読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

あまり注目されない巨人外野手に右打者が少ない問題。その原因と解決法について

 巨人野手の問題といえば高齢化した外野手。そして左の若手スラッガー不足ばかりが注目され、左打ちの外野手が補強ポイントとして挙げられますが、実は外野手については左よりも右打者のほうが不足しています。

 なぜ右打者問題はあまり挙がらないのか。そしてどのように解決すべきかのかをこの記事にまとめていきます。

 

 【なぜ右打ち外野手の少なさは注目されないのか】

【現在の巨人の左右別の外野手事情】

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引用:読売巨人軍公式サイト

 今年の外野手起用を見ると、ライトで陽選手が起用されることが多くなっています。今は好調のためその起用にも納得できますが、4月始めは併殺マシーンと化していました。なのになぜ陽選手を頑なに起用していたのか。その原因こそが「右の外野手が少ない」に繋がります。正確には1軍で使える右打ちの外野手がいない、となります。

 巨人の外野手については左のスラッガー不足ばかりが注目されますが、実は右打ちのほうが不足しています。具体的に把握してもらうために、育成選手も含めた外野手登録選手を挙げてみます。

 

 

選手名 左右 年齢 ポジション
亀井 善行 36 ライト・レフト
丸 佳浩 30 センター
立岡 宗一郎 29 センター
重信 慎之介 26 センター・レフト
松原 聖弥 24 センター・ライト
加藤 脩平(育) 21 センター・ライト
山下 航汰(育) 19 レフト・ライト
陽 岱鋼 33 センター・ライト
ゲレーロ 33 レフト
石川 慎吾 26 ライト・レフト
笠井 駿(育) 24 センター・レフト
村上 海斗 24 センター・ライト
和田 恋 24 ライト・レフト
モタ(育) 24 レフト
荒井 颯太(育) 20 ライト・ラフト

 

 見る限り左右ともに同じような人数となっています。ただここから1軍起用できる選手という条件を加え見てみると、その差が顕著となります。

 左であれば亀井・丸・立岡・重信選手が公式戦で1軍起用経験のある選手となっており、育成でも2軍でクリーンナップを打つ今シーズン3本塁打の加藤選手と2本塁打の山下選手がいます。このため1軍起用できる選手は4名。さらに若手のホープが2名。さらに内野手登録の左のスラッガー・松井選手が外野手コンバートの可能性があり、17年育成1位の比嘉選手も外野手起用されています。

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引用:読売巨人軍公式サイト

 一方で右については1軍起用されているのは陽・ゲレーロ・石川選手の3選手のみ。和田選手も1軍でスタメン起用されたことはあるものの、その内容はまだまだ時間がかかることを感じさせるものでした。村上選手はまだ3軍止まりとなっており、1軍計算できるのがたった3名のみとなっています。さらにゲレーロ選手は今年も打率は上がらず、石川選手はレフト守備も怪しく代打の切り札が生き残る道状態。このためスタメン起用できる右打ちの外野手は陽選手のみとなっています。

 育成選手についても笠井選手は2軍では打率1割以下。モタ選手もまだ1年目で様子見状態。荒井選手はまだ3軍でもフルスタメン自体少ない状態のため、支配下候補もいません。このため1~2年で自然解決する状態にもなっていません。

 

【なぜ注目されない】

 それではなぜ問題として挙がらないのか。それは内野手に右打者が多いために、外野手に右打者が少なくてもスタメン全体でみるとバランスが取れてしまっているためです。

 右の内野手については坂本選手を筆頭に新加入のビヤヌエバ選手。さらに4番の岡本選手に山本選手。2軍で4番の北村選手、さらにサブとして1軍起用されている増田大選手と吉川大選手と1軍起用されている選手だけでもかなり右打者に偏っています。1軍内野手で左打者といえば吉川尚選手と田中選手の2名。吉川尚選手は腰痛で離脱気味なうえ、田中選手は2年目のジンクスで2軍落ちとなっており、なおのこと右打者だらけとなっています。

  一軍捕手についても小林選手と炭谷選手が右打ちで、左打ちは大城選手のみとなっています。

 

 【解決法について】

【右打ち外野手のドラフト事情】

  実は右打ちの外野手についてはある程度出てきやすいポジションであり、17年なら楽天2位の岩見選手。去年ならヤクルト2位の中山選手が右打ちの外野手です。ただ岩見選手はレフトでも厳しくDH前提の選手だったため、巨人では獲得が難しかった選手です。

 しかしまさかの19年は左打ち外野手に注目株が多く、最多安打を狙う慶応・柳町選手やスラッガーの早稲田・加藤選手に近畿大・谷川選手などがいます。右打ちなら国際武道大・豊田選手に慶応・中村選手、JR西日本・佐藤選手といますが、例年に比べると不足気味になっています。

【内野からコンバートさせるべきか】

 外野に比べ若手が出てきた一方起用できる選手が限られている内野手。特に右の内野手は坂本選手を筆頭に岡本・山本・北村・増田大・湯浅・増田睦・吉川大選手と若手・中堅だけでも右打者に偏っています。ならば内野からコンバートさせるべきかについてですが、結論からいえばさせるべきではありません。

 

 理由としては上記のどの内野手も内野として安定的に起用できる守備力を持っているためです。内野から外野へのコンバートは打撃評価を優先してのものが多く、それは内野では起用が難しいが、外野ならば起用できる上、コンバートしてでも使いたいほどの打撃を持っている場合が多く、内野として計算できるにもかかわらず、わざわざ外野にコンバートするメリットはあまりありません。

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引用:http://www.giants.jp/G/gnews/news_3910601.html

 また外野に比べ内野はここ2~3年でかなりの中堅を戦力外にしており、構成年齢が20~25歳のプロ2~4年目で固まっているため、少なくともここ1~2年で支配下選手で戦力外が出る可能性は低くなっています。ただこれは内野の人数バランスがぎりぎりなことを意味しており、ここで外野にコンバートすれば、再び内野手をドラフトで獲得する必要が出てきます。内野と外野で同程度の打撃力ならば内野のほうが指名順位は上がるため、それならば素直に外野手を獲得したほうがドラフト戦略上は組み立てやすくなります。

 

【助っ人外国人の補強事情】

  助っ人外国人は打撃優先で獲得されることが多く、ポジションはレフトかファーストが多くなります。ファーストは岡本選手のため、巨人は基本的にレフトを中心に助っ人獲得を組み立てていきます。

そして右と左では右野手のほうが獲得しやすく、左でスラッガーとなればアメリカでも重宝される人材です。そのため日本にくる左うちの外国人は、ギャレット選手のように年齢のピークが過ぎた選手や、モーガン選手のように長打タイプでない選手になりがちです。

 

   このためレフトについては助っ人外国人ポジションでもあり、基本的に野手は右打ちが大半です。ビヤユエバ選手やビシエド選手、グラシアル、レアード、メヒア選手と、挙げるだけでも右打ちの選手だらけです。レフトについてはドラフトでの補強はあまり考慮しなくてもよいポジションです。

 

【まとめ】

  右打ちの外野手は若手を含めても人材不足となっており、補強ポジションのひとつです。現在の巨人の外野手事情を踏まえれば、左右問わずライトが守れる長距離型外野手がいれば獲得したいところ。亀井・陽選手の年齢を考えればすぐに即戦力が理想ですが、そのクラスとなると一位クラスとなり毎年いるレベルではないため、1~2年で解決できるものでもありません。

 ただしまだ陽選手や亀井選手が現役でスタメンをはれる間に世代交代の準備は早急に進めなければならない問題となっています。