<全日本大学選手権:大商大2-1日本文理大>◇1回戦◇10日◇東京ドーム
大商大が苦しみながらも初戦を突破した。同点の9回に代打曽根光貴外野手(3年=広陵)が決勝の内野安打。エース大西広樹投手(4年=大商大高)は本調子ではなかったが、1失点完投と底力を見せた。
富山陽一監督(54)はズバリ当たった采配を振り返った。9回1死三塁。工(たくみ)遼汰内野手(4年=広陵)が自らの判断でバントをして投飛に倒れていた。直後の2死三塁で代打に送ったのは曽根。決して出場経験が豊富ではない。
「うちは(チーム内で)競争をしているので。やっとメンバーに入った子。ここは、この子かなと。もう1つ言うと、その前に工が勝手なセーフティー(バント)をして…。曽根には広陵の先輩の失敗の尻ぬぐいをしてこい、と」と笑わせた。二塁に打った曽根は一塁ダイブでセーフをもぎ取り、決勝点が入った。
最終回は大西が3人で締めた。初回はめずらしく、緊張で硬かった。「投手戦になる。1点もやらない」と自らに誓っていたが、初回に1失点を喫した。
1年前の東京ドームで苦い経験をした。2回戦の徳山大戦の延長11回タイブレーク。現楽天の太田光捕手の二塁けん制が悪送球になり、まさかのサヨナラ敵失。日ごろから大西が「1球の怖さを知った」と胸に刻んでいるプレー。「ここでやるのは太田さんのあの1球以来。1球1球、慎重にいったので緊張しました」と明かした。
だが3回に1-1と追いつくと、エンジンがかかった。最速146キロ。最終9回にも143キロとコンスタントにスピードを出し、フォーク、カットボールでゴロを打たせた。日本文理打線は粘り強いというデータを元に、野手陣には「打たせてとるから」と告げていた。その通り、二遊間を中心に要所で引き締まったプレーが出た。
「投手戦を制して少しホッとしています。でもまだ怖い。もっと打者が振ってくれないと」と内容に納得はしていない。目標は日本一。注目右腕がまずは難所の初戦を乗り切った。
【大西選手の紹介】
176センチ80キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カットボール・シンカー・フォーク
セットポジションからゆっくりとタメをつくり、少し上半身をひねりオーバースローとスリークォーターの中間の腕の振りから最速148キロ、常時130後半のストレートを投げ込む右腕投手。縦のスライダーで見逃しを奪い外に逃げるカットボールをアウトコースに投げ込み空振りを奪います。手元で急に変化するフォークも安定しており空振りを奪える球の一つです。
コントロールがよいため無駄な四球を出さずストライク先行で試合を作れるのも魅力。どの変化球も制球できており、様々な変化球を使い分けるため絞り切れず芯に当てたヒットを打てていません。2年生よりチームでは先発として起用。抜群の安定感を誇り通算防御率1点台で2・3・4年で最優秀投手を獲得するなど早くからドラフト候補として注目されていました。
2019.3.15 大阪商業大学 大西広樹君 【阪神タイガース戦で好投】
【指名への課題】
課題となるのはクイック時のストレート。あまり上背がなく角度・平均球速が速いわけではないため、全体の球種に対しストレートの割合が少なくなっています。どの変化球も安定して制球出来ているため変化球で空振りを奪えているのも理由の一つですが、通常時はある程度安定して投げられているストレートがクイック時になると制球が悪化します。
クイック時でも球速を出そうと力んで投げておりクイック時のストレートを投げる時は体が前のめりになります。このため抜け球や大きく外れた球が増えるため、クイック時の右打者への攻めはアウトコースへの変化球頼りになり踏み込みやすくなるため、カウントを整えようと、ストライクゾーンに投げるスライダーに合わせられて失点する流れが見受けられます。
【指名順位予想】
球種の豊富さや変化球のコントロール、また空振りも見逃しもとれる球もあることから先発型となります。ただ仕留めにいくストレートのコントロールがまばらなため、力まずとも安定して投げれるようストレートの球速が常時140前半が欲しいところ。
140中盤が平均して出るようになれば2位指名も見えてきますが、さすがにあと半年でそれほどの成長を期待するのは酷かもしれません。その点は入団後の伸びしろとして期待したいところですが、上背のなさがネックとなります。このため現状では3~4位が指名候補となります。