第89回都市対抗野球第8日(20日、東京ドーム)2回戦が行われ、JR東日本(東京都)、鷺宮製作所(東京都)、三菱重工神戸・高砂(神戸市・高砂市)が準々決勝に進んだ。JR東日本は二回に先制し、板東と西田の継投で新日鉄住金鹿島(鹿嶋市)に1-0で競り勝った。鷺宮製作所は二回に中山の適時打で先制点を挙げて、1-0で昨年準優勝の日本通運(さいたま市)を破った。三菱重工神戸・高砂は藤井が完封し、3-0で王子(春日井市)を下した。
JR東日本は板東-西田の無失点リレーで貴重な1点を守り切った。右投げの板東は入社5年目の22歳。徳島・鳴門高時代はエースとして甲子園のマウンドに上がった。七回途中まで4安打9奪三振と好投し、「勝ちにつながってよかった」と胸を張った。七回二死一、三塁からは大会直前に20歳になった西田が抑えた。堀井監督は「選手の成長にはびっくり。(投手陣は)百点満点」と評価した。
【板東選手の紹介】
181センチ76キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジアップ・フォーク
解禁年:2016年
ワインドアップからあまりタメを作らずオーバースローフォームで最速148キロ、常時140前半のストレートと多彩な変化球が武器の高卒社会人右腕投手。伸びのあるストレートを内外のコースに投げ込みフォークやスライダーで空振りを奪う。ストレートをはった相手に緩い縦のカーブで緩急をつける投球内容となっています。
JR入団後は1年目からリリーフとして登板。指名年には大阪ガス相手に完封勝利を達成し指名候補として注目されていましたが、指名解禁となる16年に右肘の痛みを発症。万が一指名されてもプロ入り後投げられないでは駄目だとの監督のアドバイスもあり指名辞退を決意。翌年も肘の痛みが消えず全く投げられない状態が続きました。
しかし17年の後期にようやく肘の痛みも消え投球再開。投球できない間はトレーニングに勤しみ、フォームに柔らかさが増しストレートの伸びがよくなっています。
2018/3/11 板東湧梧 (JR東日本) スポニチ大会/日本製紙石巻戦より 146km/h 計測 2018年 ドラフト候補
【指名への課題】
調子がいいときは落差のあるストレートをガンガンコースに投げ込み、同じ軌道からくるフォームと球速差のあるカーブでアウトを奪っていきますが、調子がよくないと変化球が甘いコースに入る場面が多々見られます。ストレートもコースには決まりますが全体的に高く、引っ張れるパワーバッター相手だと長打にされる危険があります。ストレートの高さを制御できるようになれば同じ軌道のフォークも相まって強力な選手となるでしょう。
また回復に1年以上の期間を要した肘の痛みについても獲得のリスクとなっており、
本格的に復帰登板を果たすようになったのが18年からのため、今後先発登板の実績を重ねる中で肘の痛みが再発しないかどうかを注視していく必要があります。
【指名順位予想】
指名解禁年に肘の故障で離脱し翌年も指名はなかったものの、高卒社会人のため18年時点でも23歳と大卒社会人より若いと見れば十分に獲得範囲内となっています。ただしまだ復帰後の先発実績が少ないことから、今後の先発登板次第で今年指名されるか、来年に持ち越しになるかが決まってきます。
順調に登板実績を積んでいけば、指名順位は4~5位となっています。もともと指名解禁年は上位候補とされるほどの注目株であり、先発として起用できるため順位も上がっていますが、復帰後まだ完投実績が少なく、都市対抗でも7回で降板しているため完投実績をどれだけつめるかが上位指名への鍵となります。ただ指名辞退をした過去があるため、上位指名を狙えるほどの状態になれなければ再び指名辞退を行う可能性はあります。