今秋ドラフト1位候補に挙げられているパナソニック・吉川峻平投手(23=関大)が来季、メジャーに挑戦する意向であることが分かった。今月末から、ダイヤモンドバックスら獲得意思のある球団と獲得交渉に入っていく。
吉川は最速148キロの直球とシンカーが持ち味の長身右腕。パナソニックでは1年目から主戦として活躍し、2年目の今年はドラフト1位候補として国内12球団の注目を集めていた。
吉川のメジャー行きが決まれば、08年にレッドソックスと契約した田沢純一以来2人目の直接メジャー入りとなる。
【吉川選手がメジャー挑戦を表明】
今季ドラフト1位候補の一人だったパナソニック・吉川選手がメジャー挑戦を発表。これは田澤選手と同じく手法であり、これにより指名自体は可能だが入団は絶望的となりました。
もともと18年ドラフト候補選手の傾向は「競合クラスのドラフト1位候補無し」となっており、1位候補はいるものの、名のあがる大阪桐蔭・根尾選手や富士大・鈴木選手など多くが何かしらの課題や懸念点を持っています。
そのなかで吉川選手も左打者への球数の多さや球速が社会人右腕としては遅いことが課題でした。しかし他の指名解禁社会人先発候補選手たちがパッとしないなかで、安定して成績を残しており頭ひとつ抜き出ていた候補です。
そんな吉川選手が指名候補から消えたことで、ドラフト事情はさらに混迷することとなります。
【ドラフト1位候補の状況】
吉川選手が消えたことでドラフト1位候補が競合する可能性が高まったわけですが、他の1位候補はどうなのか。現状の評価について触れたいと思います。
【高卒選手について】
高卒ならば1位候補は投打で期待される大阪桐蔭・根尾選手。投げれば切れのあるストレートとスライダーで先発をつとめ、打者なら長打もあるショートとして活躍します。まだどちらも圧倒的な成績は残していませんが、素材評価の高い選手です。
同じ大阪桐蔭の藤原選手もどんどん評価を上げる選手。強豪大阪桐蔭のスタメンのなかでもスイングスピードが違いました。ただ外野手の1位指名は数が少なく、貴重な1位枠を使うリスクはあります。
報徳学園・小園選手は攻走守揃ったショート、特に脚の速さが段違いの選手となっていまう。今季は高卒ショートでは天理・太田選手や日大・日置選手など候補揃いの中でも頭一つ抜けている選手です。ただ本塁打の少なさからプロ入り後は俊足巧打の単打マンになるのではないかとも懸念されています。
そんな中一気に評価を上げるのは浦和学院・渡邉勇太朗選手。190センチの長身で最速149キロ。二松学舎大付戦で完封を記録しドラ1候補と評価する球団も出てきています。高卒投手は1位候補不在の中、1位の可能性がある選手が出てきたことは喜ばしいことです。
【大卒選手について】
大卒選手についてはこれが非常に厄介。候補が皆怪我もちという状況となっています。左の候補は富士大・鈴木選手は変則フォームでシュートが武器の注目株ですが、いかんせん離脱が多く、今年は地方リーグ・日本大学野球選手権でも登板無しとなっています。八戸学院大・高橋選手は現在伸び悩んでおり、今年も地方リーグで先発はしていますが、1位になるほどの成績は残せていません。
右なら東洋大の梅津・上茶谷選手が候補ですが、梅津選手は怪我で春のリーグ登板なし。上茶谷選手は血行障害で手術歴があります。日体大の松本選手・東妻選手は大きな怪我もなく来ていますが、松本選手はフォーム定着に苦労しています。
野手で上位候補ならば立命大・辰巳選手が候補として挙がりますが、1位候補かと言われればそこまでの結果は残せていません。現状では2~3位候補止まりとなっています。
【社会人選手について】
社会人は投手に上位候補がいますが、吉川選手が消えた今、1位候補といえる選手はいないのが現状です。1位候補だったホンダ・齋藤選手は制球に課題ありで都市対抗1回戦敗退。NTT・堀誠選手も今季はフォーム探しに苦労しており、都市対抗ではパッとしない結果となりました。野手では1位候補は大卒と同じで無し。このため社会人は2~5位辺りが混迷する状態となっています。
【まとめ】
このように即戦力先発1位候補が全体的に不安要素を持つなか、吉川選手が候補から消えたことで18年ドラフトはさらに予想がつかない状況となってしまいました。指名候補が消えたことが競合の可能性が上がっており、そうなれば外れたときの外れ1位、外れ外れ1位候補が非常に重要となってきます。
しかしその2位候補が多いのが今季のドラフト傾向。そのため外れ1位を予想するのは1位を考えるよりも難しい状況となっています。