◆第１００回全国高校野球選手権記念大会第１３日 ▽３回戦 近江９―４常葉大菊川（１７日・甲子園）
近江（滋賀）の快進撃が止まらない。常葉大菊川（静岡）との３回戦は、プロ注目の４番・北村恵吾三塁手（３年）が４打席連続でタイムリーを放つ離れ業で６打点を荒稼ぎ。１回戦から３試合連続で甲子園Ｖ経験校を撃破し、準優勝した０１年以来、１７年ぶりに準々決勝に駒を進めた。金足農は、６番・高橋佑輔一塁手（３年）が８回に高校初アーチとなる劇的な逆転３ランを放った。８強が出そろい、１８日は準々決勝４試合が行われる。
“北村劇場”は初回から幕を開けた。２死一塁で、近江の北村が右中間へ適時二塁打を放った。「一番力が入っていた。自分の理想に近い打撃ができました」。３回に左前適時打、５回に右中間へ２点二塁打、７回に左越え２点三塁打を放ち、自身初の４打席連続適時打で６打点。４打席連続タイムリーは、昨夏準優勝の広陵・中村奨成（現広島）に続く快挙だ。今大会１１打点とし、昨夏に中村が打ち立てた大会記録１７打点の記録更新も視野に入った。
昨冬から筋トレを強化。１年時に１８０キロだった背筋力が２３０キロになり飛距離が伸びた。初戦の智弁和歌山戦で左方向に２発。「春までは本塁打後に調子を崩していた。逆方向を意識した」と、この日は右方向へ２本の長打を放った。宿舎では毎日“卓球トレ”で動体視力を鍛えた。「みんなうまくて、野球の速い球に目を慣らしています」と笑いを誘う余裕も見せた。
小学生の時からプロ野球が大好きで、テレビでセ・リーグを見て、ラジオでパ・リーグを同時に聴いていたほど。だが、進路は迷った。多賀章仁監督（５９）と６月中旬に面談し「けじめをつけろ！」と背中を押され、プロ志望届を出すことを決意した。覚悟を決めた北村は「この夏、結果を残すために（練習を）一生懸命やりきった」。甲子園での大爆発で、目標のプロ入りにも前進した。
初戦で春夏通算３度Ｖの智弁和歌山、２回戦で１３年夏優勝の前橋育英（群馬）を破った。この日は１４安打９得点で０７年春の王者に完勝した。Ｖ経験校に３連勝し、準優勝した０１年以来の８強だ。近畿３校が８強入りしたのは１０年ぶり。多賀監督は「頂点に行ってもおかしくない感じ」と滋賀県勢初の甲子園優勝を予感した。
【北村選手の紹介】
１８２センチ８３キロ 右投げ右打ち
ポジション：ファースト・サード
智弁和歌山相手に２ＨＲで注目株となった通算４４本のスラッガー。１年時に１８０キロだった背筋力を筋トレで２３０キロにまで向上し長打力を伸ばしています。しかし長打力以上に評価されているのが無駄のないスイングとミート技術。特に中日が高く評価しており、中田スカウトディレクターは「もともと評価している選手。パワーはあるし、確率も高い。バットの出がシャープ」と評価しています。
甘い球はきっちり左右に長打とし、反対方向への当たりも外野を超える当たりまで伸びていきます。厳しいコースに攻められてもきっちり振りぬくことで外野の前に落としたり低めの球をシャープに振りぬいてレフト前に転がします。特に常葉菊川戦では６打点の活躍をし、インコース・高めに抜けた球、真ん中ストレート、低めのインコースへの変化球などありとあらゆるコースをヒットにしました。このため３年夏の甲子園成績は１７打数９安打打率.５２９で２ＨＲ１２打点の結果を残しています。
2018.3.19 高校野球 近江高校 北村恵吾君 ホームラン
【指名への課題】
今季よりサードでも起用されていますが、サード守備についてはまだ不慣れな部分が目立ちます。特に守備範囲が狭く、横の反応が遅いため抜ける当たりが多くなっています。このため試合途中からファーストに回されており、プロでサードとして起用するには不安が残る内容となっています。
遠投１００ｍとそれなりの肩を持っていて、元々は外野をやっていたので外野に回すことはできますが、５０ｍ６秒台後半で決して足が速いほうではありません。このためレフトにまわることになりますが、レフトならば５８発の花咲・野村選手や７５号の健大高崎・山下選手などのスラッガーとしてより高い実績を残している選手がすでにプロ志望を提出しているため、優先順位は下がってしまいます。
【指名順位予想】
守備に不安が残り、現状の評価ではスラッガーの素質はありますが木製バットではまだ中距離バッターとして見られています。Ｕ－１８に召集され木製バットでどこまで飛ばせるかを披露できれば指名順位がもっとはっきりできましたが、Ｕ－１８には召集されることはありませんでした。
このため指名順位は５～６位の下位指名となっています。ファーストでなくサードで安定して起用できるかどうかが順位に大きく関係しています。
