使える球種が限られるのが課題になります。
またクイックになるとストレートは逆玉、変化球はコースがはっきりしてしまうため、一度ランナーを出すと球数が急増し、ヒットよりも四球でランナーを貯めています。まだ体が硬く、クイック時は腕の振り頼りになるフォームになり、変化球を安定させられず欲しい時に空振りを取れないため、先発挑戦時はクイック時の不安定さが課題になります。
【指名順位予想】
膝の半月板損傷という引退の可能性もある大怪我を経験しており、復帰後実働1年目で長いリーグで故障なく乗り切れるかが未知数。今年で21歳とまだ若いものの、1年目で伸びしろも未知数の部分も大きいため、現状では指名漏れとなります。
本格的に稼働する2年目が勝負の年のため、今年は後半に向けて実績を積み、来年どれだけ球速を伸ばし、素材型としてアピールできるかが鍵です。リーグ後半で先発でも防御率3点台を超えなければ、負荷に耐えられる・先発転向の可能性を残していると評価され育成2~3位となります。
独立リーグの選手は実績よりも1年でどれだけ成長したかの素材面が重視されるため、26年末時点で中継ぎメインでもどの球種も全体的に3~5キロ以上伸びれば5~6位候補。大卒と同じ年で伸びしろ期待の獲得となります。
