<全日本大学野球選手権:福岡大1-0星槎道都大>◇11日◇1回戦◇神宮
星槎道都大(札幌学生)が14年以来5年ぶりの勝利を逃した。0-0のまま延長10回からタイブレークに突入し、それまで無失点だった先発の渕上佳輝(4年=堀越)が11回2死一、三塁で暴投により失点。
渕上は、11回149球を投げ、12奪三振の好投も勝利を挙げられず「2ストライク、ノーボールだったので1球外そうと思ったら、低めにいってしまった。内容は良くても、その1点で負けている。自分の甘さが出た」と課題を挙げた。神奈川出身で、実家から父直哉さん(52)、母圭子さん(53)が応援に駆けつけており「何とか勝利を見せたかった」と目を潤ませた。
打線が4安打無得点。元巨人外野手で、就任2年目の二宮至監督(65)は「見逃してもいい低めのボールに手を出して、相手の術中にはまってしまった。この経験から気づいて、考えて、先につなげられるように」と話した。
【渕上選手の紹介】
176センチ77キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジアップ
ノーワインドアップからタメを作らずスムーズに動き上半身を低く落とし柔らかく腕を振るフォームから最速150キロ、常時140中盤のストレートを投げ込む右腕投手。非常に伸びがある空振りを奪えるストレートが大きな武器であり、子のストレートをコントロールよく低めやインハイに投げ込んでいきます。加えて小さく変化する120中盤の縦のスライダーに110キロ台の緩急のあるカーブ、そして小さく変化するチェンジアップを投げていきます。
ストレート・スライダーのコントロールが特に良く空振りも見逃しも奪える決め球となっており、指にかかったストレートは高めに抜けてもバットに当てられないほどの伸びを感じさせます。このため高い奪三振能力に加えあまり四球を出さないのも魅力であり、福岡大との試合では11回を投げ四死球はわずか3つのみとなっています。
【Max150km/h】星槎道都大・渕上佳輝 ピッチング&フィールディング
【指名への課題】
球種が3つだけな上にカーブについてはあまりゾーンに決まらないため、変化球はスライダー・チェンジアップの割合が非常に多くなっています。ストレートも角度自体はないためどうしても低めに集めようとする意識が強く、変化球も含め低めに投げようとする結果、球二つ分ほど下に抜けたりバウンドする捕逸の恐れがありそうな球になるなど、ランナーが出る場面では怖い球が見受けられます。
ストレート・チェンジアップともに変化量は少なくストレートを見せ球に有効に使える球種となっており、ストレートが投げる球の7~8割のため、ストレートの調子次第に左右され変化球で躱すという投球が難しいのも課題となります。もっと広めに勝負できるようになるためにもストレートに絞られない投球が必要になります。
【指名順位予想】
高い奪三振能力にストレート・変化球のコントロールと先発よりは中継ぎとしてみたい選手。ただ先発・中継ぎどちらにせよもっと変化球の球種の幅は欲しいところ。現状では疲れが出てストレートの勢いが落ちてきたときのビジョンが見えにくい状態となっているため、球種の幅を広げストレート以外にももう一つ強力な武器が欲しいところ。上背がないため投げられる球の質が指名への鍵となってきます。
現状での指名順位は5~6位の候補。ストレート自体のコントロール・伸びは非常によいため、変化球を鍛えればセットアッパーになれる選手です。