プロ野球新人選手選択会議(ドラフト会議)で巨人から育成ドラフト1位指名された高崎健康福祉大高崎(健大高崎、群馬県高崎市)の山下航汰選手(17)が31日、同校を訪れた巨人の長谷川国利スカウト部長と木佐貫洋スカウトから指名あいさつを受けた。
山下選手は報道陣に「巨人は選手層も厚いが、バッティングをアピールして埋もれないようにしたい」と抱負を述べ、「5年目に1軍でレギュラー定着する」と宣言した。
現在は一からウエートトレーニングをやり直しているといい、「多くの高校生がドラフト指名され、ライバルは例年に比べて多いと思う。自分の道をひたすら進んで、1軍へ『下克上』したい」と力強く語った。
1年間にわたって山下選手を見てきたという木佐貫スカウトは「山下選手は飛ばすコツをわかっている。盗塁するシーンも見ていたが、走力もあるのが良い」と高く評価。「魅力である長打力を磨いて、高いレベルの中で切磋琢磨(せっさたくま)してもらいたい」とエールを贈った。
山下選手は健大高崎で主力打者として活躍。高校通算75本塁打のスラッガーとして全国から注目を集めた。
【山下選手の紹介】
175センチ77キロ 右投げ左打ち
ポジション:ファースト・レフト
通算75発、左のスラッガーとして早くから注目された小柄な左打者。三振率の低さに加え無駄の無いスイングでバットにボールを上手く乗せる技術を持ち、インコース捌きの上手さもあり本塁打を量産しています。このため多くのスカウトがその打撃技術を高く評価しており、高校トップクラスと評する声もあるほどでした。
また走塁能力も高く、50m6.7秒とそれなりの速さを誇っています。このため三振率の低さや足があることから監督から恐怖の1番として期待され、3年からは1番で起用されています。
【高校通算71号】山下航汰(健大高崎)打った瞬間ライト最上段へのホームラン 2018年5月23日 関東大会決勝 日大三戦
【なぜ獲得されたのか】
左のスラッガーは巨人の補強ポイント。ドラフト5位で松井選手は獲得したものの、候補の総数自体が少ないため、まだまだ補強の必要はありました。
そのなかで健大高崎の山下選手は通算75発の今季トップクラスの本塁打数を誇るスラッガー。身長のなさとポジションの問題から上位は難しいものの、支配下指名候補と考えていました。
しかし結果はまさかの育成指名。巨人としてはおいしい指名ですが、なぜこの実積の選手が育成まで残ったのか。
理由は大きく2つ。身長と守備評価が大きな原因となっています。まず身長についてですが、高卒選手は伸び代が高く評価されます。3位の直江選手のように、実積面では物足りなさがあるものの、投手としての伸び代が高く評価され上位指名されることは珍しくありません。一方で山下選手は172センチとあまり上背がなく、山下選手はスラッガーとして評価されるため、身長があまりないのは長距離打者としては不安が残ります。
また山下選手のポジションはレフトとファースト。しかし遠投90m以下とレフトとしても弱肩であり、守備もあまり上手ではありません。高卒でありながらポジションが最初から限定されている、身長もなく体が大きくなりにくいという伸び代評価の低さが問題となりました。
【1軍起用への課題】
足はあるものの肩の弱さ、また外野守備経験の少なさからライト・センターは厳しく、起用はレフト・ファーストか代打かに限定されます。理想はライト・センターが出来ることのため、最初はコンバート可能かどうかを見定めるため、センターやライトといったポジションにつく可能性はありますが、見込みは薄いと思われます。
岡本選手サード再コンバート案が出るなかでファーストは埋まっていないポジション。助っ人外国人が入ることが多いポジションですがそれは一軍の話であり、二軍では今年引退した脇谷選手や戦力外となった中井・辻選手がスタメンとなることが多かったポジション。起用のチャンスは充分にあります。