「関西学生野球、近大3ー1京大」(27日、ほっともっとフィールド神戸)
阪神や巨人らがドラフト1位候補に挙げている近大・佐藤輝明内野手(4年・仁川学院)が、2打数1安打2四球。チームの5連勝に貢献し、七回1死では左中間最深部の、フェンス上部を直撃する三塁打で出塁し、チームの3点目のホームを踏んだ。
「微妙な感じだったんですけど、追い風だったんで、ヒットになって良かったです。ちょっと上がったんで、風次第というところはあったんですけど」
1打席目は四球を選び、三回の2打席目も四球で出塁。五回は先頭から三振に倒れていた中での4打席目だった。「なかなかこう、ストライクで勝負してこない中で、打つべき球を振れたかなとは思いますけど、打てたのは最後だけだったので」。七回1死で2球目のスライダーに反応すると、高々と舞い上がった打球は左中間フェンスを直撃し、佐藤は三塁へと進んだ。
一瞬スタンドインかとも思われた打球で、直後に近大・田中秀昌監督も審判に確認したが、判定はそのまま。巨人・二岡3軍監督が持つ、現行のリーグの通算最多の13本塁打に並ぶ一発とはならなかった。
この日は2人態勢だった阪神と巨人、中日、オリックス、日本ハムのプロ5球団が視察。佐藤はホームランについて「もちろんホームランを打ちたいですけど、相手もしっかり対策してくると思うので。相手との駆け引きというか、真っ向勝負はしてこないだろうということで。打つべき球をしっかり打っていきたいです」と話す。次週は試合がなく、リーグ戦は残り4試合。限られた中で、チームの勝利と共に記録へのアーチも目指す。
【佐藤選手の紹介】
2019.3.7 近畿大学 佐藤輝明君 【阪神タイガース戦でヒットx2】
187センチ94キロ 右投げ左打ち
ポジション:サード・レフト
リーグ通算12本塁打、フルスイングと高い身体能力とパワーで打った瞬間にわかる場外弾をたたき出す左のスラッガー。そのスケールの大きさ、走塁・守備面からもわかる身体能力の高さと出身校から「糸井2世」と評されています。
特にスイングと規格外のパワーへの評価が高く、詰まったように見えたレフト方向へのフライがそのまま伸びてホームランになるということも珍しくなく、スイングスピードに打球音、飛距離は多くのスカウトが評価しています。
また守備はサードをメインに守っており、スローイングの良さも評価されています。サードだけでなくレフト・ファーストもこなしており、強打の外野手が欲しい球団にとっても獲得対象となります。
【指名への課題】
多くのスカウトから指摘されているのが打撃の粗さ。スケールの大きさは評価されていますが、打撃に確実性がありません。
特に目立つのが縦の変化球への対応。引っ張りへの意識が非常に強く、インコースへの球に手を出す傾向が強くなっています。特にカーブのような変化量が大きい一方で球速が遅い球は力で持っていこうとぎりぎりまで待ってスイングしてしまうため、バウンドする低さにも手を出してしまっています。
ひっかけてしまうためアウトコースにはあまり手を出しておらず、一方でインコースには弱い。そこがばれているため縦のカーブを膝元へ投げられ見事に空振りしています。もう少しシャープなスイングで確実性も上げていかないと、プロでのカーブやフォークにさらに苦労することが予想されます。現状ではアウトコースに手を出さないことでアウトコースでカウントを稼がれ、投手有利のカウントで膝元への落ちる変化球。この攻めが常套化してしまいます。
【指名順位予想】
身体能力の高い野手、さらにパワーも規格外となれば評価は非常に高くなります。今年は投手に比べ野手の目玉候補は少ないため、1位指名が確実となっています。ただ中央大・牧選手に比べると打撃の粗さが目立つことから、スケールを求めるなら佐藤選手。ある程度確実性をもって計算しやすい選手が欲しいなら牧選手となります。