甲子園でサヨナラ打を放った選手は、ガッツポーズする印象があった。
青森山田の6番打者・伊藤英司選手(2年)。同点の九回、1死三塁。目前にその好機が訪れると、「そのことは頭になかった」。
初球。「待っていた」という直球を強くたたいた打球は三遊間へ。思いが頭の隅にあったのだろう。抜けるのを確認すると、力強くガッツポーズした。
一回の右前適時打と合わせて2安打2打点。ヒーローは、殊勝な言葉が口をついた。
九回、前打者で中越え三塁打を放った吉川勇大選手(3年)は木製バットが注目された。「勇大さんはすごい。僕は、来年、(試合で)木製バットにできたらと思う」
打席に向かうと、「ベンチから、次打者席の橋場さん(公祐主将=3年)から、『大丈夫だ』と声をかけてくれた」。気持ちを落ち着かせることができた。
青森山田高に入学したのは「同学年の選手が青森山田中の硬式野球チームで日本一になって、一緒にやったら強くなると思ったから」。秋田県潟上市の中学校から入学した2年生が、青森山田に選抜大会での初勝利をもたらした。
【伊藤選手の紹介】
187センチ85キロ 右投げ右打ち
ポジション:ショート・セカンド
勝負強さが光る右の巧打者。通算打率3割超えのミート能力が武器で、低めも三振せず内野の間を抜けるゴロヒットでチャンスを作る技術が魅力。
また本人も武器と認める勝負強さが魅力で、2年春の選抜では京都国際戦でサヨナラヒット。さらに春の地方予選では八戸工大戦で代打出場しサヨナラヒットを打っており、3年生での成績の11安打6得点を含め、得点圏の強さが光ります。
9月24日にプロ志望届を提出。長身細身でパワーがつけば長打も期待できる内野手として注目されます。
【指名への課題】
課題の一つが引っかけやすくスイングが弱いため打球が強くならない点。伊藤選手は低めを狙い内野感を抜けるゴロヒットを得意としていますが、低めを狙うため引っかけて打ち取られやすくもなっています。
伊藤選手のスイングはあまり速くないため打球スピードが遅く、差し込まれやすいため外野への打球があまり伸びません。このため差し込むストレートを投げやすく、伊藤選手が手を出したがるような、低めに落ちる横の変化球を投げられる左腕を苦手としています。
またショートとしてはあまり守備範囲が広いほうではなく、特に横の守備範囲は平均的なレベルで抜かれることも多くなっています。
【指名順位予想】
まだ体が細いため、しっかり体づくりを行いスイングスピードが速くなれば当てる技術+パワーで中距離巧打を狙える選手。ただ今の体格であまり守備範囲が広いほうではないため、そこからさらに体を大きくすればより守備範囲は狭くなり、ショート起用は難しくなります。
このため現状では指名漏れの可能性が高くなっています。
