NTT東日本・佐々木健投手(24、富士大)がうなだれながらマウンドを降りた。今ドラフト候補左腕は初回から150キロ台を連発。3回2死からJR東日本・近森雄太外野手(24)を遊ゴロに打ち取った球速は自己最速タイの152キロを計測した。
しかし、0―1の6回1死二塁から2暴投で痛恨の追加点を献上。「調子は良かったと思います。内角を突けたし、球速より質のいい直球は投げられた」と振り返ったが、6奪三振も5回1/3、2失点で敗戦投手となった。スタンドには10球団のスカウトが視察。西武・渡辺久信GMは「ボールの威力が魅力。指にかかった時の直球で何度もバットを折っていた」とうなった。中日の米村明チーフスカウトも「(打者にとって)左の150キロは右の150キロと全くスピードが違う。2ボールからでもチェンジアップを使えたし、真っ直ぐも素晴らしかった」と舌を巻いていた。
都市対抗・東京第1代表決定戦 NTT東日本・佐々木、敗戦も自己最速タイ152キロ計測― スポニチ Sponichi Annex 野球
【佐々木選手の紹介】
広島 中日調査中 2020ドラフト候補 NTT東日本 佐々木健 投手 ピッチング
179センチ86キロ 左投げ左打ち
変化球:スライダー・カーブ・チェンジアップ
経歴:木造高ー富士大ーNTT東日本
セットポジションから大きく足を上げず重心を落とし、肘を曲げ腕を大きく振らないように投げ下ろすフォームから最速152キロ、常時140後半のストレートを投げ込む左腕投手。
小さな腕の振りから140後半を投げ込むことから球速以上の速さを感じさせるストレートが武器であり、そこに120台のスライダーに沈み込むチェンジアップを組み合わせて打ちとっていきます。
富士大時代はベストナインを獲得する活躍をするもプロ志望は出さずNTT東日本に就職。しかしコントロールが悪化し成績が悪化。縮こまった投球をするようになっていたところで飯塚監督が全力投球を取り戻させるためにリリーフに転向。これが成功し先発時でも常時140後半を出せるようになりました。ストレートで力押しする投球を取り戻し、パワー型左腕として注目されています。
【指名への課題】
コントロールがアバウトで構えたところに投げるのは難しいタイプ。このためストレートの力押しでねじ伏せていくタイプですが、これが左打者を苦にしている理由となります。
アバウトなため左のインコースに構えることができず、このためアウトコースへのスライダーやチェンジアップに踏み込めてしまうため、どうしても厳しいコースに投げざるを得ません。しかし変化球を制球しきれているわけではないため、アウトコースに抜けてそれを見切られています。
左に対してはどうしてもアウトコースぎりぎりに構えざるを得ないため、厳しいコースに決めようと力んだ結果すっぽ抜けています。右に対しては角度をつけたストレートが有効になっていますが、いかんせんカウントを稼げる球がないので、変化球の精度が上がらないことには即戦力としてはまだ厳しいものがあります。
【指名順位予想】
素材評価は依然として高いものの、評価自体は大卒時代から少し上がった程度。一方で2歳年を取っているため、その分評価は下がってしまいます。即戦力でなく2軍で投げさせながら改善をはかっていくため、1軍中継ぎにある程度余裕がある球団が候補となります。
指名順位としては5~6位の下位となります。左で152キロを出せているのは魅力ですが、計算できる変化球が少ないのが問題。これでスライダーやカーブでカウントを稼げるくらい安定しているなら3位指名も狙えますが、ドラフトまで1か月を切った状態でここから大きく改善するのは難しいと考えられます。